ブログ「公務員ってどうなの?」のこむぞうです。
年末調整の時期になりましたので、その申告書の書き方について説明します。
やらなければならない年末調整。その難解な申告書を見て、こんなことを思っていませんか?
- 「申告書の項目が多くて何を書いたらいいか分からない。」
- 「申告して税金にどう影響があるの?」
この記事では、約10年以上人事給与担当として年末調整事務に携わってきた私がそのような悩みを解決できるようにできる限り簡単に説明していきます。
公務員の給与やよくある生活実態を基準にして説明しますが、給与を受けて働いている人にも参考になると思いますのでどうぞ御覧ください。
「記事を読んだり調べることすらつらい」「時間がない」という人は、税理士に相談してね。
年末調整は、職場でできる簡単な申告制度
年末調整は、正確な定義は他の資料にお任せしますが、簡単にいえば、職場が取りまとめる税の申告です。
労働者は、原則として年末調整を行わなければいけません。
確定申告をすればいいのですが、給与を支払った側(雇い主側)には年末調整をしなければならない義務がありますので、原則として年末調整を受けることとなります。
第百九十条 給与所得者の扶養控除等申告書を提出した居住者で、第一号に規定するその年中に支払うべきことが確定した給与等の金額が二千万円以下であるものに対し、その提出の際に経由した給与等の支払者がその年最後に給与等の支払をする場合(その居住者がその後その年十二月三十一日までの間に当該支払者以外の者に当該申告書を提出すると見込まれる場合を除く。)において、同号に掲げる所得税の額の合計額がその年最後に給与等の支払をする時の現況により計算した第二号に掲げる税額に比し過不足があるときは、その超過額は、その年最後に給与等の支払をする際徴収すべき所得税に充当し、その不足額は、その年最後に給与等の支払をする際徴収してその徴収の日の属する月の翌月十日までに国に納付しなければならない。
所得税法(昭和40年法律第33号)第190条
それでは、年末調整がどういうものか分かったところで、それぞれの申告書の書き方について御案内していきます。
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の書き方
この申告書は、年末調整を受ける人が必ず提出しなければならない書類 です。
主に親族の扶養、障害者、ひとり親等の控除を受けるために必要な書類です。
もし控除の内容が何もなかったら、申告書上部の氏名、住所等だけ書いて提出しましょう。
扶養控除等申告書の書き方については、こちらを御覧ください。
給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書の書き方
この申告書(正確には、基礎控除申告書)は、年末調整を受ける人が必ず提出しなければならない書類です。
年末調整をすれば誰もが受けられる基礎控除、配偶者を扶養することで受けられる配偶者控除又は配偶者特別控除及び税法改正に伴って損してしまう人のために用意された特別な調整(所得金額調整控除)を受けるために申告するものです。
さて、この申告書。長い名称ですが、次の3つの様式が「兼」で結ばれて一つになっています。
- 給与所得者の基礎控除申告書
- 給与所得者の配偶者控除等申告書
- 所得金額調整控除申告書
少し複雑ですが、この点に気を付けて提出しましょう。
基礎控除申告書、配偶者控除等申告書又は所得金額調整控除申告書の書き方については、こちらを御覧ください。
給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書の書き方
給与所得者の保険料控除申告書の書き方
この申告書は、保険料控除等を受けたい人だけが提出する書類です。
つまり、生命保険、個人年金保険、地震保険、社会保険(給与から控除されている分を除く。)、iDeCo等ですね。
保険料控除申告書の書き方については、こちらを御覧ください。
給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書の書き方
この申告書は、住宅ローンを持っている人が住宅借入金等特別控除(いわゆる「住宅ローン控除」)を受けたい人だけが提出する書類です。
住宅借入金等特別控除申告書の書き方については、こちらを御覧ください。
給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書の書き方
所得税の計算方法
ちなみにこれらの申告書を提出したとして、どうなるのでしょうか?所得税の計算方法も見てみましょう。
計算の全体像は、このようになっています。
