【条例改正等】令和7年6月1日から拘禁刑に一本化!

公務員の法令情報
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 ブログ「公務員ってどうなの?」のこむぞうです。

 令和7年6月1日から禁錮と懲役が「拘禁刑」に一本化されるよう刑法の改正が決まっています。

 条例でも罰則として定めていたり、罰則を引用していることがあるので、改正が必要になります。

 そこで、刑法改正に伴う条例等の整備のポイントについてまとめました

 条例等の起案担当者及び審査担当者は、是非御覧ください。

まねこ
まねこ

そんなに難しい改正にはならないかな?

こむぞう
こむぞう

経過措置が難しい・・・。しっかり考え抜きましょう!

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法改正情報

 主に2本の法律が条例等に影響を与えます。

基本情報

  • 公布の日 令和4年6月17日
  • 施行期日 公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日(令和7年6月1日)ほか
まねこ
まねこ

これが刑法を改正している法律ね。

こむぞう
こむぞう

施行期日は、令和5年11月10日に公布された刑法等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(令和5年政令第318号)により決まりました。

  • 公布の日 令和4年6月17日
  • 施行期日 刑法等一部改正法の施行の日(令和7年6月1日)ほか
まねこ
まねこ

刑法等一部改正法ができるから、ということで他の法律を全て改正するのがこれ。

こむぞう
こむぞう

重要な経過措置は、この刑法等一部改正法に定められています。

懲役と禁錮を拘禁刑に一本化

 拘禁刑への一本化をするのは、簡単に言えば、懲役と禁錮は、実質同じ扱いになっていたので、拘禁刑という一つの罰則にまとめるというのが理由です。

  • 懲役と禁錮の違いは、作業の有無だが、どちらも結局作業をしている。
  • 禁錮の対象となる犯罪が偏っている。

 次のとおり詳しく解説していきます。

懲役と禁錮の違いは、作業の有無だが、どちらも結局作業をしている。

 厳密には、懲役と禁錮には、刑務作業と呼ばれる作業の義務に違いがあります。

 懲役は、刑事施設に拘置して所定の作業を行わせる

刑法等一部改正法第2条の規定による改正前刑法(明治40年法律第45号)第12条第2項

第九十三条 刑事施設の長は、禁錮受刑者(刑事施設に収容されているものに限る。以下この節において同じ。)又は拘留受刑者(刑事施設に収容されているものに限る。)が刑事施設の長の指定する作業を行いたい旨の申出をした場合には、法務省令で定めるところにより、その作業を行うことを許すことができる

刑法等一部改正法第5条の規定による改正前刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(平成17年法律第50号)第93条

 しかし、禁錮受刑者は、令和5年3月31日現在でも86.5パーセント「令和5年版犯罪白書」第2編第4章第3節2が作業に従事していました。

まねこ
まねこ

作業をしないのが禁錮なのに、結局作業をしちゃうんだね。

こむぞう
こむぞう

「作業をしないことがかえって苦痛」だそうだ(「改正刑法草案の解説」)。

 拘禁刑に一本化されると、受刑者の改善更正及び円滑な社会復帰を図るため必要と認められる場合に刑務作業を行わせることとなり、刑務作業をするかは刑事施設の長の判断となります。

 拘禁刑に処せられた者には、改善更生を図るため、必要な作業を行わせ、又は必要な指導を行うことができる

刑法等一部改正法第2条の規定による改正後刑法第12条第3項

第九十三条 刑事施設の長は、受刑者に対し、その改善更生及び円滑な社会復帰を図るため必要と認められる場合には、作業を行わせるものとする。ただし、作業を行わせることが相当でないと認めるときは、この限りでない。

