ブログ「公務員ってどうなの?」のこむぞうです。
約10年人事給与の仕事をしている私、こむぞうがこの月にどのようなことを人事給与担当部署が行っているか、御紹介します。
これを知れば、次の人にはお役に立てると思いますので、是非御覧ください。
- 人事給与担当部署に所属していて仕事のスケジュールの整理がしたい人
- 人事給与担当部署が何をしているか興味のある人
いよいよ年度末!
正念場です!
毎月の給与事務
年度最後の給与です。
退職者については、3月勤務分の時間外勤務、特殊勤務等がなければこの月が最後の給与となります。
給与から控除しなければならないものは、この月に必ず控除しなければなりません。
退職者からのみ特別に必要な給与控除は、具体的にいうと次のとおりです。
- 5月までの住民税
- 駐車場の利用料金(利用した料金を翌月に徴収する場合)
- その他4月以降に給与から控除するもの
結構控除もれがないか神経を使います。
また、どこかの支出科目の人件費予算が不足している場合は、予算の流用等で確保する必要があります。そのため、給与計算を早く行い、不足額を把握する必要があります。
いつもより仕事が前倒しになるから大変!
新規採用職員の事前説明会
自治体によって様々だと思いますが、4月1日付けで採用される職員の採用手続の説明の一環で、全員集まって御案内をします。
私の自治体では、主にこれらの書類です。
- 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
- マイナンバーカード等の番号確認書類
- 通勤届
- 給与及び旅費の振込口座関係書類
- 共済組合員申告書(愛知県市町村職員共済組合であれば、申請書類ダウンロードページからダウンロード可)
- (共済組合関係)年金加入期間等報告書(愛知県市町村職員共済組合であれば、申請書類ダウンロードページからダウンロード可)
- 履歴書(自治体ごとに指定様式がある場合)
- 貸与物品(職員章、名札、防災服等)の貸与
- 共済被扶養者申告書等(保険証の扶養認定が必要な場合のみ。愛知県市町村職員共済組合であれば、「共済被扶養者申告書」及び「扶養申立書」が最低限必要。申請書類ダウンロードページからダウンロード可)
- 扶養親族届(扶養手当の支給対象者のみ)
- 児童手当・特例認定認定請求書等の児童手当関係書類(児童手当受給資格者のみ。公務員は、職場に提出)
- 前職の証明関係書類(採用前の職場の期間がある場合のみ。給料が上がるかも)
- 互助会の加入手続(希望者のみ)
- 職員労働組合の加入手続(希望者のみ)
- 駐車場の利用申請書類(自動車通勤該当者のみ。自治体による。)
- その他
毎回年金加入期間等報告書の書き方の問合せが多くあります。自分の年金加入期間は、自分でしか分からないので、よく確認しておきましょう。
学生の頃の国民年金を親が払ってくれていたということもあるから、親にも聞いてみてね。
新規採用職員研修の準備
新年度が始まって早々に新規採用職員には研修を受けてもらい、公務員として公務を行ってもらいます。
地方公務員制度、地方自治制度、自治体の紹介等の様々な研修プランが自治体ごとにあると思います。
自治体にもよると思いますが、どこかに任せることなく自治体自ら行うのがほとんどだと思いますので、研修の御案内から講師まで全て職員が行いますので、研修プラン、講師の確保、研修資料の作成等を行います。
短期間とはいえ、この研修進行にはずっと注意を払っていますので結構大変です。
退職する常勤の職員への案内(退職者説明会の開催)
こちらも自治体によって様々だと思いますが、3月に退職する職員が最も多いので、全員集めて説明会を開催している場合があります。
御案内する内容は、おおむね次のとおりです。
- 共済組合員申告書の提出(共済組合の資格喪失手続。様式は、愛知県市町村職員共済組合であれば、申請書類ダウンロードページからダウンロード可)
- 共済組合の組合員証とその被扶養者証の回収(発行されている人のみ)
- 共済組合喪失連絡票の配布(次の保険証の加入手続で必要。退職証明としても活用可)
- 退職手当請求書始め退職手当関係書類一式
- 貸与物品(職員章、名札、防災服等)の返却
- 任意継続組合員証の加入手続(他の保険証に入る場合は、不要)
- 共済貯金の解約手続(共済貯金の積立てをしていなければ、不要)
- 共済貸付の特別償還報告書の提出(貸付の返済手続。様式は、愛知県市町村職員共済組合であれば、申請書類ダウンロードページからダウンロード可)
