ブログ「公務員ってどうなの?」のこむぞうです。
今回は、令和4年1月1日から不妊治療のための新しい休暇制度「出生サポート休暇」ができますのでその御案内です。
この記事は、次の人にとって有益ですので、是非御覧ください。
- 不妊治療を考えている公務員(男女問わず)
- 出産を予定する女性公務員
- 出産予定の妻を持つ男性公務員
- 人事給与担当者
- 規則改正の担当者
人事給与担当者は、規則改正が必要になりますので必見!
記事の後半で規則改正案を掲載しておきますので、規則改正担当者は参考として御覧ください。なお、今回の人事院規則は、非常勤職員の配偶者出産休暇及び育児参加休暇の新設並びに産前休暇及び産後休暇の有給化も行っているため、同時に行う場合は、その分も反映させてください。
国家公務員の不妊治療のための休暇「出生サポート休暇」の新設
国家公務員では、次のとおり人事院規則等の改正がされます。
- 公布の日 令和3年12月1日
- 施行期日 令和4年1月1日
この改正で常勤の職員に不妊治療のための特別休暇が新設されます。
人事院の通知です。主に上記人事院規則15-14-38の規定による改正後の人事院規則15-14第22条第1項中「不妊治療」及び「通院等」の定義並びに同項の人事院が定める不妊治療を定めます。
- 公布の日 令和3年12月1日
- 施行期日 令和4年1月1日
非常勤の国家公務員について、不妊治療のための休暇を定めます(ほかにも、配偶者出産休暇及び育児参加休暇を新設並びに産前休暇及び産後休暇の有給化(お休みだけど給与が出るということ。)が行われます。)。
人事院の通知です。主に上記人事院規則15-15-18の規定による改正後の人事院規則15-15第4条第1項中にある「人事院の定める非常勤職員」について定めます。
出生サポート休暇とは関係がありませんが、次の内容も定められます。
・同項第12号の出産に伴い勤務しないことが相当であると認められる場合
・同項第12号の人事院が定める期間
・同項第13号に規定する当該出産に係る子(・・・)又は小学校就学の始期に達するまでの子(・・・)の養育
・同項第13号の人事院の定める時間
- 公布の日 令和3年12月1日
- 施行期日 令和4年1月1日
不妊治療を受けることでハラスメントを受けないようハラスメントの定義が改正されます。
人事院の通知です。上記人事院規則10-15-2の施行に伴うものですが、単なる引用条項の整理です。
地方公務員もこれと同様にこれらの休暇の新設及び有給化を令和4年1月1日から始めるよう次のとおり助言されています。
つきましては、各地方公共団体におかれては、地方公務員法の趣旨に添い、下記の人事院規則及び人事院運用通知の改正内容等に留意の上、休暇の新設・有給化等について令和4年1月1日より適用すべく、人事委員会規則等の改正など所要の措置を講じていただくようお願いします。
人事院規則 15-14(職員の勤務時間、休日及び休暇)の一部改正等について(令和4年1月1日施行の妊娠・出産・育児に係る休暇の新設・有給化関係)(令和3年12月1日付け総行公第143号)
改正資料については、以上です。
続いて、中身ですが、常勤の職員(いわゆる「正規職員」)の場合と非常勤職員の場合で若干違いますので、分けて御説明します。
とはいえ、この不妊治療のための休暇は、活用の難しい休暇だと思います。
この点については、記事の最後にお話ししますので、興味のある人は、記事の最後を御覧ください。
常勤の職員の不妊治療のための休暇
上述の人事院規則15-14-38のとおり、人事院規則15-14の一部改正により次の規定が特別休暇として追加されます。
五の二 職員が不妊治療に係る通院等のため勤務しないことが相当であると認められる場合 一の年において五日(当該通院等が体外受精その他の人事院が定める不妊治療に係るものである場合にあっては、十日)の範囲内の期間
人事院規則15-14-38の規定による改正後の人事院規則15-14第22条第1項第5の2
不妊治療のためなら1年で5日(体外受精等なら10日)の特別休暇があるということですね。
さらに、上述の人事院運用通知で次のとおり「不妊治療」、「通院等」、「一の年」及び「人事院が定める不妊治療」について定められています。