最後の「年調年税額」を求めることが目標です。
「年調年税額」が1月から12月までの年間分の給与から算出される所得税ということになりますので、「年調年税額」を超えた分は還付されるし、足りない分は追加徴収される、ということになります。
もう少し詳しくいきましょう。
上の図のそれぞれの額の計算方法は、次の図のようになります。
【A】 | 「年末調整のしかた」の「給与所得控除後の給与等の金額の表」で、算出しましょう。例えば、年間給与収入が600万円の場合は、6,000,000円以上6,004,000円未満なので、【A】は4,360,000円です。 |
【B】 | 細かいので、基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書の書き方と保険料控除申告書の書き方で説明します。 |
【C】 | 【A】ー【B】で求めます。 |
【D】 | 図で使用するよう案内されている速算表がこちらです。 この速算表を使用して算出します。例えば、【C】が4,500,000円で算出されたら、【C】が3,300,000円超6,950,000円以下のため、4,500,000円×20%ー427,500円で算出するので【D】は472,000円(1,000円未満端数切捨て)となります。 |
【E】 | 税務署から受け取った申告書の各記入欄に何を書くか案内されているので、そのとおりに求めましょう。詳細は、住宅借入金等特別控除申告書の書き方で説明します。 |
【F】 | 【D】ー【E】で求めます。 |
【G】 | 【F】×102.1%で求めます。例えば、【F】が119,600円の場合は、119,600円×102.1%=122,100円(100円未満端数切捨て) |
【B】と【E】が大きいほど所得税が低くなるから、 所得控除の額と住宅借入金等特別控除額があるほどお得!
ちなみに私は、住宅借入金等特別控除で源泉所得税が全額還付されています。大きい!
その他参考
もっと詳しい説明が欲しいという人は、国税庁Webサイトで「年末調整がよくわかるページ」が開設されていますのでそちらを御覧ください。
また、国税庁で「ふたば」という自動で税務相談ができるチャットボットがあるようです。 |
ふたばさんに質問したいことをどう伝えたらいいかが少し難しい・・・。
また、次の冊子が国税庁から発行されていますので、ダウンロードして読んでみてください。
分厚いね。人事給与担当者向け?
申告者向けの説明資料かもね。私自身が申告する場合でもいろいろ悩みが解決されたよ。
おまけ「税の申告が複雑なら税理士相談」
税の申告は、給与収入だけなら上記のとおりでおしまいですが、副業(兼業)をしたり、住宅ローンを契約したり、まとまったお金を上げたりといったことをすると、どうするのがいいのかよく分かりません。
「調べてもそう簡単に答えが出てこない。」
「難しくてよく分からない。」
そんなことはありませんか?
そんなときは、専門家の力を借りるのが最もいいです。
お金をかけたくないので税務署に問い合わせるのが一番いいのですが、電話に出てくれた人によっては、「そんなはずはない」と思わされる対応をされることがあります。
私の場合は、住宅借入金等特別控除(いわゆる住宅ローン控除)の確定申告について、よく分からずに申告してしまったから修正申告をしようと思って電話したのに「もう修正申告はできない。」と断られました。後で税務担当職員に聞いたら「修正申告はできる」と言われました。どっち!?
税務署で欲しい回答がもらえなかった場合は、是非税理士に相談してみましょう。
今後の節税対策であれば、必要な費用だと思います。
私の住宅借入金等特別控除のように、分からないまま進めて通常より多くの税金を払ってしまうより、税理士に費用を支払って節税する方がいい結果を得られるかもしれません。
税金は、難しい。一般的なルールは見つかっても、自分の事例でどうかというと当てはまるか判断できないことが結構あるんだよね。
迷うくらいなら、税理士に相談してみた方がいいと思います。
もしいい税理士を知らない場合は、税理士ドットコムを利用しましょう。何度でも無料で税理士を紹介してもらえます。
リベラルアーツ大学の両学長もおすすめです。
こちらの動画では、よい税理士の見分け方と探し方を解説しつつ、税理士の探す手段の一つとして税理士ドットコムを紹介しています。よければ御覧ください。
トータルで得することが大事です。
いくらぐらい税理士に費用を支払うか(その費用は、相場に見合うものか)、自分のニーズに応えられるかという点も含めて相談してみましょう!
後悔のない選択をしてね!
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