刑法等一部改正法第5条の規定による改正後刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律第93条

禁錮の対象となる犯罪が偏っている。

 禁錮は、国の政治的秩序を侵害する政治犯その他の確信犯(自分の道徳、宗教、政治、経済等の理念を確信して実行される犯罪)等を対象とした刑罰として定められています。

まねこ
まねこ

政治犯というと、例えば、内乱罪、公務執行妨害罪、偽証罪等かな。

 しかし、実際禁錮に処されるのは、過失犯ばかりです。

 令和5年中では、禁錮に処された7件全てが自動車運転死傷処罰法違反(過失犯)でした(「令和5年司法統計年報(刑事編)」)。

 また、次のように、懲役と禁錮を区別することは現在では重要とまでは言えないという意見がありました。

 非破廉恥犯の典型の一つとして,「政治犯」が挙げられているところでございます。政治犯につきましては,本人の思想信念に従って犯罪を犯したことから,刑務作業を課すべきではないという発想が,これに禁錮刑を科すべきという理解の前提にあるかと思います。
 もっとも,このような理解にも十分な理由はない考えております。以下2点,理由を申し上げます。まず第1点ですが,政治犯という概念の曖昧さです。特定の犯罪類型が政治犯に該当するという明確な定義が存在するわけではございませんので,一定の犯罪類型について,それが政治犯であるとして特別な取扱いをすることは相当ではないと思います。
 第2に,政治犯については刑務作業を課すべきではないという理解は,恐らく刑務作業は苦役であり,言わば卑しい刑罰であるという発想を前提にしているように思われますが,そもそも刑務作業をこのように位置付けるべきではないことは,既にこれまでの分科会の議論からも明らかであるかと思います。このような観点からは,政治犯について特別な対応をするために禁錮刑を存置するという理解には十分な理由がないと考えます。

法制審議会少年法・刑事法(少年年齢・犯罪者処遇関係)部会第1分科会第3回会議(平成29年11月14日開催)議事録

 禁錮に処すべき犯罪の区別が曖昧で、刑務作業は「正しく労働の意味を理解するという意義,社会に戻ったときに自立し,活動していくための前提として労働の意義を再確認する意義を持って」いることから法制審議会少年法・刑事法(少年年齢・犯罪者処遇関係)部会第1分科会第3回会議(平成29年11月14日開催)議事録)懲役と禁錮を区別する理由がないと考えられました。

まねこ
まねこ

そうだったんだね。

こむぞう
こむぞう

以上のように懲役と禁錮を区別する理由がないという結論ですが、そもそも禁錮受刑者の入所は少ないため、これらの刑を一本化する影響は、とても小さいのです。

刑の種類令和4年中の受刑者数令和4年中の自由刑受刑者割合
懲役1万4,410人99.7%
禁錮44人0.3%
拘留5人0.03%
「令和5年版 犯罪白書」第2編第4章第2節3

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ただ「禁錮」と「懲役」を「拘禁刑」にするだけ!

 どう改正するかは簡単です。全ての「懲役」と「禁錮」を「拘禁刑」とするだけなので、次のような改正規定を置くだけです。

 第〇条中「懲役」を「拘禁刑」に改める。

まねこ
まねこ

あっさり!

こむぞう
こむぞう

禁錮の表記を「禁固」、「禁こ」等としている条例等もあるかもしれません。探すときは、「禁固」、「禁こ」等の簡略化した表記もキーワードとして探してください。

 難関は、経過措置です。

ポイントは、経過措置

 ポイントは、経過措置です。

 罰則を定めている条例はもちろん、法令の規定により処することとされる懲役及び禁錮について定めている条例についても、内容によっては必要となります。

罰則の適用等に関する経過措置

刑法等一部改正法等第441条 罰則の適用等に関する経過措置の図

 懲役と禁錮は、刑法等一部改正法等第441条の規定により、令和7年6月1日前の行為について処罰される場合は、経過措置により懲役又は禁錮として処罰されます。

第四百四十一条 刑法等の一部を改正する法律(令和四年法律第六十七号。以下「刑法等一部改正法」という。)及びこの法律(以下「刑法等一部改正法等」という。)の施行前にした行為の処罰については、次章に別段の定めがあるもののほか、なお従前の例による。

