ブログ「公務員ってどうなの?」のこむぞうです。
1か月当たりの時間外勤務は、60時間を超えると時間外勤務手当の時間単価が上がります。
今回は、その計算方法を御説明しますので、是非御覧ください。
単価が上がる?嬉しいっ!
手当もいいですが、くれぐれも体には気を付けましょう。
1か月当たりの時間外勤務60時間を超えた場合の割増し
まずは法的根拠から御説明します。
地方公務員の時間外勤務手当は、条例で定められていますが、ほぼ国家公務員の法令をまねして条文にしているので国家公務員の超過勤務手当を例に御説明します。
公務員のいわゆる残業の手当は、国家公務員だと超過勤務手当と、地方公務員だと時間外勤務手当という名称の違いがあります。
内容は、超過勤務手当をまねして時間外勤務手当を定めているからほぼ変わらないけどね。
3 正規の勤務時間を超えて勤務することを命ぜられ、正規の勤務時間を超えてした勤務(勤務時間法第六条第一項及び第四項、第七条並びに第八条の規定に基づく週休日における勤務のうち人事院規則で定めるものを除く。)の時間が一箇月について六十時間を超えた職員には、その六十時間を超えて勤務した全時間に対して、第一項(前項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定にかかわらず、勤務一時間につき、第十九条に規定する勤務一時間当たりの給与額に百分の百五十(その勤務が午後十時から翌日の午前五時までの間である場合は、百分の百七十五)を乗じて得た額を超過勤務手当として支給する。
一般職の職員の給与に関する法律(昭和25年法律第95号)第16条第3項
ちなみに会社員にも同様のルールが労働基準法(昭和22年法律第49号)で定められています。
第三十七条 使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
労働基準法第37条第1項
1か月当たりの時間外勤務60時間を超える場合の時間数
では、時間の計算方法です。
会社員の場合のこの計算方法でいい資料がありましたのでそちらを例にして御説明します。
この例でいうと、月の始めから毎日勤務日に3時間ずつ時間外勤務をし、11日の週休日で4時間の時間外勤務を行ったことで合計73時間の時間外勤務を行ったことになります。
そうすると、この月の27日に行った時間外勤務3時間のうち、2時間の時間外勤務を行ったときに1か月当たり60時間の時間外勤務を行ったことになります。
さて、本題の1か月当たり60時間を超える時間外勤務時間数はどうなるかというと、27日の1時間及び28日から31日までの各3時間で合計13時間となります。
いっぱいがんばった分、報われるね。
時間外勤務手当の時間単価の違う日も含めてこの1か月当たり60時間を算出するので、いつから割増しの対象となるか振り分けるのが難しい。誰かこれを反映した時間外勤務手当を計算するエクセルファイルを作ってくれないかな。「時間外勤務手当の計算の基本」の記事にある時間外勤務手当計算ツールを更新してもっと便利にしたい。
1か月当たりの時間外勤務60時間を超える場合の時間外勤務手当の計算
では、計算方法の原則からです。
時間外勤務手当=時間外勤務手当の単価×時間外勤務時間数
時間外勤務手当の単価は、「時間外勤務手当の計算の基本」の記事のとおり次の計算式で算出します。
(給料月額+給料月額×地域手当の支給率)×12か月÷(1週間当たりの勤務時間(38.75時間)×52週ー除算時間数)×支給率
この支給率は、一般職の職員の給与に関する法律第16条第1項及び第3項並びに人事院規則9-97(超過勤務手当)第2条の規定により次のとおりとなります。
時間外勤務をした時間帯 | 1か月当たりの時間外勤務60時間以内の支給率 | 1か月当たりの時間外勤務60時間超過した時間の支給率 |
勤務日の午前5時から午後10時まで | 1.25 | 1.5 |
勤務日の午後10時から翌日の午前5時まで | 1.5 | 1.75 |
週休日の午前5時から午後10時まで | 1.35 | 1.5 |
週休日の午後10時から翌日の午前5時まで | 1.6 | 1.75 |
1週間当たりの勤務時間(38.75時間)を超えて勤務した時間を週休日の振替等とした時間 | 0.25 | 0.5 |
時間外勤務時間数を時間外勤務手当の単価ごとに整理し、それぞれ計算する必要があります。詳細は、「時間外勤務手当の計算の基本」の記事を御覧ください。
さて、このルールを踏まえて計算してみましょう。
次の事例で計算してみます。
- 給料月額182,200円
- 地域手当の支給率0.15
- 除算時間数139.5時間
- 勤務日の午前5時から午後10時までの時間外勤務80.5時間(うち1か月当たり60時間を超えたのは、39.0時間)
- 勤務日の午後10時から翌日の午前5時までの時間外勤務13.0時間(うち1か月当たり60時間を超えたのは、5.25時間)
- 週休日の午前5時から午後10時までの時間外勤務2.0時間(うち1か月当たり60時間を超えたのは、0時間)
