ブログ「公務員ってどうなの?」のこむぞうです。
手続のデジタル化は、公務員にとって必須の取組。
しかし、法に「〇〇申請書」、「○○届」、「提出する」、「届け出る」等と定められているものは、特別な措置を別途定めていない限り、アナログ限定です。オンラインで提出したり、届け出ることができるよう解釈されません。

という話をデジタル手続法の記事でしていました。

使い回しをばらされた・・・。
デジタル手続法が使えるならデジタル手続法を、デジタル手続条例が使えるならデジタル手続条例を根拠に手続のデジタル化を行えばいいのですが、どちらも使えない場合は、どうすればいいのか。
条例、規則等を整備するしかありません。
この記事では、私が法令の8,760か所にある「電磁的記録」の使用例(令和7年10月10日現在)を参考として判断した条例、規則等の手続のデジタル化整備の手法をお伝えします。

長文なので、気を付けて!

法令の例を集めていたら、25,000文字以上の記事になりました。御活用ください。
- 使用する用語
- 電磁的記録を使った規定の法令の例
- 電磁的記録を作成する場合
- 電磁的記録を調製する場合
- 提出を電磁的記録でも行うことができるよう定める場合
- 書面等の代替とする場合
- 電磁的記録の代替として書面等を作成する場合
- 場合分けとして字句を置き換え、書面等ではなく電磁的記録とする場合
- 書面等に電磁的記録を含む場合
- 電磁的記録を添付する場合
- 電磁的記録を添える場合
- 電磁的記録を複製する場合
- 電磁的記録を複写する場合
- 電磁的記録に記録されている事項の交付をする場合
- 電磁的記録を送付する場合
- 電磁的記録による通知をする場合
- 電磁的記録による縦覧等を行う場合
- 電磁的記録を閲覧する場合
- 電磁的記録を公表する場合
- 電磁的記録を表示する方法
- 電磁的記録を示す場合
- 電磁的記録を備え付ける場合
- 電磁的記録の保存又は保管をする場合
- 電磁的記録を備える場合
- 電磁的記録を使用して行う場合
- 電磁的記録を確認する場合
- 電磁的記録を監査する場合
- 電磁的記録を損壊する場合
- 電磁的記録を発見した場合
- 電磁的記録により同意の意思表示をする場合
- 「電磁的記録の内容」と記載する場合
- 電磁的記録にタイムスタンプを使う場合
- 書面等みなし規定
- 到達みなし規定
- 署名等代替措置を定める義務規定
- まとめ
使用する用語

まずは、デジタル手続とするためのキーワードを説明します。
電磁的記録
法令では、電子データのことを「電磁的記録」と定義して呼んでいます。
定義の例は、各法令で次のようになっています。
二 既に文書(前項の書面を含む。)又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)によりその相手方に通知されている事項と同一の内容を求めるもの
行政手続法(平成5年法律第88号)第35条第4項第2号
11 この法律において「電磁的記録」とは、電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして内閣府令で定めるものをいう。
貸金業法(昭和58年法律第32号)第2条第11項

ちなみに「電子計算機」というのは、パソコン等のことだよ。
一般的には、「電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるもの」を「電磁的記録」としていますが、法令の中には、更に府省令で限定するもの(上記の例だと貸金業法第2条第11項)もあります。
「電磁的記録」を条例、規則等で使う場合は、必ず定義をしましょう。
「電磁的記録」の注意事項
「電磁的記録」を用いる場合は、次の注意事項を守ってください。
電磁的記録は、「記載する」ではなく、「記録する」
「電磁的記録」に記載する場合は、「電磁的記録に記録する」等とします。
6 第一項の地図及び建物所在図並びに第四項の地図に準ずる図面は、電磁的記録に記録することができる。
不動産登記法(平成16年法律第123号)第14条第6項
5 第二項の検査役は、必要な調査を行い、当該調査の結果を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録(法務省令で定めるものに限る。)を裁判所に提供して報告をしなければならない。
会社法(平成17年法律第86号)第358条第5項
第一条の三 法第十二条の三第一項の規定による要請は、次に掲げる事項を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録を交付し、又は提供して行うものとする。
消費者契約法施行規則(平成19年内閣府令第17号)第1条の3
電磁的記録は、「提出する」ではなく、「提供する」
「電磁的記録」を提出する場合は、「電磁的記録を提供する」等とします。
2 第二十八条の規定は、前項に規定する測量成果の写し及び測量記録の写しについての書面の交付の請求又は電磁的記録の提供の請求について準用する。
測量法(昭和24年法律第188号)第42条第2項
2 発起人は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める事項を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録を創立総会に提出し、又は提供しなければならない。
会社法第87条第2項
会社法第87条第2項では、電磁的記録の提供のほかに書面の提出も義務とするため、「書面」と「電磁的記録」を、「提出する」と「提供する」をそれぞれ「又は」でつなげていますが、「提出する」と「提供する」を分けて使っている点に法令の厳格さがうかがえるといえるでしょう。
省令の中には、「提供する」ではなく「送信する」を使うものもありました。
2 申請人等は、法務大臣の定めるところに従い、第三十三条の六第一項の規定により提出すべき電磁的記録及び同条第七項の規定により書面を申請書に添付すべき場合における当該書面に代わるべき情報を送信しなければならない。
商業登記規則(昭和39年法務省令第23号)第106条の2第2項
6 第二項の申請書について、社会保険労務士又は社会保険労務士法人(以下この項及び第十四条第四項において「社会保険労務士等」という。)が、情報通信技術活用法第六条第一項の規定により同項に規定する電子情報処理組織を使用して社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)第二条第一項第一号の二の規定に基づき当該申請書の提出に関する手続を申請者に代わつて行う場合には、当該社会保険労務士等が当該手続を代行する契約を締結していることにつき証明することができる電磁的記録を送信しなければならない。
賃金の支払の確保等に関する法律施行規則(昭和51年労働省令第26号)第9条第6項
「電磁的記録を提出する」とすることもある。
電磁的記録は、「提出する」ではなく、「提供する」を使う傾向にありますが、ごくまれに「電磁的記録を提出する」とする法令があります。
例えば、保険業法(平成7年法律第105号)第333条第1項第47号です。同号では、「第百七十六条の規定に違反して、書類若しくは書面若しくは電磁的記録を提出せず、又は当該書類若しくは書面若しくは電磁的記録に記載し、若しくは記録すべき事項を記載せず、若しくは記録せず、若しくは虚偽の記載若しくは記録をして、これらを提出したとき。」とあり、「提供する」が使われていません。そのほか、政党助成法(平成6年法律第5号)第40条の2第1項及び第2項、日本国の自衛隊と我が国以外の締約国の軍隊との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国と我が国以外の締約国との間の協定の実施に関する法律(令和7年法律第26号)第9条第1項等でも「提出する」が使われています。
「提供する」を使わない理由は分かりませんが、手続のデジタル化において電磁的記録を「提出する」とせず、改正して「提供する」を加えたりしていることからすると、私は、無難に「提供する」を使うことを勧めます。
電磁的記録媒体

