時間外勤務手当の計算の基本

働き方のヒント(人事給与)
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 ブログ「公務員ってどうなの?」のこむぞうです。

 国家公務員の残業代が正しく支払われていない実態が続いているという報道がありましたね。テレワーク分が認められなかったり、予算不足が理由だとか。

 思わず「あ~、そういう考え方はあるかもしれない。」と思いましたね。しかし、必要な範囲で働いたというなら払うべきです。いざ正規の勤務時間を超えて働いて、給与明細を見たら正しく支払われているか分からないのでは何もいえません。

 そこで、今回は、人事給与10年の業務経験を踏まえ、時間外勤務手当の計算方法について御紹介したいと思います。

こむぞう
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しっかり働いた分の給与がどうなるかは、ちゃんと把握できるようにならないと。

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時間外勤務とは

 まず時間外勤務とはいつ働いたときの勤務なのかを整理します。

 次の表を御覧ください。

時間外8:30

17:15
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時間外
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 勤務日は月曜日から金曜日まで、週休日(勤務日でない日)は日曜日と土曜日、1日当たりの勤務時間は8時30分から17時15分まで、休憩60分間という勤務条件の表です。祝日、年末年始の休日等の休日については、別の投稿でお話しますが、今回は、これらの休日がない月として考えてください。

 「時間外」と書かれたところの時間帯で働いたら、全て時間外勤務です。

こむぞう
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まずはこの整理ができていないと、どの時間帯で働くとどんな計算をするか理解できません。

 労働基準法第34条の規定により休憩時間を取らなければならないルールがあるため、同様に条例で休憩時間が定められていると思います。正規の勤務時間のうち休憩時間が60分未満で設定されている場合は、必ず休憩時間が60分以上となるようにする必要がありますので表の「時間外」の時間帯で不足する休憩時間を補ってください。

第三十四条 使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。

労働基準法第34条第1項

こむぞう
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休憩時間は、必ず取りましょう。特に時間外勤務命令を発令する方は、休憩時間を取らせてください。その休憩時間に何をするかは働く人の自由なので構いませんが、休憩時間について時間外勤務手当を支給することはできません。

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手当額の計算方法その1「時間数の整理」

 本格的な計算方法に入ります。

 時間数は、月ごとに行います。また、そのうち次のとおり時間数を分類して集計します。

分類時間外勤務の時間帯注意事項
A勤務日の17時15分から22時まで
B勤務日の22時から翌日5時まで週休日に入ったらCに分類
C週休日の5時から22時まで
D週休日の22時から翌日5時まで勤務日に入ったらBに分類
本来週休日だった日に時間外勤務を行い、その
勤務時間数を週休日の振替等とし、かつ、1週間
当たりの勤務時間を超えた場合

 Eが分かりにくいのですが、別の投稿で説明します。まずはこれで分類しましょう。

 例えば、次の内容になったとします。

  • A=29.5時間
  • B=1.5時間
  • C=3時間
  • D=1時間
  • E=7.75時間

 まず時間数の端数処理です。それぞれの分類で0.5時間以上は、切り上げます。そうなると、次のようになります。

  • A=30時間
  • B=2時間
  • C=3時間
  • D=1時間
  • E=8時間
こむぞう
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それぞれの時間帯で後述の時間外勤務手当の計算方法が変わるのでこうした整理になるのです。

手当額の計算方法その2「時間外勤務手当の単価の算出」

 次にいよいよ計算です。上記の分類(A~E)ごとに次の計算式で時間外勤務手当の単価を算出します。

 (給料月額+給料月額×地域手当の支給率)×12か月÷(1週間当たりの勤務時間(38.75時間)×52週ー除算時間数)×支給率

 この式の「除算時間数は、愛知県であれば139時間30分(139.5時間)です。原則として年間の休日×1日当たりの勤務時間数で算出すると思いますが、愛知県は、珍しい時間数を採用しています。