刑法等一部改正法等第441条第1項

 刑法等一部改正法等の施行後にした行為に対して、他の法律の規定によりなお従前の例によることとされ、なお効力を有することとされ又は改正前若しくは廃止前の法律の規定の例によることとされる罰則を適用する場合において、当該罰則に定める刑(刑法施行法第十九条第一項の規定又は第八十二条の規定による改正後の沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律第二十五条第四項の規定の適用後のものを含む。)に刑法等一部改正法第二条の規定による改正前の刑法(明治四十年法律第四十五号。以下この項において「旧刑法」という。)第十二条に規定する懲役(以下「懲役」という。)、旧刑法第十三条に規定する禁錮(以下「禁錮」という。)又は旧刑法第十六条に規定する拘留(以下「旧拘留」という。)が含まれるときは、当該刑のうち無期の懲役又は禁錮はそれぞれ無期拘禁刑と、有期の懲役又は禁錮はそれぞれその刑と長期及び短期(刑法施行法第二十条の規定の適用後のものを含む。)を同じくする有期拘禁刑と、旧拘留は長期及び短期(刑法施行法第二十条の規定の適用後のものを含む。)を同じくする拘留とする。

刑法等一部改正法等第441条第2項
まねこ
まねこ

刑法等一部改正法等第441条第2項は、どういうこと?

こむぞう
こむぞう

罰則の法改正が行われた場合で、その法改正がされるまでの行為については、その法改正後に処罰される場合でも法改正前の規定により処罰する扱いとしているときは、刑法等一部改正法等の施行後もこれまでどおり、ということだよ。

まねこ
まねこ

じゃあ罰則の改正をしたことがないなら、刑法等一部改正法等第441条第2項みたいな経過措置は必要ないね。

こむぞう
こむぞう

そのとおり!

 条例には、刑法等一部改正法等第441条を少し変えたものを経過措置として置けばOKです。

刑法等一部改正法等第441条第1項と同様の経過措置を条例に置く場合の規定例
 (経過措置)
 この条例の施行前にした行為の処罰については、なお従前の例による。
刑法等一部改正法等第441条第2項と同様の経過措置を条例に置く場合の規定例
 この条例の施行後にした行為に対して、他の条例の規定によりなお従前の例によることとされ、なお効力を有することとされ又は改正前若しくは廃止前の条例の規定の例によることとされる罰則を適用する場合において、当該罰則に定める刑に刑法等の一部を改正する法律(令和4年法律第67号。以下「刑法等一部改正法」という。)第2条の規定による改正前の刑法(明治40年法律第45号。以下この項において「旧刑法」という。)第12条に規定する懲役(以下「懲役」という。)、旧刑法第13条に規定する禁錮(以下「禁錮」という。)又は旧刑法第16条に規定する拘留(以下「旧拘留」という。)が含まれるときは、当該刑のうち懲役又は禁錮はそれぞれその刑と長期及び短期を同じくする有期拘禁刑と、旧拘留は長期及び短期を同じくする拘留とする。

人の資格に関する経過措置

 これは、給与条例が対象となります。

 国家公務員に適用される一般職の職員の給与に関する法律(昭和二十五年法律第九十五号)の一部改正においても、もちろん経過措置が置かれています。

第四百九十七条 刑法等一部改正法等の施行前に犯した禁錮以上の刑(死刑を除く。)が定められている罪につき起訴をされた者は、第七十条の規定による改正後の一般職の職員の給与に関する法律第十九条の六第一項(第一号に係る部分に限る。)及び第三項(第三号に係る部分に限る。)の規定の適用については、拘禁刑が定められている罪につき起訴をされた者とみなす。

刑法等一部改正法等第497条

基本情報

 一般職の職員の給与に関する法律第19条の6第1項は期末手当の一時差止処分について定め、同条第3項は当該一時差止処分の取消しについて定めています。

 どのような場合の期末手当の一時差止処分で、どのような経過措置の内容か詳しく解説します。

一般職の職員の給与に関する法律第19条の6第1項第1号の場合
一般職の職員の給与に関する法律第19条の6第1項第1号の場合

 一般職の職員の給与に関する法律第19条の6第1項第1号は、期末手当の一時差止処分が行うことができる場合のうち、このように、離職した元職員が禁錮(改正後は、拘禁刑)以上の刑で起訴された場合を定めています。