「電磁的記録媒体」とは、電磁的記録に係る記録媒体、つまり、DVD-R、USBメモリ等のことです。
法令では、次のように使われています。
第八条 機構は、個人番号カード用署名用電子証明書を発行したときは、総務省令で定めるところにより、当該個人番号カード用署名用電子証明書(当該個人番号カード用署名用電子証明書について機構が行った電子署名に係る電磁的記録を含む。)及び当該個人番号カード用署名用電子証明書の発行を受けた署名利用者に係る住民票(国外転出者である署名利用者にあっては、当該署名利用者に係る戸籍の附票)に記載されている住民基本台帳法第七条第十三号に規定する住民票コード(以下「個人番号カード用署名用電子証明書発行記録」という。)を電磁的記録媒体(電磁的記録に係る記録媒体をいう。以下同じ。)に記録し、これを発行した日から政令で定める期間保存しなければならない。
電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律(平成14年法律第153号)第8条
3 前項の書面については、これに記載すべき事項を記録した電磁的記録に係る記録媒体の提出をもって、当該書面の提出に代えることができる。この場合において、当該記録媒体を提出した申立人は、当該書面を提出したものとみなす。
裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律(平成16年法律第151号)第27条の2第3項
第十三条 行政機関等が、法第九条第一項の規定により書面等の作成等に代えて当該書面等に係る電磁的記録の作成等を行う場合においては、行政機関等の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法又は電磁的記録媒体をもって調製する方法によるものとする。ただし、当該作成等は、クラウド・コンピューティング・サービス関連技術(官民データ活用推進基本法(平成二十八年法律第百三号)第二条第四項に規定するクラウド・コンピューティング・サービス関連技術をいう。次項において同じ。)その他の情報通信技術の進展の状況を踏まえた適切な方法によるものとする。
内閣府の所管する金融関連法令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律施行規則(平成15年内閣府令第13号)第13条第1項
第六条 民間事業者等が、法第四条第一項の規定に基づき、信用保証協会法第十七条第一項の規定に基づく書面の作成に代えて当該書面に係る電磁的記録の作成を行う場合は、民間事業者等の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法又は電磁的記録媒体をもって調製する方法により作成を行わなければならない。
信用保証協会法に係る民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律施行規則(平成17年内閣府・経済産業省令第4号)第6条
光ディスク