- 週休日の午後10時から翌日の午前5時までの時間外勤務1.0時間(うち1か月当たり60時間を超えたのは、0時間)
- 上記以外の時間外勤務のうち、1週間当たりの正規の勤務時間(38.75時間)を超えた勤務で週休日の振替等としたもの7.75時間(うち1か月当たり60時間を超えたのは、0時間)
では、単価ごとに手当額を計算します。
勤務日の午前5時から午後10時までの時間外勤務(1か月当たり60時間以内の時間) | 手当単価=(182,200円+182,200円×0.15)×12か月÷(38.75時間×52週ー139.5時間)×1.25=1,676円(1円未満の端数は、四捨五入) 時間数=80.5時間ー39.0時間=42時間(0.5時間以上の端数は、四捨五入) 1,676円×42時間=70,392円 |
勤務日の午前5時から午後10時までの時間外勤務(1か月当たり60時間を超えた時間) | 手当単価=(182,200円+182,200円×0.15)×12か月÷(38.75時間×52週ー139.5時間)×1.5=2,011円(1円未満の端数は、四捨五入) 時間数=80.5時間ー41.5時間=39時間(0.5時間以上の端数は、四捨五入) 2,011円×39時間=78,429円 |
勤務日の午後10時から翌日の午前5時までの時間外勤務(1か月当たり60時間以内の時間) | 手当単価=(182,200円+182,200円×0.15)×12か月÷(38.75時間×52週ー139.5時間)×1.5=2,011円(1円未満の端数は、四捨五入) 時間数=13.0時間ー5.25時間=8時間(0.5時間以上の端数は、四捨五入) 2,011円×8時間=16,088円 |
勤務日の午後10時から翌日の午前5時までの時間外勤務(1か月当たり60時間を超えた時間) | 手当単価=(182,200円+182,200円×0.15)×12か月÷(38.75時間×52週ー139.5時間)×1.75=2,346円(1円未満の端数は、四捨五入) 時間数=13.0時間ー7.75時間=5時間(0.5時間以上の端数は、四捨五入) 2,346円×5時間=11,730円 |
週休日の午前5時から午後10時までの時間外勤務(1か月当たり60時間以内の時間) | 手当単価=(182,200円+182,200円×0.15)×12か月÷(38.75時間×52週ー139.5時間)×1.35=1,810円(1円未満の端数は、四捨五入) 時間数=2.0時間ー0時間=2時間(0.5時間以上の端数は、四捨五入) 1,810円×2時間=3,620円 |
週休日の午前5時から午後10時までの時間外勤務(1か月当たり60時間を超えた時間) | 手当単価=(182,200円+182,200円×0.15)×12か月÷(38.75時間×52週ー139.5時間)×1.5=2,011円(1円未満の端数は、四捨五入) 時間数=2.0時間ー2時間=0時間(0.5時間以上の端数は、四捨五入) 2,011円×0時間=0円 |
週休日の午後10時から翌日の午前5時までの時間外勤務(1か月当たり60時間以内の時間) | 手当単価=(182,200円+182,200円×0.15)×12か月÷(38.75時間×52週ー139.5時間)×1.6=2,145円(1円未満の端数は、四捨五入) 時間数=1.0時間ー0時間=1時間(0.5時間以上の端数は、四捨五入) 2,145円×1時間=2,145円 |
週休日の午後10時から翌日の午前5時までの時間外勤務(1か月当たり60時間を超えた時間) | 手当単価=(182,200円+182,200円×0.15)×12か月÷(38.75時間×52週ー139.5時間)×1.75=2,346円(1円未満の端数は、四捨五入) 時間数=1.0時間ー1.0時間=0時間(0.5時間以上の端数は、四捨五入) 2,346円×0時間=0円 |
上記以外の時間外勤務のうち、1週間当たりの正規の勤務時間(38.75時間)を超えた勤務で週休日の振替等としたもの(1か月当たり60時間以内の時間) | 手当単価=(182,200円+182,200円×0.15)×12か月÷(38.75時間×52週ー139.5時間)×0.25=335円(1円未満の端数は、四捨五入) 時間数=7.75時間ー0時間=8時間(0.5時間以上の端数は、四捨五入) 335円×8時間=2,680円 |
上記以外の時間外勤務のうち、1週間当たりの正規の勤務時間(38.75時間)を超えた勤務で週休日の振替等としたもの(1か月当たり60時間を超えた時間) | 手当単価=(182,200円+182,200円×0.15)×12か月÷(38.75時間×52週ー139.5時間)×0.5=670円(1円未満の端数は、四捨五入) 時間数=7.75時間ー7.75時間=0時間(0.5時間以上の端数は、四捨五入) 670円×0時間=0円 |
合計185,084円となりました。
いかがでしょう?計算できそうですか?
どうしても分からなかったら「時間外勤務手当の計算の基本」の記事にある時間外勤務手当計算ツールで計算してみてね!
時間外勤務代休時間
続いて時間外勤務代休時間についてです。国家公務員だと超過勤務代休時間といいます。
こちらでも国家公務員の事例として超過勤務代休時間を御説明しますが、地方公務員の時間外勤務代休時間も同じだと思ってください。
さて、超過勤務代休時間の法的根拠は、こちらです。
第十三条の二 各省各庁の長は、一般職の職員の給与に関する法律(昭和二十五年法律第九十五号)第十六条第三項の規定により超過勤務手当を支給すべき職員に対して、人事院規則の定めるところにより、当該超過勤務手当の一部の支給に代わる措置の対象となるべき時間(以下「超勤代休時間」という。)として、人事院規則で定める期間内にある勤務日等(第十五条第一項に規定する休日及び代休日を除く。)に割り振られた勤務時間の全部又は一部を指定することができる。
一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律(平成6年法律第33号)第13条の2第1項
2 前項の規定により超勤代休時間を指定された職員は、当該超勤代休時間には、特に勤務することを命ぜられる場合を除き、正規の勤務時間においても勤務することを要しない。
一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律第13条の2第2項
つまり、1か月で60時間を超えて残業をした分、休んでいいという制度です。
超過勤務代休時間として使える時間数は、人事院規則15-14(職員の勤務時間、休日及び休暇)第16条の3第2項各号で定められています。
- 60時間超過時間が勤務日の時間外勤務の時間なら、その60時間超過時間×0.25
- 60時間超過時間が育児短時間勤務職員又は育児休業の代替となる任期付短時間勤務職員で1当たりの勤務時間として7時間45分に達するまでの間の勤務時間なら、その60時間超過時間×0.5
- 60時間超過時間が週休日の時間外勤務の時間なら、その60時間超過時間×0.15
この計算結果をそのまま超勤代休時間として使えるわけではなく、使っていい単位は定められています。
3 前項の場合において、その指定は、四時間又は七時間四十五分(年次休暇の時間に連続して超勤代休時間を指定する場合にあっては、当該年次休暇の時間の時間数と当該超勤代休時間の時間数を合計した時間数が四時間又は七時間四十五分となる時間)を単位として行うものとする。
人事院規則15-14第16条の3第3項
超勤代休時間の時間数の計算イメージは、こちらを見ると分かりやすいです。
超勤代休時間は、60時間超過月の翌月と翌々月の2か月間しか使えないから注意してね(人事院規則15-14第16条の3第1項)。
なお、この超勤代休時間を使った場合は、1か月当たりの時間外勤務60時間を超えたことで増える超過勤務手当の割増し分は、支給されませんので注意してください(割増し前の超過勤務手当は、支給されます。)。
4 勤務時間法第十三条の二第一項に規定する超勤代休時間を指定された場合において、当該超勤代休時間に職員が勤務しなかつたときは、前項に規定する六十時間を超えて勤務した全時間のうち当該超勤代休時間の指定に代えられた超過勤務手当の支給に係る時間に対しては、当該時間一時間につき、第十九条に規定する勤務一時間当たりの給与額に百分の百五十(その時間が午後十時から翌日の午前五時までの間である場合は、百分の百七十五)から第一項に規定する人事院規則で定める割合(その時間が午後十時から翌日の午前五時までの間である場合は、その割合に百分の二十五を加算した割合)を減じた割合を乗じて得た額の超過勤務手当を支給することを要しない。
時間外勤務等の関連リンク
このほか、時間外勤務等の関連リンクを置いておきます。参考にしてみてください。
また、時間外勤務手当等は、計算が難しいと思いますので時間外勤務手当計算ツールを作成しました。「時間外勤務手当の計算の基本」の記事に掲載しましたのでどうぞ御活用ください。
時間外勤務手当計算ツールは、時間外勤務代休時間を使った場合まで対応してないからうまく調整してね。
終わりに(時間外勤務手当の使い道)
あなたは、時間外勤務手当が手に入ったら何に使いますか?
パーッと飲みに行きますか?
ブランド品等の好きな物を買うために使いますか?
それとも将来を考えて貯金?
どれもいいと思いますが、もしそんなにあてがなかったり貯金するのであれば、投資をするのはどうでしょう?
将来のお金は、不安です。
少しずつ値上げをしていますし、高齢化社会ですので、労働者の社会保険料は増えていっています。
もらう金額の基準はいつの時代の人も大きく変わりませんが、年々お金を使うことが多くなります。
少しでもお金を増やしておかないと自分を守ることができません。こちらの記事を見て一度検討してみてください。
投資は自己責任ですが、貯金するより結構いい見返りがありました。そんな私の結果は、こちら
もし証券口座の開設、iDeCo、クレジットカードの入会等をするときは、ポイントサイトを使うことをおすすめします。
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では、以上です。難しい内容でしたが、いかがだったでしょうか?
お役に立てたなら幸いです。
どうしても難しければ、「時間外勤務が月60時間を超えたら更に増える。」ということだけ覚えておいてください。
体も大事だから、時間外勤務代休時間として使うことも考えてね。
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