【更新予定あり】公益通報(内部通報等)の規制が強化されます!

法令情報
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 こむぞうです。

 皆さんは、公益通報とは何か御存じですか?今回は、公益通報者保護法の一部を改正する法律(令和2年法律第 51 号)の規定による公益通報者保護法(平成16年法律第122号)の一部改正について御紹介します。公務員も無視できない内容ですので、しっかり把握しておきましょう。

 なお、後述する内閣総理大臣の指針によっては、この記事の内容を更新しますので御容赦ください。

公益通報とは

 まず公益通報という聞きなれない言葉を説明しなければなりません。

 公益通報とは、つまり、企業等の不正について内部通報又は外部通報をすることをいいます。法律上の定義は、次のとおりです(今回の法改正で改正)。括弧が多くて読みにくいので、慣れない方は、括弧を読み飛ばしてください。

第二条 この法律において「公益通報」とは、次の各号に掲げる者が、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的でなく、当該各号に定める事業者(法人その他の団体及び事業を行う個人をいう。以下同じ。)(以下「役務提供先」という。)又は当該労務提供先の事業に従事する場合におけるその役員(法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人並びにこれら以外の者で法令(法律及び法律に基づく命令をいう。以下同じ。)の規定に基づき法人の経営に従事している者(会計監査人を除く。)をいう。以下同じ。)、従業員、代理人その他の者について通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしている旨を、当該役務提供先若しくは当該役務提供先があらかじめ定めた者(以下「役務提供先等」という。)、当該通報対象事実について処分(命令、取消しその他公権力の行使に当たる行為をいう。以下同じ。)若しくは勧告等(勧告その他処分に当たらない行為をいう。以下同じ。)をする権限を有する行政機関若しくは当該行政機関があらかじめ定めた者(次条第二号及び第六条第二号において「行政機関等」という。)又はその者に対し当該通報対象事実を通報することがその発生若しくはこれによる被害の拡大を防止するために必要であると認められる者(当該通報対象事実により被害を受け又は受けるおそれがある者を含み、当該役務提供先の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある者を除く。次条第三号及び第六条第三号において同じ。)に通報することをいう。

公益通報者保護法の一部を改正する法律(令和2年法律第 51 号)の規定による改正後の公益通報者保護法(平成16年法律第122号。以下「新公益通報者保護法」という。)第2条

 この法律が保護する公益通報の通報先は、簡単にいうと次のとおりです。

通報内容通報先
内部通報それぞれの勤務先の通報窓口、上司、人事部門等。要確認
外部通報(行政機関あて)当該通報対象事実について処分又は勧告等をする権限を有する行政機関(改正後は、行政機関があらかじめ定めた者を含む。)。つまり、違反している法令による。企業の勤務条件違反であれば、労働基準監督署とか。
外部通報(報道機関等あて)当該通報対象事実を通報することがその発生又はこれによる被害の拡大を防止するために必要であると認められる者(ライバル企業等の勤務先の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある者を除く。)。具体的には、報道機関、消費者団体、事業者団体、労働組合等

 そのほか、そもそもの制度については、こちら(消費者庁ホームページ)をどうぞ

法改正の内容

 法改正の資料は、次のとおりです。

  • 公布の日 令和2年6月12日
  • 施行期日 公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日

 施行期日は、令和4年6月11日までで決まるようですが、消費者庁のQ&Aでは令和4年頃とされています。なお、公布される政令の名称は、恐らく「公益通報者保護法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」となると思われます。

 さて、内容が多いので少しずつポイントを絞って読み解いていきましょう。私が重要だと思うポイントを紹介するため、ほかの内容も気になる方は、消費者庁のホームページ等を御覧ください。

公益通報の対象が増える。

 公益通報の対象が増えます。改正後の通報対象は、次のとおりです。

公益通報者の対象が増える。

 退職者(退職後1年以内)や役員も公益通報をすれば新公益通報者保護法で保護されるされることとなります。

 前二号に定める事業者が他の事業者との請負契約その他の契約に基づいて事業を行い、又は行っていた場合において、当該事業に従事し、又は当該通報の日前一年以内に従事していた労働者若しくは労働者であった者又は派遣労働者若しくは派遣労働者であった者

新公益通報者保護法第2条第1項第3号(抜粋)

 役員

新公益通報者保護法第2条第1項第4号(抜粋)

公益通報者の解雇が無効になる場合が増える。

 公益通報者を事業者(雇い主等)が解雇しようとしても、条件を満たしている場合は、その解雇は、無効になります(公益通報者保護法の一部を改正する法律(令和2年法律第 51 号)の規定による改正前の公益通報者保護法第3条)。

 ここに、外部通報(行政機関あて)で次の内容が書かれた書面(電子メール等を含みます。)を行政機関等(地方公共団体を含みます。)に提出した場合も解雇が無効となることとなります(新公益通報者保護法第3条第2号)。

  • 公益通報者の氏名又は名称及び住所又は居所
  • 当該通報対象事実の内容
  • 当該通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると思料する理由
  • 当該通報対象事実について法令に基づく措置その他適当な措置がとられるべきと思料する理由
  •  また、外部通報(報道機関等あて)で次の場合も解雇が無効となることとなります。
  • 内部通報(新公益通報者保護法第3条第1号)をしようとすると事業者が公益通報者の個人情報を漏らそうとしそうな場合(新公益通報者保護法第3条第3号ハ)
  • 身体への危害又は個人財産への大きな損害又はそのおそれ(新公益通報者保護法第3条第3号ヘ)

 また、外部通報(報道機関等あて)で次の場合も解雇が無効となることとなります。

  • 内部通報(新公益通報者保護法第3条第1号)をしようとすると事業者が公益通報者の個人情報を漏らそうとしそうな場合(新公益通報者保護法第3条第3号ハ)
  • 身体への危害又は個人財産への大きな損害又はそのおそれ(新公益通報者保護法第3条第3号ヘ)

不利益取扱いの禁止内容の追加

 公益通報者への不利益取扱いは幾つか禁止されていますが、今回の改正で追加されることとなりました(新公益通報者保護法第5条)。改正後の禁止内容は、次のとおりです。

  • 降格
  • 減給
  • 退職金の不支給(今回の改正で追加)
  • その他不利益な取扱い
  • 公益通報をした役員の報酬の減額その他解任以外の不利益な取扱い(今回の改正で追加)

事業者からの損害賠償請求ができなくなる。

 事業者は、公益通報で損害を受けても、通報者に損害賠償請求をすることができなくなります。

第七条 第二条一項各号に定める事業者は、第三条各号及び前条各号に定める公益通報によって損害を受けたことを理由として、当該公益通報をした公益通報者に対して、賠償を請求することができない。


新公益通報者保護法第7条

 一方、事業者に解任された公益通報をした役員は、次の場合は、その事業者に損害賠償請求をすることができるようになります(新公益通報者保護法第6条)。もちろん、今までも損害賠償請求ができるとする法令があれば、その法令どおりに損害賠償請求をしてもOKです(新公益通報者保護法第8条第4項)。

  • 通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると思料する場合
  • 調査是正措置をとることに努めたにもかかわらず、なお当該通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由がある場合
  • 通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由があり、かつ、個人の生命若しくは身体に対する危害又は個人(事業を行う場合におけるものを除く。)の財産に対する損害が発生し、又は発生する急迫した危険があると信ずるに足りる相当の理由がある場合

公益通報対応業務従事者の設置

 事業者は、公益通報対応業務従事者を設置しなければならないこととなります(常時使用する労働者数が300人以下の事業者は、努力義務(新公益通報者保護法第11条第3項))。

第十一条 事業者は、第三条第一号及び第六条第一号に定める公益通報を受け、並びに当該公益通報に係る通報対象事実の調査をし、及びその是正に必要な措置をとる業務(次条において「公益通報対応業務」という。)に従事する者(次条において「公益通報対応業務従事者」という。)を定めなければならない。

新公益通報者保護法第11条第1項

 つまり、公益通報の担当者を置かなければならないということです。

 なお、公益通報対応業務従事者がとる是正に必要な措置は、後述する内閣総理大臣が定める指針によります。

 この公益通報対応業務従事者を設置しないと新公益通報者保護法第15条の規定により勧告され、この勧告に従わないと公表されることとなります。イメージダウンを受けるということですね。

第十六条 内閣総理大臣は、第十一条第一項及び第二項の規定に違反している事業者に対し、前条の規定による勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わなかったときは、その旨を公表することができる。

新公益通報者保護法第16条

 ちなみに、この公表ルールは、国と地方公共団体には、適用されません。

第二十条 第十五条及び第十六条の規定は、国及び地方公共団体には適用しない。

新公益通報者保護法第20条

 さて、そんな公益通報対応業務従事者には、当然のことですが、守秘義務があります。

第十二条 公益通報対応業務従事者又は公益通報対応業務従事者であった者は、正当な理由がなく、その公益通報対応業務に関して知り得た事項であって公益通報者を特定させるものを漏らしてはならない。

新公益通報者保護法第12条

 もし公益通報対応業務従事者がこの守秘義務に違反した場合は、この公益通報者保護法の一部改正により初めて設置された罰則が適用されることとなります。

第二十一条 第十二条の規定に違反して同条に規定する事項を漏らした者は、三十万円以下の罰金に処する。

新公益通報者保護法第21条

公益通報に対する措置の義務化

 事業者は、、公益通報に対する体制整備等の措置をとる義務が定められました(常時使用する労働者数が300人以下の事業者は、努力義務(新公益通報者保護法第11条第3項))。

 事業者は、前項に定めるもののほか、公益通報者の保護を図るとともに、公益通報の内容の活用により国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法令の規定の遵守を図るため、第三条第一号及び第六条第一号に定める公益通報に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の必要な措置をとらなければならない。

新公益通報者保護法第11条第2項

 この措置の内容については、後述する内閣総理大臣の指針によります。

内閣総理大臣の指針

 公益通報対応業務従事者の是正措置と事業者がとる公益通報に必要な措置については、内閣総理大臣が消費者委員会の意見を聴いた上で(新公益通報者保護法第11条第5項)指針を定めます。

 内閣総理大臣は、第一項及び第二項(これらの規定を前項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定に基づき事業者がとるべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(以下この条において単に「指針」という。)を定めるものとする。

新公益通報者保護法第11条第4項

 この指針ができたら内閣総理大臣が公表します(新公益通報者保護法第11条第6項)。恐らく消費者庁のホームページに掲載されますので、公表されたらその指針を見つつ体制づくりをしましょう。

 なお、現状では消費者庁のホームページでは、指針案が用意されており、おおむね次の内容となっています。

  • 公益通報対応業務従事者にする者のルール及び公益通報対応業務従事者が誰か本人に書面等で明らかにすること。
  • 内部公益通報受付窓口の設置並びに内部公益通報の受付、調査及び是正を行う部署及び責任者を決定すること。
  • 内部公益通報受付窓口は、組織のトップや幹部とはつながらないこと。
  • 内部公益通報を受け付け付けたら必要な調査を実施し、法令違反行為には是正に必要な措置をとること。
  • 内部公益通報の内容に関係する者を公益通報対応業務に関与させないこと。
  • 不利益な取扱いを把握し、適切な救済・回復の措置をとること。
  • 不利益な取扱いに関しては、懲戒処分その他の適切な措置をとること。
  • 内部規程を定めること。

 内部規程というのが頭を悩ませますね。しかし、既に現状でも消費者庁が定めた次のガイドラインに合わせて内部規程を定めることとされており、その参考例も消費者庁のホームページにありますので、指針に定められる内部規程も参考例が掲載されるものと思われます。その参考例を待ちましょう!

行政機関の措置義務

 自治体にとっては、ここも重要ですね。今回の改正でこの義務が追加されました。改正前もしかるべき行政機関は調査を行った上で適当な措置をとることとなっていましたが、今回は、その措置の適切な実施を図るために、外部通報(行政機関あて)関係について必要な措置をとらなければなりません。具体的にどのような措置となるかわかりませんが、何かしらのガイドラインが示されると思われます。

 通報対象事実について処分又は勧告等をする権限を有する行政機関(第二条第四項第一号に規定する職員を除く。)は、前項に規定する措置の適切な実施を図るため、第三条第二号及び第六条第二号に定める公益通報に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の必要な措置をとらなければならない。

新公益通報者保護法第13条第2項

関係行政機関への照会

 内閣総理大臣は、公益通報事務について関係行政機関に照会したり協力を求められたりするようです。内閣総理大臣から委任された消費者庁から依頼されるという流れになりますね(新公益通報者保護法第19条)。

第十七条 内閣総理大臣は、この法律の規定に基づく事務に関し、関係行政機関に対し、照会し、又は協力を求めることができる。

新公益通報者保護法第14条

次回に続きます。

 さて、すごいボリュームになりましたが、これが私が絞った公務員向けの改正ポイントです。大きな規制強化になりましたね。

 また内閣総理大臣の指針が策定されたら続きの記事を掲載しますのでよろしくお願いします。

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