給与7割!?60歳の公務員のこれから~定年65歳へ~

働き方のヒント(人事給与)
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 ブログ「公務員ってどうなの?」のこむぞうです。

 

 公務員の定年は、現行では原則として60歳となっていますが、法改正により定年が少しずつ65歳に引き上がります。

 

 あなたにとってまだ先の話であっても、今後の生涯設計としてとても重要な内容です。放っておくと取り返しのつかないことにもなりかねません。人事担当10年間従事した私、こむぞうが解説していきますので、しっかりと把握しておきましょう!

まねこ
まねこ

条例整備情報として、記事後半に条例案の参考情報があるから、条例担当になったら見てね。

 

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法改正情報

 まずは法改正情報の紹介です。気にしなくとも問題ありませんが、定年の引上げに関わったのは次の法律だということは、承知しておいてください。

  • 公布の日 令和3年6月13日
  • 施行期日 令和5年4月1日(一部公布の日)

 

 ちなみに国家公務員の法改正は、こちら。地方公務員は、国家公務員の制度を基準として条例で定めることがあるため、こちらも無視できません。

  • 公布の日 令和3年6月13日
  • 施行期日 令和5年4月1日(一部公布の日)
 

後述の「条例等の整備」に記載した人事院規則も関係しているけど、細かくなるからこの項目では省略するよ!

 

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60歳以後の給与は、7割に減る。

 最も辛いところです。60歳以後の給与は、どの職員も原則として7割に減ります。

 

 計算例は、次のとおりです。

令和4年4月版人事院給与局・内閣官房内閣人事局「国家公務員の60歳以降の働き方について-情報提供・意思確認制度に基づく情報提供パンフレット-」から抜粋

 

退職手当は、7割に減る前の給料で計算

 退職手当の計算は、退職日の給料月額も決め手になるので、一見すると給料月額が7割に減額すると損するように思えます。しかし、下の図のとおり給料月額が減額前の期間で計算した額と減額後の期間で計算した額の合計を退職手当の基本額としますので、損をする計算にはなりません(ピーク時特例)。

総務省公務員部「地方公務員法の一部を改正する法律について(地方公務員の定年引上げ関係)」から抜粋

 

60歳以後の公務員の道

 定年引上げ後がどうなるか、御説明します。60歳以後の道は、大きく分けて次の7種類となります。

 

定年引上げ計画

 上述のとおり、定年は、現行の60歳から、61歳、62歳、63歳、64歳、65歳の順に段階的に引き上げられます。

 

 引き上げられる計画は、2年に1歳ずつ定年が引き上げられるため、次の表のとおりとなります。

令和4年4月版人事院給与局・内閣官房内閣人事局「国家公務員の60歳以降の働き方について-情報提供・意思確認制度に基づく情報提供パンフレット-」から抜粋

 この表のとおり、最終的に令和13年度で定年は65歳となり、完成します。

まねこ
まねこ

65歳で定年退職をする場合は、令和13年度に定年が65歳に上がるから、退職するのは令和14年度になるんだね。

 

管理監督職勤務上限年齢による降任等(いわゆる役職定年制)

 いわゆる役職定年制です。

 

 管理監督職は、管理監督職勤務上限年齢(条例で定めますが、原則として60歳)以上になると、原則として管理監督職未満の職に降任となります。

まねこ
まねこ

え?さっき60歳以上になると給与が7割になるって言ってたのに、そこから管理監督職未満の給与になるの!?

 

こむぞう
こむぞう

そこは大丈夫。60歳前の給与の7割として保障されるんだ。

 管理監督職勤務上限年齢による降任等がされた場合の給料の算出例(国家公務員のもの)は、次の図のとおりです。

令和4年4月版人事院給与局・内閣官房内閣人事局「国家公務員の60歳以降の働き方について-情報提供・意思確認制度に基づく情報提供パンフレット-」から抜粋

 細かい計算としては、管理監督職のとき(60歳前)の給料の7割と管理監督職未満の職に降任した後(60歳後)の給料の7割の差額(管理監督職勤務上限年齢調整額)を給料として支給され、管理監督職の給料の7割扱いにし、結果として60歳前の給料の7割にするものです。