- 互助会(職員相互で助け合う互助組織)の脱退手続(加入者のみ)
- その他
給与から控除されている生命保険や財形貯蓄は、自分で保険会社や金融機関と手続をしてね。
なお、この時期に御案内があると思いますが、再就職する場合は、元公務員の地位を利用して自治体に働きかけたり契約を迫ったりすると罰則を受けることがありますので注意しましょう(地方公務員法(昭和25年法律第261号)第38条の2、第60条第7号及び第64条)。
人事異動の整理
この頃にはもう人事異動はおおむね決まっています。
あとはその人事異動に従って、御案内をすることとなります。
- 採用決定
- 給料決定
- 通勤届の案内
- 赴任旅費の請求(職員派遣等の場合の一定条件を満たした職員のみ)
- 異動一覧表及び広報原稿の作成
- 辞令書の作成
- 職員名簿の作成
- その他
教育委員会の意見聴取
教育に関する事務の歳入歳出予算等については、教育委員会の意見聴取が必要となります。
第二十九条 地方公共団体の長は、歳入歳出予算のうち教育に関する事務に係る部分その他特に教育に関する事務について定める議会の議決を経るべき事件の議案を作成する場合においては、教育委員会の意見をきかなければならない。
地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和31年法律第162号)第29条
見逃しがちですが、人事異動もこの「歳入歳出予算のうち教育に関する事務に係る部分」に当たると考えられるため、教育委員会に出向させたり、教育委員会から出向させたい場合は、教育委員会の意見聴取が事前に必要となります。
これについては、当初予算の段階で教育委員会の意見聴取をしていればいい?それとも人事異動が確定してから?
私の所属団体では、当初予算と人事異動の両方で教育委員会の意見を聴いているよ。解釈が難しくてね。
辞令交付式の準備
人事異動では、辞令書を交付します。
この点について、任命権者が辞令を交付する式典を行います。
新たに採用される者、職が変わる職員、派遣される職員等と様々です。
人事異動は、自治体ごとにルールが違いますが重要な秘密扱いです。辞令を受ける職員本人との日程調整のタイミングが困ります。いつ本人に「辞令交付式に出席してもらうので4月1日は予定しておいてください。」って伝えたらいいものやら。4月1日の異動対象者は、最も多いので困りますね。
新型コロナウイルス感染症拡大防止のために辞令交付式をやめたり、辞令書を出さないことにした自治体もあるから、この準備は必要ない自治体もあるよ!
会計年度任用職員の退職と採用の手続
人事給与スケジュール2月の記事で準備をしましたが、いよいよこの月で実際に手続をします。
書類が大量に届きますので、埋もれないように素早く処理!
特に雇用保険の失業給付の手続のために離職票が欲しいって言われるね。もし4月に支給する給与等がある場合は、その額が確定しないと離職票はできないから注意!
具体的な手続は、人事給与スケジュール2月の記事で御紹介しました。もれなく進めましょう。
会計年度任用職員の名簿作成
上述のとおり採用手続を終えたら、次は名簿作成です。
1会計年度を超えない範囲内で置かれる非常勤の職なので(地方公務員法第22条の2第1項)、この3月で会計年度任用職員の誰もが任期満了となり、4月以降も継続する場合は、4月から採用し直します(再度の任用)。
大半が翌年度に継続されるとはいえ、大量の「採用」があるので名簿の整備が大変です。早めにやっておきましょう。
さりげなく4月から勤務条件が変わるという会計年度任用職員もいたりします。量が多いので口頭でのやり取りは危険です。必ず書類で確認しましょう。
共済組合の被扶養者の延長案内
18歳というのは、就職と大学進学の分かれ道です。また、22歳も就職、大学在学、無職等の分かれ道です。
共済組合の被扶養者のままなのか、就職して健康保険等に入るのか。保険証がどちらになるか大きな分岐点です。
それを確認するのがこの手続です。
共済組合の被扶養者のままなら学生証又は在学証明書のコピーを、就職して共済組合の被扶養者認定要件を満たさないなら共済組合の資格喪失申告書類を共済組合に提出する必要があります。
給与・定員管理等の状況の公表の準備
人事給与スケジュール4月の記事で紹介していますが、給与・定員管理等の状況の公表を4月に行うため、資料収集が必要です。
行うことは、給与実態調査等の毎年恒例の調査回答を基に作成するので、資料を整理しておくだけで十分ですが、量がとてつもなく多いので大変です!
