実体験と弁護士意見を踏まえた実践的な不当要求・悪質なクレーマー対策講座

公務員のあれこれ
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 こむぞうです。

 最近悪質なクレーマーと関わって、その対策を考えています。その体験談は、こちら

クレーマー開示事務体験談
今回は、クレーマーとの開示事務について御紹介したいと思います。

 せっかくなので、これをまとめて悩める公務員の方々に情報発信し、御活用いただきたいと思います。随分と苦しい日々を過ごしました(笑)。

 実際の体験、弁護士等の有識者の見解等を踏まえた対策です。当然公開しない情報なので、是非参考にしてみてください。

こむぞう
こむぞう

悪質なクレーマーに対する怒りを原動力にこの記事を作成していますが、冷静に構築した対策ですし、記事の多くは私の所属団体で活用されているものです。御安心ください。

まずは傾聴

 「クレームだ!」と感じてもいきなり敵対的な行動をとってはいけません。相手にも事情はあります。まずはどんな人か見極めましょう。

 見極めるために、まず傾聴です。相手の言い分の正しさや自分の意見は全力で置いておいて、相手の言葉に耳を傾けることだけに全力を尽くしましょう。

こむぞう
こむぞう

しかし、これが一番難しい。つい相手に答える内容が頭の中に浮かんでしまって、傾聴が途切れたりするんですよね。

クレームはどのように発生するのか。

 傾聴では、どのようにしてクレームが発生しているか確認しましょう。

 クレームは、住民がサービスに対して期待しているから起こります。

 期待を下回る→不満→期待を裏切る→クレーム発生

という順で知らないうちに積み上がってクレームが発生します。

 クレームが起こりやすい条件は、次の3点だといわれています。

住民に選択権がない。

 住民からの提出書類に不備があったり、ルールでやってもらわなければならないとき、住民側に選択権がありません。こういうときは、選択権を委ねるのが大切です。

住民の期待と自治体の課題の違い

 「自治体が住民に満足を与える」という課題ではなく、「住民が満足する」という結果を意識しましょう。

住民の期待を無視する。

 どこに期待があるかは、雰囲気、態度、表情、声のトーン等の言葉以外から察しましょう。例えば、用もないのに歩いていたり、時計を見たりする行為等は、「待っていられないので早くしてくれ。」の合図です。

悪質か否かのポイント

 さて、傾聴をして、クレームの発生パターンを確認する段階に入ったら、悪質か否かを見極めます。

こむぞう
こむぞう

ここからがこの記事の本番ですよ!

 不当要求や悪質なクレーム、それは、自治体側がクレーム発生パターンを突き止めて解決に動いても、住民自身が解決させない場合です。

 主に次のような場合は、住民自身が解決させない場合と考えられます。

  • 自治体側が一つのクレームを解決しようと尽くしても、住民側が遮る(話題のすり替え、新たなクレーム等)。
  • 自治体側に期待する内容を明確に伝えてこない(「自分で考えろ!」「そっちで調べろ!」等と言う。)。
  • 要求内容が変わる(以前はいいと言っていたことも、時間が経つとダメだと言う。)。

 この場合、自治体がこたえるべき期待の範囲を超えているため、いよいよ悪質なクレーマーとして認定することになります。通常のクレーム対応については、また別の記事で行っていきたいと思います。

不当要求・悪質なクレーマー対策

 では、悪質なクレーマーと判断できたのであれば、ここから実践的な対応に移ります。本当に悪質な場合にのみ御活用ください。

当たり前の行動でOK

 当たり前の行動で十分です。

 公務員となると、つい親切心が出てしまいますが、過剰な親切心は出さなくて大丈夫です。

 過剰は親切心の判断基準は、他の住民と同じことをするかという基準で考えれば問題ありません。他の住民と同じことができない内容なら、それは過剰な親切心です。例えば次のような場合が過剰な親切心になります。

  • 特に悪いことをしていないのに(悪いことをしたかも曖昧なのに)「家まで説明に来い」と言われて自宅を訪問した。
  • 「課長を出せ。」と言われて課長を出した。

こむぞう
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公務員は、なんだかんだで真面目で優しいので言われたら、素直に言うことを聞いてしまったりするんですよね。

複数人で対応しよう。

 組織の利点を活用して、複数人(最低2人)で対応しましょう。

 「数的優位」とか「数の優位」と呼ばれるものですね。人数が多い方がそれだけで優位に立てます。

 また、できれば事前に後述の対応記録を取る役割を決めておきましょう。

対応記録を取ろう。

 対応記録は、裁判資料として活用できます。多少面倒でも取っておきましょう。

 対応記録には、次の内容を記載しておきましょう。

  • 日時(何時間かかったか分かるように。)
  • 場所
  • 相手方の氏名
  • 対応職員氏名
  • 対応内容(相手にされた態度、公務への支障の有無等も含めて)

 もし悪質なクレーマーを不利にできる内容がなく、かつ、簡単すぎる内容(短時間で終わった案件等)であれば、対応記録の情報公開をされたときに事務負担が増えるため、省略してもいいかもしれません。

「上司を出せ!」と言われたら?

 課長等の管理職は、組織の責任者です。したがって、管理職の発言は、責任の重い発言となります。

 管理職の発言から次のような問題が発生してしまうため、原則として管理職を出さないようにしましょう。

  • 担当者の想いとは違うことや法で認められていないことを約束してしまう。
  • 管理職の発言を裁判で使われ、裁判官の心証が悪くなる。

こむぞう
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自分が手に負えないとつい管理職を窓口に出してしまいますが、後で自分の首を絞めることにもなりかねません。管理職を出さないようにしましょう。

 さて、管理職を出さない対応ですが、具体的には次のように伝えましょう。

  • 「私が担当者として責任をもって対応します。」
  • 「上司には報告します。」
  • 「上司に相談した上で私から回答します。」

 ただし、管理職が話しかけられているのに全く対応しないのも問題です。

 管理職が話しかけられてる場合は、その管理職からこれだけは伝えてもらいましょう。

  • 「お客様への対応は、担当に任せています。」
  • 「担当から報告を受けます。」
  • (相手が大きな声で呼んでくるとき)「周囲の迷惑になりますので大きな声を出さないようにお願いします。」

 このような対応をしても管理職を出させようとしてくるときは、次のように答えて対応を打ち切りましょう。

「面会の強要は、おやめください。おやめいただけなければ対応を打ち切らせていただきます。」

 これだけしても続ける場合は、後述の退去要求をしましょう。

「別の職員を出せ!」と言われたら?

 「お前とは話したくない。別の職員を出せ!」と言われたら、次のように対応しましょう。

  • 「私が担当者ですので、私が対応します。」
  • 「組織として対応しております。お話は担当の私が承ります。」

 自治体は、組織として対応しているのですから、住民が担当者を選ぶものではありません。断っても大丈夫です。

 担当を変更しなければ話を進めないと居座る場合は、後述の退去要求をしましょう。

「自宅に来て対応しろ!」と言われたら?

 「話があるから家まで来い!」と言われたら、次のように対応しましょう。

 「こちらから伺うことはしませんので、御用件があればお電話でお話しいただくか、こちらにお越しください。」

 用事がある人が負担するのが原則です。つまり、悪質なクレーマーが庁舎に来るか、電話をかけるかです。そのときに交通費、電話代、通信料等を請求されても、これらは交渉コストですので、原則として各自が負担するものです。自治体側が負担する必要はありません。

こむぞう
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相手のホームグラウンドに行くということは、相手にとって有利な状況を与えることになります。行くのは避けましょう。環境づくりは、大切です。

「折り返し電話をかけてこい!」と言われたら?

 「折り返し電話をかけてこい。」等と言われたら、次のように対応しましょう。

 「御用件があれば、またお電話をおかけください。」

 電話をかけるくらいならいいかなと思いますので、実際はここまでしなくとも構いませんが、前述のとおり用事がある人が負担するのが原則です。折り返し電話をかけるのは単なる親切。自治体としてしなければいけないことではありません。

こむぞう
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こういわれてはいますが、私はやはりかけ直してしまいますね。とはいえ、電話に出なければこの日の何時に電話をしたという記録を取って、留守電に伝言を入れます。また、過剰な要求であればすぐに断ります。

「別室を用意しろ!」と言われたら?

 「別室を用意しろ!」と言われたら、次のように対応しましょう。

 「別室ではなくここでお話を伺います。」

 特別に別室を用意する必要があるとは考え難い事案で、自治体側から積極的に伝えたいことがなければ、窓口対応で十分です。悪質なクレーマーが騒いでも、原則として別室に移動させる必要はありません。別室に移動させることで、悪質なクレーマーが「特別扱いを認めさせた。」と思い、更に要求がエスカレートすることがあります。ここで周囲の善良な住民への配慮をするのであれば、次のように対応しましょう。

 「他のお客様の御迷惑となりますので、大声を出さないでください。そうでなければ、対応を打ち切らせていただきます。」

 このように、悪質なクレーマーに騒がないか退去するかを選ばせるだけで十分です。

 もし更に要求を繰り返すようであれば、後述の退去要求をしましょう。

長時間の対応となるおそれがあるときは?

 「納得できない。納得できるまで説明しろ。」「そうじゃない!〇〇のことを聞いているんだ。何を聞いていたんだ。その答えは私の質問に答えていない!」等と言われたら、次のように対応しましょう。

  • 「何度尋ねられても同じ回答になりますので、これ以上の回答は、差し控えさせていただきます。」
  • 「その件については、先程お答えいたしましたので、回答は差し控えさせていただきます。」

 注意しておきたいのは、すぐに上記のように打ち切るのではなく、常識の範囲内である程度繰り返し相手の質問に回答し、平行線となったところで打ち切るということです。

 対応時間に法律上のルールはありません。話をすべき点を話したら、それ以降は堂々巡りの繰り返しになるので対応の必要はありません。雑談にも応じなくて大丈夫です(むしろ応じない方がいいです。)。目安として、30分から1時間程度まで対応すれば、十分です。

 なお、対応を打ち切る理由は、次のとおりです。

  • 特定の個人に過剰なサービスをすることは、住民平等主義に反した不必要な行為であること。
  • クレーマーの時間を無駄に奪ってしまうこと。
  • クレーマーに不要な期待を抱かせてしまうこと。
  • 職員の過剰な疲労を防ぐこと。
こむぞう
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恐らく平行線だらけの会話になると思いますが、相手に伝わらないからといって言葉を変えると揚げ足を取って話をこじらせてきます。

 それでも長時間になる場合は、後述の退去要求をしましょう。

大声を出されたり、怖い態度をとられたら?

 このようなことがあったら、次のように対応しましょう。

  • 「お静かにお願いします。」
  • 「大きな声を出さないようお願いします。」
  • 「カウンターを叩かないでください。」
  • 「これ以上大声でお話をされる場合は、お帰りいただくことになります。」

 周囲の迷惑になるため、大きな声や怖い態度は、注意して問題ありません。再度注意しても繰り返される場合は、後述の退去要求をしましょう。

「マスコミに言うぞ!」「ネットに書き込むぞ!」「人事に報告するぞ!」と言われたら?

 マスコミ、ネットへの書き込み、人事への報告、裁判等のいわゆる「チクる」「訴える」ことを主張されたら、次のように対応しましょう。

 「お客様のなさることに、こちらから意見を申し上げることはありません。」

 相手の権利に関することですので、いずれにせよ自治体側がどうすることもできない内容です。気にせず「お好きにどうぞ。」というスタンスを貫いてください。クレーマーに「効果がある。」と思われてもよくありません。

 事実に反することを広められた場合は、正式に組織として反論しましょう。

 裁判になった場合は、訴訟費用こそかかりますが、むしろ相手と直接やり取りをしなくていい分、楽です。

「今言ったことを文書にしてよこせ!」と言われたら?

 「今言ったことを文書にしてよこせ!」と言われたら、次のように対応しましょう。

 「これまで説明したとおりです。文書にする必要はないと考えます。」

 クレーマーの要求に応じて文書を作成する必要はありません。ただし、長時間にわたって多数の質問がされたような事例では、文書での対応をした方がいい場合もあります。この点については、後述の文書対応で説明します。

見返りを要求されたら?

 「協力した分、○○をしろ。」と言われたら、次のように対応しましょう。

 「これまでの御協力については、ありがとうございます。ただし、御要望には応じかねます。」

 事前に約束されているものでないのであれば、今までの協力と対応は、別問題です。

損害賠償を要求されたら?

 「そちらのミスなんだから〇〇をしろ。」と言われたら、次のように対応しましょう。

 「こちらのミスについては謝罪しますが、御要望には応じかねます。」

 ミスについては、口頭で謝罪すれば十分です。要求されても謝罪文等を渡す必要はありません。これについては、後述します。また、こちらが悪い場合であっても、実際に法的な損害賠償義務が発生していない場合は、素直に断りましょう。

こむぞう
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ここでも公務員は真面目で優しいからつい相手の要求どおりにしようとしてしまいます。大丈夫。謝罪は口頭だけで十分です。

 なお、損害賠償を支払う場合は、自治体側の故意、過失又は瑕疵によって相手に損害が発生した場合だけです。損害賠償が何か分からなくとも、これだけ理解しておけば問題ありません。

 ちなみに、交渉で負担する費用は、各自で負担するものですので、もし交通費、通話料、通信料、費やした時間等について要求されても気にしないでOKです。

「謝罪しろ。」と言われたら?

 こちらのミスだった場合は、「こちらのミスによりご迷惑をお掛けして申し訳ありません。」と正直に謝りましょう。このときのポイントは、「何に対して謝ったか」を明確にすることです。これができない内容であるならば、謝らなくとも問題ありません。

こむぞう
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何に謝ったか明確にしないと「謝った」「ミスを認めた」という事実だけを取り上げて好き勝手言ってくることがあります。

 こちらのミスでない場合又はこちらのミスか不明な場合は、次のように対応しましょう。

  • 「お手数をお掛けして申し訳ありません。」
  • 「御期待に沿うことができず申し訳ありません。」
  • 「謝罪する必要はないと考えております。謝罪しなければならない理由がはっきりした場合は、そのときに謝罪させていただきます。」

 納得できないかもしれませんが、この対応は、相手の気持ちをくんだ謝罪ですので、自治体側のミスを認めたものにはなりません。これで相手の気が済むならしておきましょう。ただし、単に「申し訳ありません」というのは厳禁です。この事実を相手が都合よく解釈して裁判に使われます。

 こちらのミスか不明な場合は、事実関係を確認した上でなければ謝罪してはいけません。上記の相手の気持ちをくんだ謝罪だけにとどめましょう。

 何度も謝罪を要求してくる場合は、次のように対応しましょう。

「既に謝罪させていただきましたので、重ねての謝罪は行いません。」

 1回謝罪すれば十分です。

 また、相手によっては裁判等の根拠資料とするために謝罪文を要求してくることがあります。そのようなことがあったら次のように対応しましょう。

「既に謝罪させていただきましたので、謝罪文を重ねて出すことはいたしません。」

 口頭で謝罪したのであれば、原則として謝罪文を出す必要はありません。

 ただし、これはクレーマー対策として、という意味ではなく、謝罪の方法論としての意味ですが、文書で謝罪することがいけないわけではありません。多数の住民に謝罪する場合、長時間の対応を求める住民に謝罪する場合、重大な事案の場合等では、事務効率や想いを伝えるという意図で、謝罪文の方がいいと思います。

「誠意を見せろ。」と言われたら?

 「誠意を見せろ。」と言われたら、次のように対応しましょう。

 「誠意とは、具体的にどのようなことでしょうか?」(ここは具体的に内容を聞きましょう。)

 「誠意を見せろ。」は、暴力団等の不当要求でよくあるフレーズですね。うかつにこちらができる限りのことを行った後、いざ状況がこちらの優位になったときに「誠意を見せろといっただけで、その職員が勝手にやったことだから要求はしていない。」と相手に開き直られます。要注意です。「誠意は誠意だ。」「何が誠意か自分で考えろ!」と曖昧に言ってきたら「誠意をもって対応しております。何が不足しているか教えていただけますか?」「具体的に言っていただかないと応じかねます。」と答えましょう。自治体の誠意は、常識的な対応をすることです。具体的に言われてもそれが過剰なものであれば、素直に断ってしまいましょう。

職員の処分や指導を要求されたら?

 「あの職員を指導しろ!」「あの職員を処分しろ!」等と言われたら、次のように対応しましょう。

 「職員の指導(処分)をするかどうかは内部の問題ですので、こちらで判断します。」

 特に職員の懲戒処分は、誰かに要求されて行うものではなく、任命権者が行います。さらにいえば、任命権者が独断で行うのは公正とはいえないため、懲戒処分の御意見番(諮問機関)である懲戒審査委員会に任命権者が意見を求め(諮問)、そこで懲戒審査委員会が懲戒処分とすべきか否か、懲戒処分とするならどのくらいの処分が妥当かを任命権者に意見し(答申)、その答申を下に任命権者が判断して懲戒処分を行います。住民側に要求されたからといって、従う理由はないのです。

 また、指導や処分をしたかについて確認を求められたら、次のように対応しましょう。

 「内部の問題ですので、お答えしかねます。」

 人事部門の判断になりますので、答えなくて問題ありません。人事部門も答えません。人事担当の私も公開する必要のない情報なので答えたことがありません。

こむぞう
こむぞう

公開しなければならないのであれば、組織で決めます。そうでないなら仲間を売るような行為を人事担当がすることはありません。

「誰がそれを決めたか教えろ!」と言われたら?

 何らかの処分行為(許可、認可、決定等)について、誰が決めたか尋ねられたらこう対応しましょう。

 「組織での決定ですので、特定の誰かが決定したものではありません。」

 実際は、担当者の意見が通ったものかもしれませんし、その事務の決定権者(決裁権者)が決めたのかもしれませんが、全ては様々な過程を経て組織として決定したものです。決定者が誰かについて特定しなくても大丈夫です。

 ただし、担当者が誰かについては、断る理由がないので答えましょう。もちろんですが、誰の考えで決めたかについては組織としての決定なので、「組織としての決定です。これ以上申し上げることはありません。」と回答し、答えなくとも問題ありません。

「なぜこうなったのか教えろ!」と言われたら?

 ミスを指摘され、説明を要求されたら次のように対応しましょう。

  • 「事実確認をさせていただきます。」
  • 「法令に基づき適正に対処させていただきます。」
  • 「御指摘の件と御要望の件は別問題です。御要望に応じることはできません。」
  • 「申し訳ありませんでした。誤りについては、適正に対処いたします。」

 事実かどうかわからない場合は、自ら事実確認をした後にしましょう。「〇〇までに回答しろ。」と迫られても「御希望は伺いましたが、お約束はできかねます。」等と答え、回答期限の約束はしなくて問題ありません。

 ミスが事実であった場合は、慎重に謝罪しましょう。

対応終了方法

 対応終了方法について、対面の場合と電話の場合に分けて説明します。

対面の場合

 対応を終える場合は、明確に伝えましょう。

  • 「お話をすべき点は、お話ししました。これ以上の対応はできません。」
  • 「同じ話の繰り返しとなりますが、結論は変わりません。これ以上の対応はできません。」

 クレーマーが帰らない場合は、後述の退去要求をしましょう。

電話の場合

 対応を終える場合は、明確に伝えましょう。

 「その件については既に御説明いたしました。繰り返しになりますので切らせていただきます。」

 また電話がかかってくる場合もあると思いますが、同様に対応を終えていただいて構いません。対応を終えることを明確に伝えてもなおかかってくる場合は、次のように対応しましょう。

 「これ以上電話をかけてくる場合は、業務に支障が出るため、警察に通報します。」

 もちろんこの後にもかかってくるようであれば、警察に通報しましょう。

 また、電話を切った後に直接面会に来て苦情を言ってきたとしても、やはり電話で話したことと変わらず同じことを繰り返すようであれば、後述の退去要求をしましょう。

退去要求

 退去要求は、恐らくそれぞれの自治体の庁舎管理規則で次のように定められていると思います。

第〇条 〇〇長は、次の各号のいずれかに該当すると認める者に対し、庁舎への入場を拒否し、許可若しくは承認を取り消し、行為を禁止し、又は退去若しくは物件の撤去を命ずることができる。

庁舎管理規則(例)

 この規定を利用しましょう。庁舎管理規則の担当課でなくともその自治体職員であれば問題ありません。もし心配であれば、庁舎管理規則の担当課に事前に確認しておきましょう。

 また、庁舎管理規則で明確に定められていなくとも、常識的な要求はできます。他に用件もないのに長時間滞在するような場合でも常識的に考えて退去要求をすることができます。

 以上を踏まえ、退去要求をする場合は、次のように対応しましょう。

  • 「対応を打ち切らせていただきます。」
  • 「お引き取り下さい。」
  • 「お帰りください。」

 なお、このとき、「退庁」等といった難しい言葉を使わないようにしましょう。「帰れという意味だと思わなかった。」といった反論がされることがあります。

退去要求をしても帰らない場合

 前述の退去要求に応じない場合は、次のように対応しましょう。

  • 「退去を命じます。」
  • 「お帰りいただけない場合は、警察に通報します。」

 さらに退去しない場合は、庁舎の管理責任者に連絡し、警察に通報しましょう。このときのために管理責任者がいない場合を想定して管理責任者不在の場合の相談をあらかじめしておきましょう。

 なお、警察に通報する根拠は、次のとおりです。十分な話し合いが終了したのであれば、「正当な理由」はありませんので、警察に通報することを決めたら必ず警察に通報しましょう。本当に通報しないと口だけと思われて居座り続けられてしまいます。

第百三十条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

刑法(明治40年法律第45号)第130条
こむぞう
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この段階まできたら思い切って警察に通報しちゃいましょう!

その他警察への通報根拠

 前述で状況によっては警察に通報することをお勧めしていますが、相手とのやり取りで根拠を求められたときのためにこちらに法的根拠を示しておきます。

第二百三十三条 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

刑法第233条

二百三十四条 威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。

刑法第234条

 少し難しい言葉が出てきましたので解説します。

  • 「偽計」とは、不正な方法一般を意味します。不必要かつ過剰な電話であれば、その程度が一線を越えれば「偽計」となるでしょう。この「一線」が難しいところですが、常識的な範囲で判断しましょう。
  • 「威力」とは、人の意思を制圧するような勢力を意味します。社会的地位又は経済的地位等を利用した威迫、大勢の団体の力の誇示、騒音、喧騒、物の損壊等を含みます。実際に自治体側の意思が制圧される必要はなく、客観的に見て、人の意思を制圧するようなものであればOKです。
    • 教室で授業中の大学講師に対し、制止を無視して高声で質問を続けた(大阪高裁昭和58年2月1日判決)
    • 選挙等の立候補届出受理業務を行う会場において、突如「気を付け!」と大声を発したり、ぼーるぺンを机上に叩きつけて「誰がそんあことを決めたんや」等と怒号したりした(最高裁平成12年2月17日決定)

書面対応

 窓口で多数の質問を長時間にわたり行うような事例では、書面対応ならその場はお引き取りいただき、回答を郵送できるため、余り時間を取られません。質問者にとっても回答の再確認ができるため、メリットがあります。

 書面対応をする場合は、次の点について注意しましょう。

  • 同じ質問が繰り返される場合は、「〇月〇日にお答えしたとおりですので、重ねての回答はいたしません。」と書面で回答しましょう。それでも更に書面回答を求められた場合は、「繰り返しとなりますので、書面はお出ししません。」と回答しましょう。
  • 回答期限を指定されることがあると思いますが、標準的に処理をして間に合わないのであれば、間に合わせる必要はありません。ただし、指定された回答期限から大幅に遅れることが見込まれる場合は、回答が遅くなる旨の文書を送付しましょう。

録音

 会話の内容を録音することは、次のとおり有効です。

  • 「言った」「言っていない」の問題を防ぐことができる。
  • メモより正確
  • 暴言の証拠になる。

 ただし、次の点に注意しましょう。

録音の注意点

 録音は、前述のとおり有効な手段ですが、次の点に注意しましょう。

  • 録音は、相手の同意を得て行うのが原則。相手に無断での録音も直ちに違法とはいい難いが、裁判を想定して録音の必要性を説明できるようにすること。説明できない場合は、プライバシー侵害のおそれがある。
  • 相手から録音を求められた場合、拒否する理由がない。
  • 録音データも公文書のため、開示請求の対象となる。

まとめ

 いかがだったでしょうか?

 一気に御紹介しましたが、要するに、親切心を出して何でも要求を受け入れなくていいということです。最後の手段では、退去命令や警察の力を借りましょう。もちろん裁判になっても構いません(むしろ裁判にした方がはっきりするし、直接のやり取りが少なくなっていいと思います。)

チェックポイント

悪質なクレーマーには、親切心で何でも要求を受け入れなくていい。

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