 

 なお、管理監督職勤務上限年齢による降任等がされる管理監督職は、条例で定めることとなっていますので、各自治体で確認してください。

第二十八条の二 任命権者は、管理監督職(地方自治法第二百四条第二項に規定する管理職手当を支給される職員の職及びこれに準ずる職であつて条例で定める職をいう。以下この節において同じ。)を占める職員でその占める管理監督職に係る管理監督職勤務上限年齢に達している職員について、異動期間(当該管理監督職勤務上限年齢に達した日の翌日から同日以後における最初の四月一日までの間をいう。以下この節において同じ。)(第二十八条の五第一項から第四項までの規定により延長された期間を含む。以下この項において同じ。)に、管理監督職以外の職又は管理監督職勤務上限年齢が当該職員の年齢を超える管理監督職(以下この項及び第四項においてこれらの職を「他の職」という。)への降任又は転任(降給を伴う転任に限る。)をするものとする。ただし、異動期間に、この法律の他の規定により当該職員について他の職への昇任、降任若しくは転任をした場合又は第二十八条の七第一項の規定により当該職員を管理監督職を占めたまま引き続き勤務させることとした場合は、この限りでない。

令和3年改正法による改正後の地方公務員法第28条の2第1項
こむぞう
こむぞう

管理職手当が支給されている職員が管理監督職とされるのが基本です。

 

 管理監督職勤務上限年齢による降任等の後の職は、管理監督職未満で上位の職とされています。これは、国家公務員がその降任等の基準を次のとおり定めているためです。

 人事の計画その他の事情を考慮した上で、法第八十一条の二第一項に規定する他の官職のうちできる限り上位の職制上の段階に属する官職に、降任等をすること。

人事院規則11-11(管理監督職勤務上限年齢による降任等)第6条第1項第2号

 

 ほかにも、管理監督職勤務上限年齢による降任等をするのを延長して引き続き管理監督職のままとするルール(特例任用)もありますが、分かりにくくなるのでこの記事では省略します。

 

定年前再任用短時間勤務職員として再任用

 改正前の再任用職員制度は、簡単にいえば、定年退職等をした公務員を同じ自治体に再任用するという制度です。ある程度給与等の勤務条件の範囲が決められているので、単に採用し直すという意味ではありません。

 

 定年前再任用短時間勤務職員制度は、改正前の再任用職員制度と大きく変わりません。変わるとしたら、次の点くらいです。

  • 定年前に退職した60歳以上の者を再任用する制度であるということ(改正前の再任用職員制度は、定年退職後が原則)。
  • フルタイム勤務の定年前再任用制度は、短時間勤務のみ(改正前の再任用職員制度では、フルタイム勤務の職がある。)
  • 任期は、常勤の職員の定年退職日まで(改正前の再任用職員制度の任期は、1年(更新は、65歳到達年度まで)

 

暫定再任用職員として再任用

 改正前の再任用職員制度を改正後でもまだ使えるというものです。

 

 ただし、次の表のとおり利用できる期間に制限があり、令和14年3月31日までで終了となります。

総務省公務員部「地方公務員法の一部を改正する法律について(地方公務員の定年引上げ関係)」から抜粋

 

 この制度では、改正前の再任用職員制度と同様のため、フルタイム勤務の再任用職員になることもできます。

 

高齢者部分休業(条例で定めている自治体のみ)

 使える自治体は少ないのですが、高齢者部分休業という制度があります。

 

 定年引上げに関係なくあった制度で、いわゆる正規職員としたままで勤務時間を減らすことができる制度として活用することができるので、多様な働き方の一つとして再注目されています。

第二十六条の三 任命権者は、高年齢として条例で定める年齢に達した職員が申請した場合において、公務の運営に支障がないと認めるときは、条例で定めるところにより、当該職員が当該条例で定める年齢に達した日以後の日で当該申請において示した日から当該職員に係る定年退職日(第二十八条の二第一項に規定する定年退職日をいう。)までの期間中、一週間の勤務時間の一部について勤務しないこと(次項において「高齢者部分休業」という。)を承認することができる。