早めに準備しようね!
健康診断、産業医等の契約準備
人事給与スケジュール4月の記事で紹介していますが次の契約事務が必要となりますので、その契約事務の準備が必要となります。
- 雇入れ時の健康診断(労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第43条)
- 消防士のような深夜業を含む業務(労働安全衛生規則第13条第1項第3号ヌ)の場合に行われる特定業務従事者の健康診断(同令第43条)
- 産業医
休暇実績の整理
4月1日から翌年の3月31日までを1年度としている場合は、3月で全ての休暇実績を集計する必要があります。
特に年次有給休暇の繰越しのために必要なため、システムで管理されていないならば(アナログ管理ならば)、3月中旬から取り掛かります。
ちなみに、年次有給休暇の繰越しについては、人事給与スケジュール4月の記事でも言ってるけど、時効が2年だからね(労働基準法(昭和22年法律第49号)第115条)。やらなきゃいけない事務なんだ!
翌年度の研修計画
人材育成のために研修は重要です。
公務員の研修の記事でも紹介した階層別研修や独自研修。これを企画しなければなりません。
大部分は従来どおりなので、全て最初から企画し直すというわけではないんですけどね。
どのような研修を、誰に受講してもらうか、そしていつ開催するか。研修講師ともしっかり打合せをして決めていきます。
研修計画ができたら、もちろん受講対象者に予定しておいてもらうことも忘れないようにね!
翌年度の会場予約
自治体の会議室予約ルールによって様々だと思いますが、この月で翌年度1年分の全ての会場予約をしてしまいたいですね。
人事給与担当部署だと次のようなものがあります。
- 職員研修会場
- 採用試験会場
- 衛生委員会、特別職の報酬及び給与の審議会、懲戒審査委員会その他各種会議
最近だと新型コロナウイルス感染症対策もあるから、会議室を使うべきかどうかよく考えたいね。
「対面の必要がない。」と感じるような会議なら書面開催にした方がいいと思います。書面開催なら出席対象者の時間を奪わず、集中して自分だけの意見を出せるというメリットもあります。
規則等の整備
規則、訓令等の法整備は、この月が最も多くなります。これは、主に次のような場合に必要です。
- 人事給与制度の改正がある場合
- 新たな職や廃止する職ができた場合
- 新たな課、室等や廃止する課、室等ができた場合
特に組織の規則等の整備が必要となった場合は、簡単ですが広範囲の規則等に及ぶ場合があるため、結構大変です。
課の名前はもちろん、文書の決裁(専決)に関するルールも考える必要があります。
「専決」というのは、例えば市町村長の権限を一部与えられた部長、課長等が決めることができることです。
この事務が3月にない年が1回くらいないかと思っていましたが、必ず規則等の整備が必要となりました。
規則等の整備は、人事給与担当部署では避けられないんだね。
終わりに
これで人事給与スケジュールの12か月分は、最後です。
人事給与スケジュールの記事は、人事給与担当の後輩職員の負担を少しでも減らしてあげたいと思って書いてきました。
この先に何があるか分かってて仕事をするのとそうでないのとでは、結構負担が違うからね。
全てが役に立つとは限りませんが、私の約10年の人事給与担当としての知識。「転ばぬ先の杖」として使ってもらえればと思います。
ここまでお疲れさまでした。無事にこの年度を終えられることを祈っています。
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