「光ディスク」とは、CD、DVD、ブルーレイディスク等のことです。
法令では、次のように使われています。
第十九条 次の各号に掲げる書類の提出については、これらの書類に記載すべき事項を記録した光ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録することができる物を含む。)並びに請求者又は届出者の氏名及び住所並びに請求又は届出の趣旨及びその年月日を記載した書類を提出することによって行うことができる。
新型インフルエンザ予防接種による健康被害の救済に関する特別措置法施行規則(平成21年厚生労働省令第153号)第19条
電子情報処理組織
「電子情報処理組織」とは、簡単に言うと、オンラインシステムのことです。
法令ではその定義をせずに使われている傾向がありますので、一般的にどういうものか悩まずに特定することができると考えられているのでしょう。
「電子情報処理組織」の次の説明からすると、おおむねインターネット等を使ってお互いのコンピューター等を接続したもの、つまり、オンラインシステムと考えればいいでしょう。
「電子情報処理組織」という用語自体は社会通念上一定の意味を有する用語として、法令においてそのまま使用しても紛れがないものと考えられるが、一方に行政機関等が、他方に手続等の相手方とが特定されていることから、これに対応して「電子情報処理組織(行政機関等の使用に係る電子計算機・・・とその手続等の相手方の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。・・・)」と規定している。
内閣官房情報通信技術総合戦略室 デジタル・ガバメント担当「逐条解説デジタル手続法」(ぎょうせい)
行政機関等が使用する電子計算機と、申請をする者等が使用する電子計算機とを、電気通信回線で接続した電子情報処理組織のこと。
法令用語研究会編「有斐閣法律用語辞典〔第5版〕」のうち「電子情報処理組織」の説明
ちなみに、「電子情報処理組織」の法令の例は、次のようになっています。
6 法第百十八条の二第二項の規定により、厚生労働大臣に対し同条第一項第一号及び第二号に掲げる事項に関する情報を提供する場合には、市町村は、当該情報を、電子情報処理組織(市町村が使用する電子計算機(入出力装置を含む。以下同じ。)と国民健康保険団体連合会が使用する電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。)を使用する方法又は当該情報を記録した光ディスクその他の電磁的記録媒体を提出する方法により提出しなければならない。
介護保険法施行規則(平成11年厚生省令第36号)第140条の72の5第6項
3 前項に規定する図書及び書類の交付については、電子情報処理組織の使用又は電磁的記録媒体の交付によることができる。
建築基準法施行規則(昭和25年建設省令第40号)第4条の6第3項
電磁的方法
「電磁的方法」とは、インターネット等で電磁的記録を送る方法等のことです。
法令では、次のように使われています。
第四十条の二 第十八条第一項若しくは第二十九条第一項の支部報告書、第十八条第二項(第二十九条第三項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の支部分領収書等の写し若しくは残高証明等の写し、第十八条第二項の支部報告書、監査意見書若しくは支部総括文書(第二十条第二項の規定により同項に規定する政党の会計責任者に提出すべきこれらの文書及び第三十条第二項の規定により同項に規定する政党の会計責任者であった者に提出すべきこれらの文書を含む。)、第十九条第五項及び第二十九条第四項において準用する第十九条第一項の監査意見書(第十八条第一項又は第二十九条第一項の支部報告書に併せて提出すべきものに限る。)又は第三十五条の文書(第十八条第一項又は第二十九条第一項の支部報告書に添付すべきものに限る。)の提出については、総務省令で定めるところにより、当該文書又は書面の提出に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして総務省令で定めるものをいう。)の提出又は電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって総務省令で定めるものをいう。次項において同じ。)をもって行うことができる。この場合においては、当該文書又は書面により提出が行われたものとみなす。
政党助成法第40条の2第1項
自動公衆送信

「自動公衆送信」とは、ウェブサイトの閲覧、オンラインストリーミング等のことです。
公衆送信(公衆によって直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信を行うこと)のうち、公衆からの求めに応じ自動的に行うもの(放送又は有線放送に該当するものを除く。)をいう(・・・)。著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあっては、送信可能化を含む。)を行う権利等を占有する(・・・)。
法令用語研究会編「有斐閣法律用語辞典〔第5版〕」のうち「自動公衆送信」の説明
法令では、次のように使われています。
2 官報の発行は、内閣総理大臣が、官報ファイルに記録された官報掲載事項(以下「電磁的官報記録」という。)について、内閣府令で定めるところにより、当該官報ファイルを電気通信回線に接続して行う自動公衆送信(公衆によって直接受信されることを目的として公衆からの求めに応じ自動的に送信を行うことをいい、放送又は有線放送に該当するものを除く。第十四条第三項において同じ。)を利用して公衆が閲覧することができる状態に置く措置をとることにより行うものとする。
官報の発行に関する法律(令和5年法律第85号)第5条第2項
電磁的記録を使った規定の法令の例