地方公務員法第26条の3第1項

 

 この条例で定める年齢は、多くの自治体が55歳としています。

 

 勤務しない時間は、条例で定めるところによりますが、多くの自治体が2分の1以内としています。

 

 ただし、給与は、勤務しない分(高齢者部分休業として休んだ分)が減額されることのほか、退職手当も高齢者部分休業の期間が2分の1で計算することとなります。

まねこ
まねこ

給与はよさそう。でも責任はいわゆる正規職員と同じか。

こむぞう
こむぞう

自治体によるけど、職員定数にカウントされてしまう場合は採用数が減ってしまうので、そもそも人事担当側が制度化しようと思わないかもしれないな。

 

会計年度任用職員等として採用

 会計年度任用職員は、勤務条件の設定に法的な制限が少ないので、自由度の高い任用制度です。詳しくは、会計年度任用職員に関する記事を御覧ください。

 

 いわゆる正規職員の補助的な業務を行う職員なので、責任は軽くなります。60歳以後は、会計年度任用職員が魅力的な職に映るかもしれません。

まねこ
まねこ

でも給与はきっと安いよね。

 

 公務員であれば、ほかにも任期付職員(特定任期付職員、任期付短時間勤務職員、育児休業職員の代替、配偶者同行休業職員の代替等を含む。)という道もあります。自分に合った職務、勤務条件等で探してみましょう。

 

退職(民間企業への再就職、起業等)

 もともと60歳になったら定年退職と思って採用当時から働いてきたわけですから、ここで公務員としての自分を終わらせてもいいかもしれません。

 

 しかし、何もしないのも面白くないので、民間企業への再就職、起業等をするのもいいかもしれませんね。

 

 資本主義が資本家のためのルールというのであれば、起業は、まさに勝者への道です。

 

 道は様々ですが、何もノウハウがないのであれば、まずは日本最大級のクラウドソーシング「クラウドワークス」から始めてみましょう。

 

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まねこ
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情報の提供及び勤務の意思の確認

 任命権者には、60歳に達する日以降に適用される任用 、給与及び退職手当の「制度」に係る情報を提供することが努力義務が課せられます。

23 任命権者は、当分の間、職員(臨時的に任用される職員その他の法律により任期を定めて任用される職員、非常勤職員その他この項の規定による情報の提供及び意思の確認を行わない職員として条例で定める職員を除く。以下この項において同じ。)が条例で定める年齢に達する日の属する年度の前年度(当該前年度に職員でなかつた者その他の当該前年度においてこの項の規定による情報の提供及び意思の確認を行うことができない職員として条例で定める職員にあつては、条例で定める期間)において、当該職員に対し、条例で定めるところにより、当該職員が当該条例で定める年齢に達する日以後に適用される任用及び給与に関する措置の内容その他の必要な情報を提供するものとするとともに、同日の翌日以後における勤務の意思を確認するよう努めるものとする。

令和3年改正法による改正後の地方公務員法附則第23項

 

 「条例で定める年齢」は、原則として60歳です。そのほか、条例で定める内容については、国家公務員の制度を基準とすることになるため、国家公務員法等改正法第1条の規定による改正後の国家公務員法(昭和22年法律第120号)第9条と人事院規則1-78(年齢六十年に達する職員等に対する情報の提供及び勤務の意思の確認)と照らし合わせて考えることとなります。

 

 おおむね次の内容が情報提供及び勤務の意思確認を行うよう努力義務が任命権者に課せられています。

  • 管理監督職勤務上限年齢による降任等に関する情報
  • 定年前再任用短時間勤務職員の任用に関する情報
  • 給与7割措置に関する情報
  • 退職手当に関する情報
  • その他勤務の意思確認のために必要な情報
  • 引き続き常時勤務を要する職を占める職員として勤務する意思
  • 年齢60年等に達する日以後の退職の意思
  • 定年前再任用短時間勤務職員として勤務する意向
  • その他任命権者が必要と認める事項

 

まねこ
まねこ

既にやってるところもありそうだね。

こむぞう
こむぞう

ちなみに国家公務員の情報提供及び勤務の意思確認資料については、次のとおりでき上がっています。分かりやすいので参考にしてみてください。

 