⑺ 第5号の2の「不妊治療」とは、不妊の原因等を調べるための検査、不妊の原因となる疾病の治療、タイミング法、人工授精、体外受精、顕微授精等をいい、同号の「通院等」とは、医療機関への通院、医療機関が実施する説明会への出席(これらにおいて必要と認められる移動を含む。)等をいい、同号の「一の年」とは、1暦年をいい、同号の「人事院が定める不妊治療」は、体外受精及び顕微授精とする。
令和3年12月1日付け職職-377による改正後の「職員の勤務時間、休日及び休暇の運用について(平成6年7月27日職職ー328)」第14の第1項⑺
不妊治療休暇の承認のためには、証明書類が必要となります。
4 規則第22条第1項第5号の2の休暇の承認に係る証明書類には、例えば、診察券、領収書、治療の内容がわかる書類等が含まれる。
令和3年12月1日付け職職-377による改正後の「職員の勤務時間、休日及び休暇の運用について(平成6年7月27日職職ー328)」第17の第4項
この証明書類については、「この例示は、証明書類として診断書や診療報酬明細書などの詳細な書類の提出を求めることにより、職員のプライバシーが害されることのないよう、簡便な書類を求めることを推奨する趣旨」(「出生サポート休暇Q&A」問27)とされています。
領収書については、治療の内容そのものが記載されていない領収書であっても、本人の申出と領収書の記載によって、治療の頻度や金額から10日の範囲内とされている体外受精や顕微授精を受けていることを確認し得る(体外受精の費用は、数十万円程度が目安)と考えられるため、対象とされています。
この出生サポート休暇は、通院するタイミング、検査結果、医師の判断、治療内容によっては他の時期に通院するのでは治療が成立しないこと等により承認しなければならない場合が多いので、「承認されない」という場合は少ないと考えられています(出生サポート休暇Q&A問30)。
このほか、人事院Webサイト内で「出生サポート休暇 職員向けQ&A」というものもありますので、興味があれば御覧ください(上述で引用している「出生サポート休暇Q&A」とは、別のものです。)。
非常勤職員の不妊治療のための休暇
常勤の職員と同様に、人事院の定める非常勤職員にも不妊治療のための休暇が認められることとなります。
その「人事院の定める非常勤職員」というのは、こちら
イ この条の第1項第9号、第12号及び第13号の休暇 1週間の勤務日が3日以上とされている職員又は週以外の期間によって勤務日が定められている職員で1年間の勤務日が121日以上であるものであって、6月以上の任期が定められているもの又は6月以上継続勤務しているもの
令和3年12月1日付け職職-378による改正後の「人事院規則15-15(非常勤職員の勤務時間及び休暇)の運用について(平成6年7月27日職職ー329)」第4条関係の第1項⑴イ
おおむね週3日以上の勤務で6か月以上の任期がある非常勤職員ということですね。
さて、休暇の内容については、上述の人事院規則15-15-18のとおり、人事院規則15-15の一部改正により次の規定が年次休暇以外の休暇として追加されます。
九 非常勤職員が不妊治療に係る通院等のため勤務しないことが相当であると認められる場合 一の年度(四月一日から翌年の三月三十一日までをいう。以下同じ。)において五日(当該通院等が体外受精その他の人事院が定める不妊治療に係るものである場合にあっては、十日)(勤務日ごとの勤務時間の時間数が同一でない非常勤職員にあっては、その者の勤務時間を考慮し、人事院の定める時間)の範囲内の期間
人事院規則15-15-18の規定による改正後の人事院規則15-15第4条第1項第9号
取得日数については、常勤の職員と同じです。
また、「不妊治療」、「通院等」及び「人事院が定める不妊治療」についても、やはり常勤の職員と同様に定められています(令和3年12月1日付け職職-378による改正後の「人事院規則15-15(非常勤職員の勤務時間及び休暇)の運用について(平成6年7月27日職職ー329)」第4条関係の第1項⑻)。
特筆すべきなのは、勤務日ごとの勤務時間数が同じでない非常勤職員の場合と休暇の単位についてルールがあります。それがこちら