 離職した日から当該支給日の前日までの間に、その者の在職期間中の行為に係る刑事事件に関して、その者が起訴(当該起訴に係る犯罪について以上の刑が定められているものに限り、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第六編に規定する略式手続によるものを除く。第三項において同じ。)をされ、その判決が確定していない場合

刑法等一部改正法等第70条の規定による改正前一般職の職員の給与に関する法律第19条の6第1項第1号

 問題なのは、罰則の適用等に関する経過措置で説明したように、令和7年6月1日前の行為について処罰される場合は、経過措置により懲役又は禁錮として処罰されることです。

 改正後は拘禁刑以上の刑で起訴された場合の期末手当の一時差止処分となり、経過措置を置かないと令和7年6月1日以後に懲役又は禁錮の刑として起訴された場合、対象外となってしまいます。

 そこで、離職した元職員が禁錮又は懲役で起訴されたことを理由として、令和7年6月1日以後に期末手当の一時差止処分とする場合であっても一般職の職員の給与に関する法律第19条の6第1項第1号で「拘禁刑以上の刑」とあっても)、改正前と同様に同号の規定により期末手当の一時差止処分とすることができるようにするのが刑法等一部改正法等第497条です。

まねこ
まねこ

処罰する方針を変えたわけじゃないもんね。

こむぞう
こむぞう

そのとおり!この経過措置で言葉の整理をしたってところだな。

一般職の職員の給与に関する法律第19条の6第3項第3号の場合
一般職の職員の給与に関する法律第19条の6第3項第3号の場合

 一般職の職員の給与に関する法律第19条の6第3項第3号は、期末手当の一時差止処分を取り消さなければならない場合の一つとして、刑事事件に関し起訴をされることなくその期末手当の基準日から起算して1年を経過した場合を定めています。

 一時差止処分を受けた者がその者の在職期間中の行為に係る刑事事件に関し起訴をされることなく当該一時差止処分に係る期末手当の基準日から起算して一年を経過した場合

刑法等一部改正法等第70条の規定による改正前一般職の職員の給与に関する法律第19条の6第3項第3号
まねこ
まねこ

条文中に「懲役」も「禁錮」もないけど、何が関係しているの?

こむぞう
こむぞう

実は、一般職の職員の給与に関する法律第19条の6第1項第1号で限定された「起訴」の範囲が同条第3項にも及んでいるからなんだ。

 離職した日から当該支給日の前日までの間に、その者の在職期間中の行為に係る刑事事件に関して、その者が起訴(当該起訴に係る犯罪について禁以上の刑が定められているものに限り、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第六編に規定する略式手続によるものを除く。第三項において同じ。をされ、その判決が確定していない場合

刑法等一部改正法等第70条の規定による改正前一般職の職員の給与に関する法律第19条の6第1項第1号
まねこ
まねこ

なるほど。一般職の職員の給与に関する法律第19条の6第3項第3号の「起訴」は、禁錮以上の刑が定められている犯罪についての起訴で略式手続を除く、ということなんだね。

こむぞう
こむぞう

そのとおり。だから、一般職の職員の給与に関する法律第19条の6第1項第1号の場合と同じ経過措置が必要となるんだ。

条例にこの経過措置を置く場合の規定

 条例に刑法等一部改正法等第497条と同様の経過措置を置くのであれば、次のような規定となります。

刑法等一部改正法等第497条と同様の経過措置を条例に置く場合の規定例
 刑法等の一部を改正する法律(令和4年法律第67号)及び刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律(令和4年法律第68号)並びにこの条例の施行前に犯した禁錮以上の刑(死刑を除く。)が定められている罪につき起訴をされた者は、第〇条の規定による改正後の〇〇市職員の給与に関する条例第〇条第1項(第1号に係る部分に限る。)及び第3項(第3号に係る部分に限る。)の規定の適用については、拘禁刑が定められている罪につき起訴をされた者とみなす。

