条例が苦手な方に教えます!こむぞう流!給与改定の条例案の作り方

法令情報
スポンサーリンク

 こむぞうです。

 近年の傾向では、給与改定が毎年行われています。

 私も随分と給与改定の条例改正を行ってきましたので、そのノウハウをここでお伝えしたいと思います。

 次のように思われる人は、是非この記事のこの先も御覧ください。

  • 「給与担当になったけど条例改正が初めてで不安」
  • 「給与改定ってどう行ってるの?」

 

条例案の提出までのスケジュールを確認

 地方公務員の給与改定は、国家公務員の給与改定が決まって初めて動き出すことができます。

 大きな流れは、人事給与スケジュール8月の「人事院勧告への対応」のとおりです。

 具体的にする作業は、こんな感じです。

一般職の職員の給与に関する法律(昭和25年法律第95号。以下「給与法」という。)の一部改正案の施行期日を確認
 附則(法律案の最後の方)に「この法律は、令和〇年〇月〇日から施行する。」と書かれている部分が施行期日です。
②議会の提案時期の決定
 施行期日より前に終わる議会の会期、というのが最低条件。不利益な改正なら周知期間を設けて、議会の会期の最終日から施行期日までの期間を長く空ける必要があります。
③ 給与法と給与条例の一致箇所を特定
 給与法と自治体の給与条例は、言い回し、構成等がほぼ同じにしている自治体が多いと思います。なので、おおむねこの法律の改正箇所は、給与条例でも同様の箇所が見つかります。それぞれの自治体のシステムの用語の検索で探してみましょう。
④条例案の作成
 最後は、法律案のものまねをするだけです。作成する書類は、それぞれの自治体でルールがあると思いますので、よく確認しましょう。

 なお、条例案の提出のタイミングについては、このようなことがいわれています。

均衡の原則及び情勢適応の原則にのっとり、国における給与法の改正の措置を待って行うべきものであるとともに、少なくとも期末・勤勉手当については、その支給基準日までに対応を図るべきものであること。

地方公務員の給与改定等に関する取扱いについて(令和2年11月6日付け総行給第52号・総行公第157号・総行女第43号総務副大臣通知)

 つまり、次の2点を守らなければなりません。

  • 国家公務員の給与改定の法律案を国会に提出した後に、自治体は地方議会に給与改定の条例案を提出すること。
  • 期末手当の支給割合を引き下げる条例は、期末手当の支給基準日(12月期末手当なら12月1日)までに公布すること。

こむぞう
こむぞう

従来は、「給与法改正案の成立を待つ」というところまで総務省からいわれていましたが、最近は国会への法律案の提出と地方議会への条例案の提出のタイミングがうまく合わないので、状況によっては「給与法改正案の成立を待たず、条例改正案を議会に提出することやむを得ない」(令和2年度全国人事担当課長・市町村担当課長会議における質疑応答)とされる傾向があります。

ただし、「給与法改正案成立前の条例改正案「提出」はやむを得ないものの、「議決」については、例年どおり国における給与法の成立後に行われる必要があります」(令和2年10月21日付けの愛知県総務局市町村課からのメール抜粋)と連絡がありましたので、条例案の提出を給与法改正案の提出後とし、議決は給与法改正案の成立後とすることになりそうです。

資料収集

 内閣官房Webサイトの「国会提出法案」から、 「一般職の職員の給与に関する法律」等の改正について探し、次の資料を入手しましょう。

  • 概要
  • 法律案
  • 新旧対照表

条例案の作成

 法律案の資料を入手したら、早速条例案を作りましょう!

 まずは、新旧対照表を見てみましょう。

 改正箇所が見つかったら、その改正箇所が給与条例のどこにあるのか探しましょう。

 とはいえ、例を挙げないと分かりづらいですね。

 では、最近は期末手当の支給率を改正する傾向にありますので、令和3年人事院勧告の期末手当の支給率を改正する例で進めてみましょう。

職員区分12月の期末手当6月以降の期末手当
いわゆる正規職員( 指定職俸給表と特定管理職員を除く。)100分の112.5100分の120
再任用職員100分の62.5100分の67.5
特定任期付職員100分の157.5100分の162.5
条例案の例とする令和3年人事院勧告の内容

こむぞう
こむぞう

多くの自治体で採用されていない指定職俸給表の適用を受ける職員と特定管理職員は、この例では除きます。これらの制度がある自治体は、それぞれ対応しましょう。

 この例で改正対象となる国家公務員に適用される条文は、次のとおり

 期末手当の額は、期末手当基礎額に百分の百二十七・五(行政職俸給表(一)の適用を受ける職員でその職務の級が七級以上であるもの並びに同表及び指定職俸給表以外の各俸給表の適用を受ける職員でその職務の複雑、困難及び責任の度等がこれに相当するもの(これらの職員のうち、人事院規則で定める職員を除く。第十九条の七第二項において「特定管理職員」という。)にあつては百分の百七・五、指定職俸給表の適用を受ける職員にあつては百分の六十七・五)を乗じて得た額に、基準日以前六箇月以内の期間におけるその者の在職期間の次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める割合を乗じて得た額とする。