⑻ この条の第1項第9号の「不妊治療」とは、不妊の原因等を調べるための検査、不妊の原因となる疾病の治療、タイミング法、人工授精、体外受精、顕微授精等をいい、同号の「通院等」とは、医療機関への通院、医療機関が実施する説明会への出席(これらにおいて必要と認められる移動を含む。)等をいい、同号の「人事院が定める不妊治療」は、体外受精及び顕微授精とし、同号の「人事院の定める時間」は、勤務日1日当たりの勤務時間に5(同号に規定する人事院が定める不妊治療を受ける場合にあっては、10)を乗じて得た数の時間とし、同号の休暇の単位は、1日又は1時間(勤務日ごとの勤務時間の時間数が同一でない非常勤職員にあっては、1時間。ただし、当該非常勤職員の1回の勤務に割り振られた勤務時間であって1時間未満の端数があるものの全てを勤務しない場合には、当該勤務時間の時間数)とする。ただし、同号の休暇の残日数の全てを使用しようとする場合において、当該残日数に1時間未満の端数があるときは、当該残日数の全てを使用することができる。
令和3年12月1日付け職職-378による改正後の「人事院規則15-15(非常勤職員の勤務時間及び休暇)の運用について(平成6年7月27日職職ー329)」第4条関係の第1項⑻
これについては、常勤の職員にはないルールなので注意したいですね。
具体的な改正案(常勤の職員)
人事院規則15-14-38と同様に、特別休暇の条において、結婚休暇と産前休暇の間に出生サポート休暇の号を入れるのがいいでしょう。
常勤の職員の規則案
○○市職員の勤務時間、休暇等に関する規則の一部を改正する規則
○○市職員の勤務時間、休暇等に関する規則(平成〇年〇〇市規則第〇号)の一部を次のように改正する。
第15条第1項第5号の次に次の1号を加える。
⑸の2 職員が不妊治療に係る通院等のため勤務しないことが相当であると認められる場合 一の年度において5日(当該通院等が体外受精その他の市長が定める不妊治療に係るものである場合にあっては、10日)の範囲内の期間
第15条第2項中「前項第9号」を「前項第5号の2及び第9号」に、「すべて」を「全て」に改め、同条第3項中「すべて」を「全て」に改める。
附 則
この規則は、令和4年1月1日から施行する。
【この規則案の補足】
- 「不妊治療」、「通院等」及び「市長が定める不妊治療」については、令和3年12月1日付け職職-377のような定義を規則に反映する必要はないと私は考えます(人事院運用通知で定めた定義等を反映させていない部分は、他にも同様にあるからです。)。
- 「すべて」を「全て」に改めるのは、平成22年11月30日に法令における漢字使用で「全て」と書くこととされたためです(正確にいうと、法令における漢字使用は、義務教育に習う常用漢字表の漢字によることとされるところ、平成22年11月30日付けで常用漢字表(平成22年内閣告示第2号)の「全」に「すべて」の読みが加わったためです。)。かといって、当時、現存する全ての条例、規則等の漢字を改正するのは形式的すぎるので、何かの改正のついでに改正すればよいこととなっています。その「ついで」を今行うということです。
具体的な規則案(会計年度任用職員)
人事院規則15-15-18と同様に、年次休暇以外の有給休暇において、結婚休暇の次に出生サポート休暇の号を入れるのがいいでしょう。
ほかにも、人事院規則15-15-18で改正される配偶者出産休暇及び育児参加休暇の新設並びに産前休暇及び産後休暇の有給化も含めて行うなら、規則案は、次のようになります。もしこれらの改正を行わない場合は、不要な箇所を削って規則案を作成してください。
会計年度任用職員の規則案
〇〇市会計年度任用職員の勤務時間、休暇等に関する規則の一部を改正する規則
第16条第1項中第7号を第12号とし、第4号から第6号までを第5号ずつ繰り下げ、第3号の次に次の5号を加える。
⑷ 会計年度任用職員(1週間の勤務日が3日以上とされている職員又は週以外の期間によって勤務日が定められている職員で1年間の勤務日が121日以上であるものであって、6月以上の任期が定められているもの又は6月以上継続勤務しているものに限る。第7号及び第8号において同じ。)が不妊治療に係る通院等のため勤務しないことが相当であると認められる場合 一の年度(4月1日から翌年の3月31日までをいう。以下同じ。)において5日(当該通院等が体外受精その他の市長が定める不妊治療に係るものである場合にあっては、10日)(勤務日ごとの勤務時間の時間数が同一でない会計年度任用職員にあっては、その者の勤務時間を考慮し、市長の定める時間)の範囲内の期間