条例等の整備

 既に整備済みの自治体もあると思いますが、一応御紹介しておきます。

 

 基本的に総務省Webサイト「高齢対策」ページにある条例例(一部「同条」等の法令用語「同」が使われていないとか、用語が統一されていない箇所が若干見受けられるので注意!)をベースにすれば及第点ですが、次の表のとおり整理しておきます。人事給与関係の条例は、法令の条文をほぼそのまま移せばOK!これから条例整備する場合は、参考にしてみてください。

条例の略称参照すべき法令
定年条例・国家公務員法等改正法(国家公務員法等改正法第1条の規定による改正後の国家公務員法及び国家公務員法等改正法附則)
・人事院規則1-78
・人事院規則8-21(年齢六十年以上退職者等の定年前再任用)
・人事院規則11-8-51(人事院規則11-8(職員の定年)の全部を改正する人事院規則)
・人事院規則11-11
・人事院規則11-12(定年退職者等の暫定再任用)
懲戒条例人事院規則1-79(国家公務員法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係人事院規則の整備等に関する人事院規則)第26条の規定による改正後の人事院規則12-0(職員の懲戒))
外国地方公共団体派遣条例該当なし(人事院規則1-79の派遣関係人事院規則の一部改正を参考とする?)
育児休業条例国家公務員法等改正法(国家公務員法等改正法附則第19条の規定による改正後の国家公務員の育児休業等に関する法律(平成3年法律第109号)及び国家公務員法等改正法附則)
勤務時間条例・国家公務員法等改正法(国家公務員法等改正法附則第20条の規定による改正後の一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律(平成6年法律第33号)及び国家公務員法等改正法附則)
公益的法人等派遣条例該当なし(人事院規則1-79の派遣関係人事院規則の一部改正を参考とする?)
人事行政運営等状況公表条例該当なし
退職手当条例国家公務員法等改正法(国家公務員法等改正法第3条の規定による改正後の国家公務員退職手当法(昭和28年法律第182号)
給与条例・国家公務員法等改正法(国家公務員法等改正法第2条の規定による改正後の一般職の職員の給与に関する法律(昭和25年法律第95号)及び国家公務員法等改正法附則)
・人事院規則9-147(給与法附則第8項の規定による俸給月額)
・人事院規則9-148(給与法附則第10項、第12項又は第13項の規定による俸給)
職員団体行為制限特例条例該当なし
再任用条例(廃止)(定年前再任用短時間勤務職員と暫定再任用職員の任用制度をどうするかによっては、一部改正にすることもあり得ます。)
条例の略称は、私のこのほかにも、都道府県なら警察法の一部改正関係もあります。
まねこ
まねこ

ほかにも、「定年」、「60歳」、「再任用」、「地方公務員法」等のキーワード改正が必要か考えてみてね。

こむぞう
こむぞう

「条例で定めるところにより」と地方公務員法で使われるところは、「条例で定めるところにより」を除いた条文をそのまま条例に置くだけでOKです。これは、任期付職員条例もそのような構成になっていると思います。

 

終わりに

 以上が定年引上げの法改正後の公務員制度となります。まずは、給与が7割となってしまう60歳以後をどう過ごすかを考える必要があります。

 

 給与が下がっても(管理監督職であれば、管理監督職未満に下がった上で)フルタイム勤務で働き続けるか、定年前再任用短時間勤務職員等となって、責任と勤務時間を減らして働くか、きっぱりと退職して公務員以外の道に進むか、とても大きな選択となります。しかし、この記事を御覧のあなたであれば、この機会は次の新しい人生として受け止め、いい選択を続けることができるでしょう。

 

 さて、この記事のほか、お金についてはかなり整理が必要となってきますので、退職手当の計算、投資(iDeCoつみたてNISA等)、保険の見直し等のお金の守り方に関する記事を御覧いただき、よく備えておきましょう!

団体割引の保険(共済組合のグループ保険等)も職員じゃなくなると脱退することになるから、いろいろ大きいよね。

こむぞう
こむぞう

少しずつ考えて後悔のないようにしていきたいですね。

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