給与法第19条の4第2項

3 再任用職員に対する前項の規定の適用については、同項中「百分の百二十七・五」とあるのは「百分の七十二・五」と、「百分の百七・五」とあるのは「百分の六十二・五」と、「百分の六十七・五」とあるのは「百分の三十五」とする。

給与法第19条の4第3項

2 特定任期付職員に対する給与法第三条第一項、第七条、第十一条の五、第十一条の九第一項、第十九条の三第一項、第十九条の四第二項、第二十条及び第二十一条第一項の規定の適用については、給与法第三条第一項中「この法律」とあるのは「この法律及び一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律(平成十二年法律第百二十五号。以下「任期付職員法」という。)第七条の規定」と、給与法第七条中「この法律」とあるのは「この法律及び任期付職員法第七条の規定」と、給与法第十一条の五中「指定職俸給表」とあるのは「指定職俸給表又は任期付職員法第七条第一項の俸給表」と、給与法第十一条の九第一項中「指定職俸給表」とあるのは「指定職俸給表又は任期付職員法第七条第一項の俸給表」と、給与法第十九条の三第一項中「以下「管理監督職員等」」とあるのは「任期付職員法第七条第一項の俸給表の適用を受ける職員を含む。以下「管理監督職員等」」と、給与法第十九条の四第二項中「百分の百二十七・五」とあるのは「百分の百六十七・五」と、給与法第二十条中「第六条」とあるのは「任期付職員法第七条」と、給与法第二十一条第一項中「この法律」とあるのは「この法律及び任期付職員法第七条」とする。

一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律(平成12年法律第125号)第8条第2項

注意!「給与法と給与条例では言葉が違う場合がある。」

給与法「俸給表」⇔給与条例「給料表」

給与法「人事院規則」 ⇔ 給与条例「規則」

 では、条例でこれに当たる条文はどこにあるのか。

 恐らく多くの自治体で職員だけが使える条例等の検索システムがあると思いますので、そのキーワードとして、給与法第19条の4第2項中の一部(例えば「期末手当の額は、期末手当基礎額に」、「適用を受ける職員でその職務の複雑、困難及び責任の度等がこれに相当するもの」等)を選んで本文検索をしてみましょう。

注意!「法律は縦書きなので、数字は漢数字」

 法令にはいろいろルールがあります。そのうち、「縦書きなら数字は、漢数字」というルールがあります(ネット上でみる法令は、縦書きの法令を無理に横書きにしているので漢数字を算用数字に直すことはありません。)。

 キーワードで検索するときは、法律がこのような性質を持っていることを理解し、漢数字のままで検索するかどうかを事前によく考えましょう。

こむぞう
こむぞう

どうですか?該当する条例の条文は、見つかりましたか?うまくいかない場合は、キーワードを変えていろいろやってみましょう。

 改正箇所が分かったら、それぞれの自治体のルールを下に書類を作成しましょう。

 目標は、これです。

 これをほぼそのまま自治体の条例案にしてしまえばいいのです!

 条例案の体裁(題名は、左3文字を空けるとか、加えられた条、項、号等は、2行目から左1文字を空けるとか)がこの記事でうまく表現できませんが、例とするとこんな感じになります。

条例案(1つの条例を改正する場合)

   〇〇市職員の給与に関する条例の一部を改正する条例

第1条 〇〇市職員の給与に関する条例(昭和〇〇年〇〇市条例第〇号)の一部を次のように改正する。

 第〇条第2項中「100分の127.5」を「100分の112.5」に改め、同条第3項中「100分の127.5」を「100分の112.5」に、「100分の72.5」を「100分の62.5」に改める。

第2条  〇〇市職員の給与に関する条例の一部を次のように改正する。

 第〇条第2項中「100分の112.5」を「100分の120」に改め、同条第3項中「100分の112.5」を「100分の120」に、「100分の62.5」を「100分の67.5」に改める。

   附 則

 この条例は、公布の日から施行する。ただし、第2条の規定は、令和4年4月1日から施行する。

条例案(複数の条例を一本で改正する場合)

   〇〇市職員の給与に関する条例及び〇〇市一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例

 (〇〇市職員の給与に関する条例等の一部改正)

第1条 〇〇市職員の給与に関する条例(昭和〇〇年〇〇市条例第〇号)の一部を次のように改正する。

 第〇条第2項中「100分の127.5」を「100分の112.5」に改め、同条第3項中「100分の127.5」を「100分の112.5」に、「100分の72.5」を「100分の62.5」に改める。