第六条 条例第二十八条の人事委員会規則で定める時間は、百三十九時間三十分とする。ただし、次の各号に掲げる職員にあつては、百三十九時間三十分に当該各号に定める規定により定められたその者の勤務時間を勤務時間条例第二条第一項に規定する勤務時間で除して得た数を乗じて得た時間とする。

時間外勤務手当等に関する規則(平成6年愛知県人事委員会規則第5号の704)第6条第1項

こむぞう
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年度によって休日数が変わると思いますので、除算時間数が変わります。毎年度除算時間数を計算しておきましょう。

 また、この式の「支給率」は、次のとおりです。

  • A=1.25
  • B=1.5
  • C=1.35
  • D=1.6
  • E=0.25

 さて、これで単価を試算してみましょう。

A手当単価=(182,200円+182,200円×0.15)×12か月÷(38.75時間×52週ー139.5時間)×1.25=1,676円(1円未満の端数は、四捨五入)
B手当単価=(182,200円+182,200円×0.15)×12か月÷(38.75時間×52週ー139.5時間)×1.5=2,011円(1円未満の端数は、四捨五入)
C手当単価=(182,200円+182,200円×0.15)×12か月÷(38.75時間×52週ー139.5時間)×1.35=1,810円(1円未満の端数は、四捨五入)
D手当単価=(182,200円+182,200円×0.15)×12か月÷(38.75時間×52週ー139.5時間)×1.6=2,145円(1円未満の端数は、四捨五入)
E手当単価=(182,200円+182,200円×0.15)×12か月÷(38.75時間×52週ー139.5時間)×0.25=335円(1円未満の端数は、四捨五入)

手当額の計算方法その3「時間外勤務手当の単価に時間数をかける。」

 いよいよ、計算結果です。

 上記の事例に加え、給料月額を大学卒初任給182,200円(令和3年5月20日現在)、地域手当の支給率15パーセント、除算時間数139.5時間、1週間当たりの勤務時間38.75時間で上記の事例のAからBまでの時間数から算出すると、次のようになります。

A手当単価1,676円×30時間=50,280円
B手当単価2,011円×2時間=4,022円
C手当単価1,810円×3時間=5,430円
D手当単価2,145円×1時間=2,145円
E手当単価335円×8時間=2,613円
合計50,280円+4,022円+5,430円+2,145円+2,613円=64,490円
こむぞう
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いかがでしょうか?公務員の方は、計算してみてください。

おまけ「時間外勤務手当計算ツール」

 以上のように計算するものですが、大変なので未熟ながら計算ツールをエクセルファイルで作ってみました。

 このエクセルファイルの「入力シート」に給料月額等を入力すれば、シート「計算結果」に計算結果が表示されるようになっています。もっといいものができたら更新していきたいと思いますが、よければ使ってください。

こむぞう
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今までの説明がよく分からなくても、これで計算結果は出せます。是非使ってみてください。

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時間外勤務等の関連リンク

 このほか、時間外勤務等の関連リンクを置いておきます。参考にしてみてください。

こむぞう
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ちなみに、とても悩ましい週休日と休日が重なった場合については、休日勤務手当の記事を御覧ください。

時間外勤務手当の使い道

 あなたは、時間外勤務手当が手に入ったら何に使いますか?

 パーッと飲みに行きますか?

 ブランド品等の好きな物を買うために使いますか?

 それとも将来を考えて貯金?

 どれもいいと思いますが、もしそんなにあてがなかったり貯金するのであれば、投資をするのはどうでしょう?

 将来のお金は、不安です。

 少しずつ値上げをしていますし、給与が増えにくいのに、高齢化社会ですので、労働者の社会保険料は増えていっています。

 もらう金額の基準はいつの時代の人も大きく変わりませんが、年々お金を使うことが多くなります。

 少しでもお金を増やしておかないと自分を守ることができません。一度御検討ください。

こむぞう
こむぞう

投資は自己責任ですが、貯金するより結構いい見返りがありました。そんな私の結果は、こちら

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