様式の経過措置

 様式といっても、相手に書いてもらうための申請書等と相手に渡す証書等とで取扱いが異なります。注意しながら、経過措置を検討しましょう。

既に提出された申請書等の様式を有効なものとして取り扱う場合

 既に提出されている申請書等に記載されている「懲役」又は「禁錮」を「拘禁刑」に改める場合で、改正前の申請書等の様式を引き続き有効なものとして取り扱うときは、次のような経過措置を置きましょう。

 この省令の施行の際現に提出されている旧雇保則様式第十号の四による未支給失業等給付請求書、旧雇保則様式第三十三号の二による教育訓練給付金支給申請書、旧雇保則様式第三十三号の二の二による教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票、旧雇保則様式第三十三号の二の四による教育訓練給付金支給申請書、旧雇保則第三十三号の二の五による教育訓練給付金支給申請書、旧雇保則第三十三号の二の六による教育訓練給付金受給者氏名変更届、教育訓練給付金受給者住所変更届及び教育訓練給付金受給者電話番号変更届並びに旧雇保則第三十三号の二の七による教育訓練支援給付金受講証明書は、それぞれ新雇保則様式第十条の四による未支給失業等給付請求書、新雇保則様式第三十三号の二による教育訓練給付金支給申請書、新雇保則様式第三十三号の二の二による教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票、新雇保則様式第三十三号の二の五による教育訓練給付金支給申請書、新雇保則様式第三十三号の二の六による教育訓練給付金支給申請書、新雇保則第三十三号の二の八による教育訓練給付金受給者氏名変更届、教育訓練給付金受給者住所変更届及び教育訓練給付金受給者電話番号変更届並びに新雇保則様式第三十三号の二の九による教育訓練支援給付金受講証明書とみなす

雇用保険法施行規則及び生活保護法別表第一に規定する厚生労働省令で定める情報を定める省令の一部を改正する省令(令和6年厚生労働省令第111号)附則第2条第2項

印刷された申請書等の様式を使用することができることとする経過措置

 すぐに記入してもらえるようにあらかじめ印刷された申請書等の様式を加筆調整をして使用することができることとする経過措置もあります。

第二条 この命令の施行の際現に存する第一条の規定による改正前の対内直接投資等に関する命令別紙様式第一から第七の四まで及び別紙様式第九による用紙は、当分の間、これを取り繕い使用することができる。

対内直接投資等に関する命令及び外国為替法令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律施行規則の一部を改正する命令(令和2年内閣府・総務省・財務省・文部科学省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省・環境省令第6号)附則第2条

 加筆調整をしなくても使用することができることとする経過措置もあります。

 この省令による改正前の港湾法施行規則第五号の二の二様式による港湾環境整備計画認定申請書及び第五号の二の三様式による港湾環境整備計画変更認定申請書については、新規則第五号の二の二様式及び第五号の二の三様式にかかわらず、当分の間、なおこれを使用することができる。

港湾法施行規則の一部を改正する省令(令和6年国土交通省令第77号)附則第2条第2項
まねこ
まねこ

改正前の様式を改正後の様式とみなす場合と、「なおこれを使用することができる。」とする場合は、どう違うんだろうね?

こむぞう
こむぞう

制度を確認する必要はありますが、大差なさそうですね。

既に交付した受給者証等の様式を改めたが有効なものとして取り扱う場合

 既に交付した受給者証等の注意事項に記載されている「懲役」又は「禁錮」を「拘禁刑」に改める場合で、改正前の受給者証等の様式を引き続き有効なものとして取り扱うときは、次のような経過措置を置きましょう。

 この省令の施行の際現に交付されている旧雇保則様式第三十三号の二の三による教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格者証は、新雇保則様式第三十三号の二の四による教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格者証とみなす

雇用保険法施行規則及び生活保護法別表第一に規定する厚生労働省令で定める情報を定める省令の一部を改正する省令(令和6年厚生労働省令第111号)附則第2条第3項

 この省令の施行の際現に交付されているこの省令による改正前のマンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則(以下この項において「規則」という。)別記様式第二十二号による管理業務主任者証は、この省令による改正後の規則別記様式第二十二号による管理業務主任者証とみなす。

マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平成27年国土交通省令第12号)附則第2項

 既に交付されているものかはっきりさせていませんが、次のような経過措置もあります。

第二条 この省令による改正前の別紙様式第十一号による組合員証、別紙様式第十五号による組合員被扶養者証、別紙様式第十五号の三による高齢受給者証、別紙様式第二十一号の二による特定疾病療養受療証、別紙様式第二十一号の二の三による限度額適用認定証、別紙様式第二十一号の三による限度額適用・標準負担額減額認定証、別紙様式第三十九号による船員組合員証及び別紙様式第四十号による船員組合員被扶養者証は、当分の間、この省令による改正後の別紙様式第十一号、別紙様式第十五号、別紙様式第十五号の三、別紙様式第二十一号の二、別紙様式第二十一号の二の三、別紙様式第二十一号の三、別紙様式第三十九号及び別紙様式第四十号の様式によるものとみなす。

国家公務員共済組合法施行規則の一部を改正する省令(令和3年財務省令第2号)附則第2条

作成された受給者証等の様式を加筆調整をして使用することができることとする経過措置

 およそ証明書のような役割なので、加筆調整をすることは慎重にすべきと考えますが、省令の例には加筆調整をして使用することができることとする経過措置もあります。

第三条 この省令の施行の際現に存するこの省令による改正前の別紙様式第十一号、別紙様式第十五号、別紙様式第十五号の三、別紙様式第二十一号の二、別紙様式第二十一号の二の三、別紙様式第二十一号の三、別紙様式第三十九号及び別紙様式第四十号の用紙は、当分の間、これを取り繕い使用することができる。

国家公務員共済組合法施行規則の一部を改正する省令(令和3年財務省令第2号)附則第3条
まねこ
まねこ

この改正は、国家公務員共済組合の組合員証等の裏面にオンライン資格確認をするよう説明を書いておく様式改正がされたときのものだね。

こむぞう
こむぞう

そのくらいの内容なら加筆調整で対応するという経過措置なんだな。

制定の経過措置

 制定しても、すぐに「懲役」又は「禁錮」を改正しなければいけない場合は、「懲役」又は「禁錮」が「拘禁刑」となる前であっても「拘禁刑」として定め、次のような経過措置を置きましょう。

 刑法等の一部を改正する法律(令和四年法律第六十七号)の施行の日の前日までの間に禁錮以上の刑に処せられた者については、これを拘禁刑に処せられた者とみなして、第二条第二項第七号の規定を適用する。

特定新需要開拓事業活動計画の認定等に関する命令(令和6年内閣府・総務省・財務省・文部科学省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省・環境省令第7号)附則第2項

 なお、特定新需要開拓事業活動計画の認定等に関する命令第2条第2項第7号は、「申請者及び共同実施者の役員その他これに相当する者(以下この号において「役員等」という。)が次のいずれにも該当しないことを証する書類」と定められていて、同号ハに拘禁刑が登場します。

 拘禁刑以上の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者

特定新需要開拓事業活動計画の認定等に関する命令第2条第2項第7号ハ

改正が必要な条例、規則等

 おおむね次の条例、規則等に「懲役」、「禁錮」、「禁こ」、「禁固」等が用いられているため、改正が必要となります。

  • 個人情報の保護に関する法律施行条例
  • 職員の給与に関する条例
  • 消防団条例
  • 非常勤消防団員に係る退職報奨金の支給に関する条例
  • 議会の議員その他非常勤の職員の公務災害補償等に関する条例施行規則
  • 子ども医療費の助成に関する条例施行規則
  • 母子家庭等の医療費の助成に関する条例施行規則
  • 心身障害者医療費の助成に関する条例施行規則
  • 障害者総合支援規則
  • 非常勤消防団員等に係る損害補償の支給等に関する規則
  • 公職選挙管理規程
  • その他