第2条  〇〇市職員の給与に関する条例の一部を次のように改正する。

 第〇条第2項中「100分の112.5」を「100分の120」に改め、同条第3項中「100分の112.5」を「100分の120」に、「100分の62.5」を「100分の67.5」に改める。

 (〇〇市一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部改正)

 第〇条第2項中「100分の127.5」を「100分の112.5」に、「100分の167.5」を「100分の157.5」に改める。

第3条  〇〇市一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例(平成〇〇年〇〇市条例第〇号)の一部を次のように改正する。

第4条 〇〇市一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を次のように改正する。

 第〇条第2項中「100分の112.5」を「100分の120」に、「100分の157.5」を「100分の162.5」に改める。

   附 則

 この条例は、公布の日から施行する。ただし、第2条及び第4条の規定は、令和4年4月1日から施行する。

こむぞう
こむぞう

会計年度任用職員の条例は、上記の例ではいわゆる正規職員の「〇〇市職員の給与に関する条例」を準用している扱いなので改正対象にしていませんが、準用していない場合は、同様に改正対象に加えましょう。

なお、複数の条例を一本で改正する場合で改正する条例が3本以上になるときの題名は、「〇〇市職員の給与に関する条例の一部を改正する条例」のように「等」でまとめられます。御注意ください。

 この「第〇条中「・・・」を「・・・・・」に改める。」といった改正のための言い回し等については、ルールがあります。自治体ごとに様々ですので、条例審査の担当者等によく確認しましょう。

 なお、言い回し等のルールは、法令のまねをしていることが多いため、法令どおりとなる傾向があります。もしその場合は、こちらの書籍によくまとめられています。「ちょっと興味がある」と思ったら是非開いてみてください。

楽天ブックス
¥4,180 (2021/10/08 00:52時点 | 楽天市場調べ)
こむぞう
こむぞう

この「言い回し等」は、ルールブックやマニュアルがないので、こうした本に頼るのが近道です。

この本なら具体例がとても多いので、困ったときに頼りましょう!

情報収集

 条例案の作成は、上記のとおりでとりあえず一安心。

 しかし、これで終わりではありません。

 地方公務員法第24条第2項では、次のように定められています。

2 職員の給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定められなければならない。

地方公務員法(昭和25年法律第261号)第24条第2項

 したがって、他の状況を把握しておく必要があります。

 把握するところは、次のとおり

  • 都道府県
  • 周囲の自治体

こむぞう
こむぞう

期末手当の支給率の引下げ程度なら、せいぜいどう議会に提案するか(臨時議会を開いて提案するか定例会で通常どおりに提案するかとか。)くらいの確認になりそうです。他の事例等を調べることはありません。

影響額の算出

 議会で十中八九聞かれることとなります。

  令和3年人事院勧告のとおりの改正とすると期末手当の引下げが行われるため、いくら下がる見込みか算出しましょう。

特別職の職員の改正も検討しましょう。

 上記の例では、特別職の職員(議会の議員、市町村長、副市長村長、教育長等)を含めていませんが、特別職の国家公務員に係る期末手当の改正も必要か、セットで検討しましょう。

 特別職の国家公務員の給与改定は、国会に法律案を提出する段階になって初めて判明します。特別職の職員の給与に関する法律(昭和24年法律第252号)の改正があったら、特別職の職員の期末手当の改正を行うかどうかも検討しましょう。

こむぞう
こむぞう

一般職の職員の期末手当を引き下げるなら、自然な流れで特別職の期末手当も引き下げないと説明が難しいと思いますので、「特別職の期末手当の引下げだけはしない。」とはならないと思いますけどね。

 

まとめ

 いかがでしょうか?

 つまり、国家公務員の給与改定の法律案をまねすればいい!ということです。

 今回に限りませんが、人事給与関係の条例、規則等は、国家公務員に適用される人事給与関係の法令(法律、人事院規則等)をまねしています。

 人事給与担当者は、慌てなくても大丈夫!

 全てまねすればいいのです!

 改正される法令をまねしている条例、規則等を見つけさえすれば簡単にできます。

 怖がらずにチャレンジしてみましょう!

 もしまねをする法令のない条例、規則等の場合でしたら、こちらの記事を参考にして取り掛かりましょう。

必見!条例改正等の進め方
条例改正等の進め方を御紹介します。本で紹介されないような情報なので、この事務に直面している方は、是非御覧ください。もちろん規則、訓令、規程、要綱等といった「法」の整備にも参考になると思います。

こむぞう
こむぞう

やってみて分からなければ、条例審査の担当者に問い合わせましょう。きっとゴールが見えてきますよ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました