ブログ「公務員ってどうなの?」のこむぞうです。
ここでは、年末調整の申告書のうち住宅借入金等特別控除申告書について、約10年以上人事給与担当として年末調整に携わった私が一般職の地方公務員の給与等を基準に説明します。
公務員基準で説明しますが、ごく普通の会社員も参考になると思います。どうぞ御覧ください。
「そもそも年末調整って何?」という人は、こっちの記事を見てね。
住宅借入金等特別控除申告書とは、この申告書のことです。
なお、この申告書様式は、平成30年以前に居住を開始した人のものであり、現在配布されている様式よりも古いものとなりますが、現在も使われているのでそのまま参考とします。ちなみに押印欄がありますが、令和3年から押印不要となっていますので押印しなくとも問題ありません。
さて、住宅借入金等特別控除申告書の書き方について説明していきます。
これは、いわゆる住宅ローン控除です。
この申告書を提出すると、所得税の計算方法のうち、(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額(次の図の【E】)に反映されます。一度算出された税額から直接控除することができるから、節税効果がとても高い控除だよ!
では、年末調整における住宅借入金等特別控除の申告について説明します。
住宅ローンの年は、確定申告
年末調整で住宅借入金等特別控除を申告するためには、まずその前の年に確定申告を行う必要があります。
つまり、住宅ローンを金融機関から借りた年だね。
その確定申告を終えると、税務署から郵送で確定申告後の全ての年で申告するための住宅借入金等特別控除申告書が送られてきます。いつの年に申告するか全て税務署長の証明付きで住宅借入金等特別控除申告書に記載されているため(住宅借入金等特別控除申告書の上部)、届いたら大切にしまっておきましょう。
こむぞうさんの申告年の記載が「平成」なのもそういった事情なんだよね。郵送当時は、いつ元号が変更されるか分からなかったんだからしょうがないけどね。
ちなみにこの住宅借入金等特別控除の確定申告は、多くの書類を整えなければならなくて負担なになりますが、税が軽くなるようにしっかり書類を整えて申告しましょう(私は少し損をしました。)。
住宅借入金等特別控除の年末調整(平成30年以前の居住者用の旧様式)
さて、確定申告が終わった次の年に入ったものとして説明します。
この申告には、必ず証明書の添付が必要です。
こういう証明書だね。
このほかにも、住宅と土地の両方を1つの年末残高等証明書にしたものもあります。
住宅借入金等特別控除申告書には、年末残高等証明書から次の内容を確認します。
- 「証明書」であること(保険会社が証明書の発行が遅くなる場合、証明書の代わりに「お知らせ」等を送り、後日保険会社から証明書が発行されます。翌年1月31日までに後日発行される証明書を保険料控除申告書の提出先に提出してください。)。
- 該当年であること(今回であれば、令和6年の申告なので、令和6年分(2024年分)であること。)。
- 住宅のみ、土地のみ又は住宅及び土地等のいずれかの区分(上の例では、「住宅のみ」とあるものは住宅のみ。「土地等のみ」とあるものは土地等のみです。)
- 年末残高(上の例では住宅のみなら16,686,104円、土地等のみなら14,865,151円)
以上のとおり年末残高等証明書で確認できたら、いよいよ住宅借入金等特別控除申告書に記入します。
上の年末残高等証明書と住宅借入金等特別控除申告書の例なら次のように記入します(とはいえ、ほぼ住宅借入金等特別控除申告書に何の数値を入れるか案内がされているので、案内どおりに進めるだけです。)。
住宅借入金等特別控除申告書の欄 | 記入内容 | 注意事項 |
①行A列の欄 | 16,686,104円 | 年末残高等証明書(住宅のみ)の年末残高 |
②行A列の欄 | 29,027,218円 | 住宅借入金等特別控除申告書の下部にある税務署長の証明事項 |
③行A列の欄 | 101.01分の 101.01=100% | 住宅借入金等特別控除申告書の下部にある税務署長の証明事項 |
④行A列の欄 | 16,686,104円 | |
⑤行A列の欄 | 16,686,104円 | |
①行B列の欄 | 14,865,151円 | 年末残高等証明書(土地等のみ)の年末残高 |
②行B列の欄 | 25,300,000円 | 住宅借入金等特別控除申告書の下部にある税務署長の証明事項 |
③行B列の欄 | 181.82分の181.82=100% | 住宅借入金等特別控除申告書の下部にある税務署長の証明事項 |
④行B列の欄 | 14,865,151円 | |
⑤行B列の欄 | 14,865,151円 | |
①行C列の欄 | 31,551,255円 | A欄とB欄の合計 |
②行C列の欄 | 54,327,218円 | 住宅借入金等特別控除申告書の下部にある税務署長の証明事項 |
③行C列の欄 | 100% | 住宅借入金等特別控除申告書の下部にある税務署長の証明事項 |
④行C列の欄 | 31,551,255円 | |
⑤行C列の欄 | 31,551,255円 | |
⑪欄 | 31,551,255円 | ⑤行C列の欄+⑩欄 |
⑭欄 | 315,500円 | 割合は、今回の例だと1%(100円未満切捨て) |
配偶者等と連帯債務をする場合
応用編です。
例えば、上の年末残高の例に加え、配偶者等と住宅ローンを半分ずつ負担し合うとしましょう。
まず、住宅借入金等特別控除申告書の中央付近にある「備考」欄に配偶者等が負担する額を記入します。「私は、連帯債務者として、右上の住宅借入金等の残高31,551,255円のうち15,775,627円を負担することとしています。愛知県〇〇市〇〇町〇〇番地 国税 花子㊞ 勤務先 愛知県〇〇市○○〇丁目〇番地〇 株式会社〇〇〇〇」と記入してください。申告者が負担する残り15,775,628円を住宅借入金等特別控除申告書の①行では次のように振り分けます。
・①行A列の欄 8,343,052円(=16,686,104円×50%)
・①行B列の欄 7,432,576円(=14,865,151円×50%+端数処理0.5円)
・①行C列の欄 15,775,628円(=31,551,255円×50%+端数処理0.5円)
あとは、通常の場合と同様に、住宅借入金等特別控除申告書の各欄に従って記入していきましょう。
こんな感じで住宅借入金等特別控除申告書の各欄で案内されているので、そのとおりにやればOKだよ。
なお、増改築等の場合は、複雑になるのでこの記事では説明を省略します。
記載できたら、年末残高等証明書は、住宅借入金等特別控除申告書の裏面に記入内容がよく見えるように貼り付けましょう。
住宅借入金等特別控除の年末調整(新様式)
一応新様式の説明も簡単にしておきます。
記入例は、こちらの画像の左側です。
基本的なところは旧様式と同様ですが、連帯債務関係の欄が追加され、分かりやすくなっています。
チェックする人事給与担当者にとっても助かる!
その他参考
もっと詳しい説明が欲しいという人は、国税庁Webサイトで「年末調整がよくわかるページ」が開設されていますのでそちらを御覧ください。
また、国税庁で「ふたば」という自動で税務相談ができるチャットボットがあるようです。 |
ふたばさんに質問したいことをどう伝えたらいいかが少し難しい・・・。
そのほか、前述の記事でも引用している次の冊子が国税庁から発行されていますので、ダウンロードして読んでみてください。
分厚いね。人事給与担当者向け?
申告者向けの説明資料かもね。私自身が申告する場合でもいろいろ悩みが解決されたよ。
おまけ「どうしても分からないなら税理士相談」
さて、簡単に住宅借入金等特別控除申告書の書き方について説明しましたが、いかがでしょうか?
もしどうしても分からないという場合は、人事給与担当や管轄の税務署に相談しましょう。
税の申告は難しいので、詳しい人の力を借りるのが最もいいです。
しかし、人事給与担当や税務署でも納得のいかない回答だったりすることがありますので、そういった場合は、こちらの記事でもおすすめしていますが、是非税理士に相談してみましょう。
トータルで得することが大事です。今後の節税対策であれば、必要な費用だと思います。
もしいい税理士を知らない場合は、税理士ドットコムを利用しましょう。何度でも無料で税理士を紹介してもらえます。
いくらぐらい税理士に費用を支払うか(その費用は、相場に見合うものか)、自分のニーズに応えられるかという点も含めて相談してみましょう!
後悔のない選択をしてね!
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