罰則の改正は、地方検察庁と協議及び通知をする。

 罰則の定めのある条例の制定、改廃等に当たっては、関係地方検察庁と協議を行うこととされています。

貴地方公共団体において制定又は改廃される罰則の定めのある条例(条例自体には罰則規定を含まないものであっても、青少年保護育成条例、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の規定に基づく条例等、罰則の定めのある法令の補充規定として制定されたものを含む。)の通知方については、平成22年10月5日付け名地企第359号「罰則の定めのある条例の制定又は改廃に関する通知について(依頼)」等により、同条例の通知方を煩わせておりますが、今後とも同条例を制定又は改廃されたときは、同条例及び施行規則の写し(改廃に当たっては、改正後の条例及び新旧条文の対照一覧表を含む。)を添えて通知していただきますよう、重ねて依頼いたします。なお、罰則の定めのある条例の制定又は改廃に当たり、事前に当庁の意見を求められるならば、進んで協力したいと存じますので申し添えます。

令和4年9月16日付け名地企第10021号「罰則の定めのある条例の制定又は改廃に関する通知について(依頼)」
まねこ
まねこ

必ず協議が必要ってわけじゃなさそうだね。

こむぞう
こむぞう

罰則を触る機会は少ないので、検察庁と協議した方が無難です。

 検察協議の期間は、2か月程度とされていますので、早めに管轄の地方検察庁に協議を求めましょう。

まねこ
まねこ

罰則の改正ならどんな改正でも協議が必要なの?

こむぞう
こむぞう

地方検察庁に確認した方がいいね。個人的な感覚だと、直接罰則を定めた規定だけが検察協議の対象になると思っているよ。

 なお、検察協議は、担当部署で立案後、法規部門でのチェックを経た条例案(改廃の場合は新旧対照表も)及びその資料を、検察庁担当者に事前連絡の上、次のメモとともに、送付しましょう。

  • 地方公共団体の担当部署、担当者名及び連絡先(電話番号、メールアドレス等)
  • 制定しようとする罰則の定めのある条例の題名
  • 条例制定(改廃)の目的、必要性、地域的事情(特に罰則規定を設ける目的や必要性について)
  • 条例案の上位法又は抵触する恐れのある法令等の有無(その法令等がある場合は、その名称等)
  • 参考にした他の地方公共団体の同種条例等の有無(その同種条例等がある場合は、その名称等)
  • 条例案に引用している別の条例等の有無(その条例等がある場合は、その名称等)
  • 条例案の制定により廃止される条例等の有無(その条例等がある場合は、その名称等)
  • 条例案に、上位法又は他の地方公共団体の同種条例には見られないような、独自又は異例の規定を設けようとしている場合は、その目的、必要性、地域的事情、合法性に関する担当者の見解等
  • 県庁等の関係機関との協議又は相談の有無(その協議又は相談がある場合は、その内容等)
  • 罰則規定に関し、刑の種類の選択及び上限又は下限の設定理由
  • 条例案を議会に提出する時期
  • 検察協議の回答希望日
まねこ
まねこ

多いね・・・。

こむぞう
こむぞう

私の自治体を管轄する地方検察庁は、優しかったそうです。このメモどおりの厳密な手続は問われないかもしれません。なお、検察協議方法について問い合わせたら、メールでやり取りをするとのことでした。

 罰則の定めのある条例を制定又は改廃をしたときは、その条例及び規則の写し(改廃に当たっては、改正後の条例及び新旧条文の対照一覧表を含む。)を添えて管轄の地方検察庁に通知してください。

まとめ

 では、まとめです。

  • 「懲役」、「禁錮」、「禁こ」、「禁固」等をキーワードにして改正が必要な条例、規則等を探す。
  • 改正は、「第〇条中「懲役」を「拘禁刑」に改める。」「第〇条中「禁錮」を「拘禁刑」に改める。」でOK
  • ポイントは、経過措置
  • 罰則を定めた条例を改正する場合は、2か月以上前に地方検察庁に協議を依頼する。
まねこ
まねこ

これで条例改正なんて怖くないね!

こむぞう
こむぞう

ほかにも、条例改正等の進め方について別の記事で条例改正等のマニュアルを書いていますので、参考として御覧ください。

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