「電磁的記録」をうまく使えば、おおむね問題なく整うでしょう。
では、本格的に法令の例でどのように「電磁的記録」を使っているか見てみましょう。
電磁的記録を作成する場合
一度〇〇書により行うことを定めた後に、次の法令の例のように電磁的記録をもって作成することができると定めることにより、電磁的記録もOKとします。
2 信託証書は、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして内閣府令・法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)をもって作成することができる。
担保付社債信託法(明治38年法律第52号)第18条第2項
2 前項の契約書は、電磁的記録をもって作成することができる。
担保付社債信託法第53条第2項
5 市町村長は、総務省令で定めるところにより、前項の土地価格等縦覧帳簿又は家屋価格等縦覧帳簿の作成を電磁的記録の作成をもつて行うことができる。
地方税法(昭和25年法律第226号)第419条第5項
書面等と電磁的記録の両方とも作成してもいいこととする法令の例は、次のとおりです。
7 法第七十条第一項の記録は、電磁的記録又は書面により作成し、その作成の日から起算して三年間保存しなければならない。
カジノ管理委員会関係特定複合観光施設区域整備法施行規則(令和3年カジノ管理委員会規則第1号)第51条第7項
第八十七条の二 合併後存続する組合又は合併によつて成立した組合の理事は、合併の登記の日後遅滞なく、前条の規定によりこれらの組合が承継した合併によつて消滅した組合の権利義務その他の合併に関する事項として農林水産省令で定める事項を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録を作成しなければならない。
森林組合法(昭和53年法律第36号)第87条の2第1項
2 創立総会の議事録は、書面又は電磁的記録をもって作成しなければならない。
保険業法施行規則(平成8年大蔵省令第5号)第20条の12第2項
電磁的記録を調製する場合
「調製」とは、「整え作ること」を意味します。
整え作ること。主として予算や名簿等について用いられる。
法令用語研究会編「有斐閣法律用語辞典〔第5版〕」のうち「調製」の説明
「調製」は、電磁的記録においても用いられています。
2 受付帳は、書面により調製する必要がある場合を除き、磁気ディスクその他の電磁的記録に記録して調製するものとする。
二酸化炭素の貯留事業に関する法律第二条第八項に規定する試掘権の登録に関する政令施行規則(令和6年経済産業省令第75号)第11条第2項
提出を電磁的記録でも行うことができるよう定める場合
「提出」は、電磁的記録では「提供」とすることを上述しましたが、電磁的記録をその手段に含めるというだけなら、省令で使っている例がありました。
第三条 法第四条の規定による意見又は資料の提出は、書面又は電磁的記録をもってするものとする。
表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律施行規則(令和元年法務省令第42号)第3条第1項
書面等の代替とする場合
法令では書面等と電磁的記録の両方を使えるようにするものが多いように見受けられますが、書面等又は電磁的記録のいずれか1つとする法令の例もありますので、御紹介します。
電磁的記録の作成を書面等の作成の代替とするとき。
書面等を作成する代わりに電磁的記録を作成することとする場合の法令の例は、次の例があります。
第四条 民間事業者等は、作成のうち当該作成に関する他の法令の規定により書面により行わなければならないとされているもの(当該作成に係る書面又はその原本、謄本、抄本若しくは写しが法令の規定により保存をしなければならないとされているものであって、主務省令で定めるものに限る。)については、当該他の法令の規定にかかわらず、主務省令で定めるところにより、書面の作成に代えて当該書面に係る電磁的記録の作成を行うことができる。
民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律(平成16年法律第149号)第4条第1項
第一条の二 行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下この条及び次条において同じ。)その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。
行政書士法(昭和26年法律第4号)第1条の2第1項
後段に書面等みなし規定を置く法令もあります。書面等について定めたことを電磁的記録にも適用させる趣旨ですね。
第三十九条 この法律(第三十一条の三第三項を除く。)又はこの法律に基づく命令の規定により作成することとされている報告書等(報告書その他文字、図形その他の人の知覚によつて認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。次条において同じ。)については、当該報告書等に記載すべき事項を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして財務大臣が定めるものをいう。同条第一項において同じ。)の作成をもつて、当該報告書等の作成に代えることができる。この場合において、当該電磁的記録は、当該報告書等とみなす。
国有財産法(昭和23年法律第73号)第39条
第四十条の二 この法律又はこの法律に基づく命令の規定により作成することとされている報告書等(報告書、物品増減及び現在額総計算書その他文字、図形その他の人の知覚によつて認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。次条において同じ。)については、当該報告書等に記載すべき事項を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして財務大臣が定めるものをいう。同条第一項において同じ。)の作成をもつて、当該報告書等の作成に代えることができる。この場合において、当該電磁的記録は、当該報告書等とみなす。
物品管理法(昭和31年法律第113号)第40条の2
電磁的記録の提供を書面等の提出の代替とするとき。
書面等を提出する代わりに電磁的記録を提供することとする場合の法令の例は、次の例があります。
2 第百四十四条の二第一項又は第二項に規定する軽油の引取りを行つた者は、第百四十四条の三十五第六項に規定する書類に記載すべき事項に係る電磁的記録の提供をもつて当該書類の提出に代えることができる。
地方税法第750条第2項
後段に書面等みなし規定を置く法令もあります。書面等について定めたことを電磁的記録にも適用させる趣旨ですね。
第四十条の二 第十八条第一項若しくは第二十九条第一項の支部報告書、第十八条第二項(第二十九条第三項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の支部分領収書等の写し若しくは残高証明等の写し、第十八条第二項の支部報告書、監査意見書若しくは支部総括文書(第二十条第二項の規定により同項に規定する政党の会計責任者に提出すべきこれらの文書及び第三十条第二項の規定により同項に規定する政党の会計責任者であった者に提出すべきこれらの文書を含む。)、第十九条第五項及び第二十九条第四項において準用する第十九条第一項の監査意見書(第十八条第一項又は第二十九条第一項の支部報告書に併せて提出すべきものに限る。)又は第三十五条の文書(第十八条第一項又は第二十九条第一項の支部報告書に添付すべきものに限る。)の提出については、総務省令で定めるところにより、当該文書又は書面の提出に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして総務省令で定めるものをいう。)の提出又は電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって総務省令で定めるものをいう。次項において同じ。)をもって行うことができる。この場合においては、当該文書又は書面により提出が行われたものとみなす。
政党助成法第40条の2第1項
電磁的記録への記録を書面等の記載の代替とするとき。
書面等に記載する代わりに電磁的記録に記録することとする場合の法令の例は、次の例があります。
5 第二項に規定する者が、情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(平成十四年法律第百五十一号。以下「情報通信技術活用法」という。)第六条第一項の規定により、同項に規定する電子情報処理組織を使用して第二項の申請書を提出する場合には、当該申請書における申請者の氏名の記載については、厚生労働省の所管する法令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律施行規則(平成十五年厚生労働省令第四十号)第六条第一項各号に掲げる措置のほか、当該申請者の氏名を電磁的記録(情報通信技術活用法第三条第七号に規定する電磁的記録をいう。以下同じ。)に記録することをもつて代えることができる。
賃金の支払の確保等に関する法律施行規則第9条第5項
電磁的記録に記録される場合を書面等への記載の代わりとする法令の例もあります。
2 前項の表の下欄に掲げる事項が、電磁的記録に記録される場合は、当該記録をもつて法第十条の四第二項の船舶発生廃棄物記録簿への記載に代えることができる。この場合において、当該電磁的記録は、当該船舶発生廃棄物記録簿とみなす。
海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律施行規則(昭和46年運輸省令第38号)第12条の3の6第2項

後段に書面等みなし規定があるのがポイント!

書面等について定めたことを電磁的記録にも適用させるルールです。大切な措置ですね。
電磁的記録の添付を書面等の添付の代替とするとき。
書面等を添付する代わりに電磁的記録を添付することとする場合の法令の例は、次の例があります。
3 前項の場合において、定款が電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)で作られているときは、書面に代えて電磁的記録(経済産業省令で定めるものに限る。)を添付することができる。
割賦販売法(昭和36年法律第159号)第12条第3項
電磁的記録により行うことを作成、保存その他これらに類するものの代替とするとき。
書面等の代替について、複数の行為をまとめて電磁的記録により行うこととするの法令の例は、次の例があります。
第二百十七条 指定居宅サービス事業者及び指定居宅サービスの提供に当たる者は、作成、保存その他これらに類するもののうち、この省令の規定において書面(書面、書類、文書、謄本、抄本、正本、副本、複本その他文字、図形等人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。以下この条において同じ。)で行うことが規定されている又は想定されるもの(第十一条第一項(第三十九条の三、第四十三条、第五十四条、第五十八条、第七十四条、第八十三条、第九十一条、第百五条、第百五条の三、第百九条、第百十九条、第百四十条(第百四十条の十三において準用する場合を含む。)、第百四十条の十五、第百四十条の三十二、第百五十五条(第百五十五条の十二において準用する場合を含む。)、第百九十二条、第百九十二条の十二、第二百五条、第二百六条及び第二百十六条において準用する場合を含む。)及び第百八十一条第一項(第百九十二条の十二において準用する場合を含む。)並びに次項に規定するものを除く。)については、書面に代えて、当該書面に係る電磁的記録により行うことができる。
指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第217条第1項
電磁的記録の代替として書面等を作成する場合
逆に、電磁的記録とする代わりに書面等とする法令の例です。
第九条の七 登記官は、法第十七条第三項に規定する電磁的記録については、これに代わるものとして保存すべき書面を作成することができる。
商業登記規則第9条の第1項

デジタル化じゃなくて、アナログ化なんだね。

そのとおり!
次の法令の例は、書面を作成した場合は、その書面と同様の内容の電磁的記録は、その法令の規定を適用しないこととするものです。
2 登記官が前項の書面を作成した場合には、当該書面に係る電磁的記録については、この規則中登記簿の附属書類に関する規定は、適用しない。この場合において、当該書面は、登記簿の附属書類とみなして、この規則の規定を適用する。
商業登記規則第9条の7第2項
場合分けとして字句を置き換え、書面等ではなく電磁的記録とする場合
場合分けとして字句を置き換え、書面等ではなく電磁的記録とする場合の法令の例は、次の例があります。
第百二十条 何人も、登記官に対し、手数料を納付して、地図、建物所在図又は地図に準ずる図面(以下この条において「地図等」という。)の全部又は一部の写し(地図等が電磁的記録に記録されているときは、当該記録された情報の内容を証明した書面)の交付を請求することができる。
不動産登記法第120条第1項
第百二十一条 何人も、登記官に対し、手数料を納付して、登記簿の附属書類(電磁的記録を含む。以下同じ。)のうち政令で定める図面の全部又は一部の写し(これらの図面が電磁的記録に記録されているときは、当該記録された情報の内容を証明した書面)の交付を請求することができる。
不動産登記法第121条第1項
2 何人も、登記官に対し、手数料を納付して、登記簿の附属書類のうち前項の図面(電磁的記録にあっては、記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したもの。次項において同じ。)の閲覧を請求することができる。
不動産登記法第121条第2項
2 前項の規定により特定事項の記載又は記録を省略して業務開始届出を行った特定目的会社が、資産流動化計画に基づき資産対応証券の発行を行うときは、あらかじめ、内閣府令で定めるところにより、当該特定事項を記載し、又は記録した資料及び前項後段の規定により添付を省略した資料(これらの資料が電磁的記録で作成されているときは、内閣府令で定める電磁的記録又は当該電磁的記録に記録された事項を記載した書面)を内閣総理大臣に提出しなければならない。
資産の流動化に関する法律(平成10年法律第105号)第7条第2項
第三十三条 役務の提供の事業を営む者(以下「役務提供事業者」という。)は、主務大臣の登録を受けた者の認証を受けて、その提供する当該認証に係る役務に関する書面(当該書面が電磁的記録をもつて作成されているときは、その電磁的記録に記録された情報の内容を表示したもの。以下「役務関係書面」という。)に、当該役務が日本産業規格に適合するものであることを示す主務省令で定める方式による特別な表示を付することができる。
産業標準化法(昭和24年法律第185号)第33条第1項
第四十九条 国内登録認証機関は、毎事業年度経過後三月以内に、その事業年度の財産目録、貸借対照表及び損益計算書又は収支計算書並びに事業報告書(これらのものが電磁的記録で作成され、又はその作成に代えて電磁的記録の作成がされている場合における当該電磁的記録を含む。次項及び第八十二条第二号において「財務諸表等」という。)を作成し、五年間事務所に備え置かなければならない。
産業標準化法第49条第1項
6 市町村長は、第四項の規定によつて、土地価格等縦覧帳簿又は家屋価格等縦覧帳簿を作成した場合においては、その作成の日から二十日以上の期間、その指定する場所において、当該土地価格等縦覧帳簿若しくはその写し(当該土地価格等縦覧帳簿の作成が前項の規定により電磁的記録の作成をもつて行われている場合にあつては、当該土地価格等縦覧帳簿に記録をされている事項を記載した書類。次項において同じ。)を当該市町村内に所在する土地に対して課する固定資産税の納税者の縦覧に供し、又は家屋価格等縦覧帳簿若しくはその写し(当該家屋価格等縦覧帳簿の作成が前項の規定により電磁的記録の作成をもつて行われている場合にあつては、当該家屋価格等縦覧帳簿に記録をされている事項を記載した書類。次項において同じ。)を当該市町村内に所在する家屋に対して課する固定資産税の納税者の縦覧に供しなければならない。
地方税法第419条第6項
書面等に電磁的記録を含む場合
書面等に電磁的記録を含める場合の法令の例は、次の例があります。
第二十四条 会計検査院の検査を受けるものは、会計検査院の定める計算証明の規程により、常時に、計算書(当該計算書に記載すべき事項を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして会計検査院規則で定めるものをいう。次項において同じ。)を含む。以下同じ。)及び証拠書類(当該証拠書類に記載すべき事項を記録した電磁的記録を含む。以下同じ。)を、会計検査院に提出しなければならない。
会計検査院法(昭和22年法律第73号)第24条第1項
第二十九条 基本測量の測量成果のうち、地図その他の図表、成果表、写真又は成果を記録した文書(これらが電磁的記録をもつて作成されている場合における当該電磁的記録を含む。第四十三条において「図表等」という。)を測量の用に供し、刊行し、又は電磁的方法であつて国土交通省令で定めるものにより不特定多数の者が提供を受けることができる状態に置く措置をとるために複製しようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、国土地理院の長の承認を得なければならない。
測量法第29条
電磁的記録を添付する場合
法令では、「申請書に添付する」等として使う場合、書面だけではなく、電磁的記録にも「添付する」が使われています。
3 合併認可申請書には、合併契約の内容を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録(主務省令で定めるものに限る。以下この項において同じ。)その他主務省令で定める書面又は電磁的記録を添付しなければならない。
社債、株式等の振替に関する法律(平成13年法律第75号)第25条第3項
電磁的記録を添える場合
報告に必要な書面等を添える場合で、その「必要な書類」を電磁的記録とするとき、書面等と同様に「添える」は、法令でも使われています。
3 事業者は、安全管理者を選任したときは、遅滞なく、電子情報処理組織を使用して、次に掲げる事項を、次条第一号の研修その他所定の研修を修了した者であることにつき証明することができる電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)等必要な電磁的記録を添えて、所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。
労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第4条第3項
電磁的記録を複製する場合
法令では、「電磁的記録を複製する」という使い方もあります。
3 返納その他返還が求められることがあり得る処分通知等が電子情報処理組織を使用する方法により行われた場合は、当該処分通知等を受けた者は当該処分通知等に係る電磁的記録を複製し、又は複製されてはならない。
文部科学省関係の行政手続等における情報通信の技術の利用に関する省令(平15年文部科学省令第9号)第10条第3項

コピーのことだよね?

そうだな。「コピー」は、まだ法令で使う言葉としては認めていないということかな。
電磁的記録を複写する場合
電磁的記録のコピーについては、法令では「複製」を使っていることを紹介しましたが、「複写」も使われているようです。
第十二条 第五条第五項又は第十条の規定により電磁的官報記録に係る情報を複写した電磁的記録は、他の法令における官報の提供、送付その他これらに類する行為に関する規定の適用については、当該他の法令における官報に該当するものとする。
官報の発行に関する法律第12条
2 前項(第三号に係る部分に限る。)の場合において、その保管する電磁的記録の閲覧は、その内容を表示したものを閲覧し、又はその内容を再生したものを視聴する方法によるものとし、当該電磁的記録の謄写は、これを複写し、若しくは印刷し、又はその内容を表示し若しくは再生したものを記載し若しくは記録する方法によるものとする。
日本国の自衛隊と我が国以外の締約国の軍隊との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国と我が国以外の締約国との間の協定の実施に関する法律第7条第2項

「複製」とは別に「複写」も使うの?

「複製」はコピーのことだけど、「複写」は電磁的記録そのものではないのでコピーではなく書き写すことということかな?法令では統一していそうなのに・・・。
電磁的記録に記録されている事項の交付をする場合
電磁的記録を相手に渡したい場合の法令の例は、次の例があります。
第六条 民間事業者等は、交付等のうち当該交付等に関する他の法令の規定により書面により行わなければならないとされているもの(当該交付等に係る書面又はその原本、謄本、抄本若しくは写しが法令の規定により保存をしなければならないとされているものであって、主務省令で定めるものに限る。)については、当該他の法令の規定にかかわらず、政令で定めるところにより、当該交付等の相手方の承諾を得て、書面の交付等に代えて電磁的方法であって主務省令で定めるものにより当該書面に係る電磁的記録に記録されている事項の交付等を行うことができる。
民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律第6条第1項
なお、民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律第6条第1項の「交付等」とは、同法第2条第9号で次のように定義されています。
九 交付等 民間事業者等が書面又は電磁的記録に記録されている事項を交付し、若しくは提出し、又は提供することをいう。ただし、裁判手続等において行うもの及び情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律第三条第八号に掲げる申請等として行うものを除く。
民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律第2条第9号
電磁的記録を送付する場合
上述の法令の例で「電磁的記録を送信する」等を使っているものを紹介しましたが、電磁的記録を送付する場合の法令の例もあります。
第四十条の二 この省令の規定による事業団への書類の提出については、事業団の定めるところにより、当該書類に記載すべきこととされている事項を記録した電磁的記録を送付する方法その他の適切な方法により行うことができる。
私立学校教職員共済法施行規則(昭和28年文部省令第28号)第40条の2第1項
第十四条 地方農政局等の長は、統計調査員が作成し、又は第十二条第二項の規定により送付された基礎調査に係る調査票(以下「基礎調査票」という。)の内容を収録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成し、電子情報処理組織を使用して農林水産大臣に送付しなければならない。この場合において、沖縄総合事務局の農林水産センターの長が送付しようとするときは、沖縄総合事務局長を経由して行わなければならない。
牛乳乳製品統計調査規則(昭和46年農林省令第38号)第14条第1項