⑸ 6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産する予定である女性の会計年度任用職員が申し出た場合 出産の日までの申し出た期間
⑹ 女性の会計年度任用職員が出産した場合 出産の日の翌日から8週間を経過する日までの期間(産後6週間を経過した女性の会計年度任用職員が就業を申し出た場合において医師が支障がないと認めた業務に就く期間を除く。)
⑺ 会計年度任用職員が妻(届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。次号において同じ。)の出産に伴い勤務しないことが相当であると認められる場合 市長が定める期間内における2日(勤務日ごとの勤務時間の時間数が同一でない会計年度任用職員にあっては、その者の勤務時間を考慮し、市長の定める時間)の範囲内の期間
⑻ 会計年度任用職員の妻が出産する場合であってその出産予定日の6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)前の日から当該出産の日後8週間を経過する日までの期間にある場合において、当該出産に係る子(条例第8条第1項に規定する子をいう。以下同じ。)又は小学校就学の始期に達するまでの子(妻の子を含む。)を養育する会計年度任用職員が、これらの子の養育のため勤務しないことが相当であると認められるとき 当該期間内における5日(勤務日ごとの勤務時間の時間数が同一でない会計年度任用職員にあっては、その者の勤務時間を考慮し、市長の定める時間)の範囲内の期間
附 則
この規則は、令和4年1月1日から施行する。
【この規則案の補足】
- 「不妊治療」、「通院等」、「市長が定める不妊治療」、「市長の定める時間」等の令和3年12月1日付け職職-378及び同日付職職-379のような定義を規則に反映する必要はないと私は考えます(人事院運用通知で定めた定義等を反映させていない部分は、他にも同様にあるからです。)。
- 不妊治療のための休暇、配偶者出産休暇及び育児参加休暇を取得できる会計年度任用職員は、国の非常勤職員と同じ条件なら「(1週間の勤務日が3日以上とされている職員・・・・)」という限定を忘れないようにしましょう。
- 「一の年度」の後の括弧(定義規定といいます。)は、規則内で使われていなかったら置かなくとも問題ありません。
- 規則案の「条例第8条第1項に規定する子」は、それぞれの自治体の条例で「子」を「(民法(明治29年法律第89号)第817条の2第1項の規定により職員が当該職員との間における同項に規定する特別養子縁組の成立について家庭裁判所に請求した者(当該請求に係る家事審判事件が裁判所に係属している場合に限る。)であって、当該職員が現に監護するもの、児童福祉法(昭和22年法律第164号)第27条第1項第3号の規定により同法第6条の4第2号に規定する養子縁組里親である職員に委託されている児童その他これらに準ずる者として規則で定める者を含む。以下この条及び次条において同じ。)」のように定めている部分を指します。
- このほか、号ずれが起きているため、他の規則等(会計年度任用職員給与規則等)に影響がないか、必ず確認しましょう!
出生サポート休暇を申請する前に
説明を終えた後で申し上げておきますが、職場の理解を得てのお休みとなりますので、職場環境がよくとも生理休暇と同じくらい申請のハードルが高いと思います。
これは、「言い出しにくい」という意味です。手続そのものが難しいわけではありません。
実際、人事院の「不妊治療と仕事の両立に関するアンケート調査」の結果では、不妊治療を行った人又は不妊治療中の人で職場に伝えた人は、35.0パーセントでした。
不妊治療のための休暇を申請する前に、こうした商品を試してみてからでも遅くないと思います。
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また、はりで不妊治療という手段もあります。
1回当たり1万円近くかかると思いますが、はり治療の1回で授かる話を聞きます。
治療の負担を思えば、こちらの方がいいかもしれません。
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