「送信」と「送付」。どういう使い分けなんだろうね。

省令の例なので、よく検討した上で使うこととしたのか、よくわかりませんね。
電磁的記録による通知をする場合
電磁的記録の法令の例には、「送信」と「送付」のほか、「通知」もあります。
第八条 税理士会は、総会を招集しようとするときは、その日時及び場所並びに会議の目的となる事項を、会日より二週間前までに、当該税理士会の会則で定めるところにより、会員(会員である税理士に限る。次条において同じ。)に書面又は電磁的記録により通知しなければならない。
税理士法施行令(昭和26年政令第216号)第8条
一 電波法(昭和二十五年法律第百三十一号)第百三条の二第二十三項の承認に係る電波利用料のうち、同項の金融機関が歳入徴収官等から当該電波利用料の納付に関し必要な事項について電磁的記録による通知を受け、当該事項に従い納付するもの
歳入徴収官事務規程(昭和27年大蔵省令第141号)第3条第3項第1号

わざわざ「電磁的記録による通知」って言うんだね。

「通知」もアナログが前提ということなのでしょうね。
電磁的記録による縦覧等を行う場合
電磁的記録を相手に渡したい場合の法令の例は、次の例があります。
第二十九条 電話取扱局が、電子文書法第五条第一項の規定に基づき、第二十六条第一号及び第二号に掲げる書面の縦覧等に代えて当該書面に係る電磁的記録の縦覧等を行う場合は、当該書面に係る電磁的記録を電話取扱局に備え置く電子計算機の映像面における表示又は当該書面に係る電磁的記録を記載した書類により行わなければならない。
電話加入権質に関する臨時特例法施行規則(昭和33年郵政省令第18号)第29条
第九条 民間事業者等が、法第五条第一項の規定に基づき、別表第三の上欄に掲げる法令の同表の下欄に掲げる規定に基づく書面の縦覧等に代えて当該書面に係る電磁的記録に記録されている事項の縦覧等を行う場合は、当該事項を民間事業者等の事務所に備え置く電子計算機の映像面における表示又は当該事項を記載した書類により行わなければならない。
文部科学省の所管する法令の規定により民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令(平成17年文部科学省令第31号)第9条
「縦覧」は、はっきりしているとして、「縦覧等」の「等」は何かというと、法令によります。
電話加入権質に関する臨時特例法施行規則第29条の縦覧等は、民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律第2条第8号の規定により、縦覧若しくは閲覧に供し、又は謄写をさせることをいいます。
一方縦覧等も、同令第2条の規定により民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律に定めるところによるため、同法第2条第8号の規定により、縦覧若しくは閲覧に供し、又は謄写をさせることをいいます。
なお、「謄写」、「縦覧」及び「閲覧」については、次のとおりです。
- 謄写
- 文書や図面などを書き写し又は写しとること。(法令用語研究会編「有斐閣法律用語辞典〔第5版〕
」のうち「謄写」の説明)
- 縦覧
- 請求を待たず広く一般に見せる場合に用いられている用語。実際には、「閲覧」を「縦覧」の場合に使用する個別法令も少なからず存在している。(内閣官房情報通信技術総合戦略室 デジタル・ガバメント担当「逐条解説デジタル手続法」(ぎょうせい)
)
- 閲覧
- 特定の者からの請求を待って見せる場合に用いられている用語。申請等及び処分通知等の問題だが、実際には、「縦覧」を「閲覧」の場合に使用する個別法令も少なからず存在している。(内閣官房情報通信技術総合戦略室 デジタル・ガバメント担当「逐条解説デジタル手続法」(ぎょうせい)
)
電磁的記録を閲覧する場合
「閲覧」の場合の法令の例は、次の例があります。
第九十七条の三 審理関係人は、次条第一項又は第二項の規定により審理手続が終結するまでの間、担当審判官に対し、第九十六条第一項若しくは第二項(証拠書類等の提出)又は第九十七条第一項第二号(審理のための質問、検査等)の規定により提出された書類その他の物件の閲覧(電磁的記録にあつては、記録された事項を財務省令で定めるところにより表示したものの閲覧)又は当該書類の写し若しくは当該電磁的記録に記録された事項を記載した書面の交付を求めることができる。この場合において、担当審判官は、第三者の利益を害するおそれがあると認めるとき、その他正当な理由があるときでなければ、その閲覧又は交付を拒むことができない。
国税通則法(昭和37年法律第66号)第97条の3第1項
一 この法律の規定により一般社団法人等が作成し、又は備え置いた書面又は電磁的記録についての閲覧又は謄写の許可の申立てについての裁判 当該一般社団法人等
一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成18年法律第48号)第289条第1号
十三 前各号に掲げるもののほか、登記所において公開される帳簿、書類若しくは電磁的記録の閲覧又はこれらに記載され、若しくは記録された事項を記載した書面の交付に係る業務であって法務省令で定めるもの
競争の導入による公共サービスの改革に関する法律(平成18年法律第51号)第33条の2第1項第13号
電磁的記録を公表する場合
電磁的記録を公表する場合の法令の例は、次の例があります。
第十七条 農林水産大臣は、前条の全国結果表の概要を調査年の翌年の八月三十一日までに公表し、かつ、その詳細については逐次、刊行物又は電磁的記録に収録したものを紙面又は映像面に表示し、これを公衆の閲覧に供する方法により公表する。
漁業センサス規則(昭和38年農林省令第39号)第17条
電磁的記録を表示する方法
電磁的記録を表示する場合の法令の例は、次の例があります。
第十七条の十六 法第二十六条の十四第二項第三号の国土交通省令で定める方法は、当該電磁的記録に記録された事項を紙面又は出力装置の映像面に表示する方法とする。
建設業法施行規則(昭和24年建設省令第14号)第17条の16
電磁的記録を示す場合
電磁的記録を示す場合の法令の例は、次の例があります。
第七十一条 法第五十四条の二十一第八項又は第五十四条の二十三第十八項の規定による総会への報告は、次に掲げる規定の認可又は承認を受けて議決権を保有している認可対象会社(信用金庫にあつては法第五十四条の二十一第三項に規定する認可対象会社をいい、信用金庫連合会にあつては法第五十四条の二十三第四項に規定する認可対象会社をいう。)又は子会社対象会社以外の外国の会社の最終の事業報告の内容を記載した書面、貸借対照表、損益計算書及び株主資本等変動計算書(これらに類する書面を含む。)その他の最近における業務、財産及び損益の状況を知ることができる書面又はこれらの書面に記載すべき事項を記録した電磁的記録を示して行わなければならない。
信用金庫法施行規則(昭和57年大蔵省令第15号)第71条
2 縦覧書類が英語で記載されたものである場合には、外国銀行代理金庫は、当該縦覧書類に加え、その所属外国銀行及び当該所属外国銀行を子会社とする外国銀行持株会社に係る事業の概況並びに貸借対照表及び損益計算書について、顧客の求めに応じ、日本語で記載された書面又は当該書面に記載すべき事項を記録した電磁的記録を示さなければならない。
信用金庫法施行規則第137条の2第2項
電磁的記録を備え付ける場合
電磁的記録を備え付ける場合の法令の例は、次の例があります。
第四条 保存義務者は、国税関係帳簿(財務省令で定めるものを除く。以下この項、次条第一項及び第三項並びに第八条第一項及び第四項において同じ。)の全部又は一部について、自己が最初の記録段階から一貫して電子計算機を使用して作成する場合には、財務省令で定めるところにより、当該国税関係帳簿に係る電磁的記録の備付け及び保存をもって当該国税関係帳簿の備付け及び保存に代えることができる。
電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律(平成10年法律第25号)第4条第1項
第七百四十八条 次の各号に掲げる者は、それぞれ当該各号に定める地方税関係帳簿(第七十四条の十七、第百四十四条の三十二第三項、第百四十四条の三十六又は附則第十二条の二の七の二第五項の規定により備付け及び保存をしなければならない帳簿をいう。以下この章において同じ。)の全部又は一部について、自己が最初の記録段階から一貫して電子計算機を使用して作成する場合には、総務省令で定めるところにより、当該地方税関係帳簿に係る電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他の人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この章において同じ。)の備付け及び保存をもつて当該地方税関係帳簿の備付け及び保存に代えることができる。
地方税法第748条第1項

電磁的記録の備付けの法令の例って、結構多いね。

私は、仕事で何かを備え付ける法令を見たことがありませんね。
電磁的記録の保存又は保管をする場合
電磁的記録を保存する場合の法令の例は、次の例があります。
2 保存義務者は、国税関係書類の全部又は一部について、自己が一貫して電子計算機を使用して作成する場合には、財務省令で定めるところにより、当該国税関係書類に係る電磁的記録の保存をもって当該国税関係書類の保存に代えることができる。
電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律第4条第2項
第三十五条 日本銀行本店は、第二十五条の三第一項及び特別手続第三条の四第二項の規定による収納に係る記録を電磁的記録により保存しなければならない。
日本銀行国庫金取扱規程(昭和22年大蔵省令第93号)第35条
一方、電磁的記録を保管する場合の法令の例もあります。
第二十二条の四 当該徴税吏員は、犯則事件を調査するため必要があるときは、その所属する地方団体の事務所の所在地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所の裁判官があらかじめ発する許可状により、臨検、犯則嫌疑者等の身体、物件若しくは住居その他の場所の捜索、証拠物若しくは没収すべき物件と思料するものの差押え又は記録命令付差押え(電磁的記録を保管する者その他電磁的記録を利用する権限を有する者に命じて必要な電磁的記録を記録媒体に記録させ、又は印刷させた上、当該記録媒体を差し押さえることをいう。以下この節において同じ。)をすることができる。ただし、参考人の身体、物件又は住居その他の場所については、差し押さえるべき物件の存在を認めるに足りる状況のある場合に限り、捜索をすることができる。
地方税法第22条の4第1項
第三条の二 何人も、児童買春をし、又はみだりに児童ポルノを所持し、若しくは第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管することその他児童に対する性的搾取又は性的虐待に係る行為をしてはならない。
児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)第3条の2
「保存」と「保管」の違いは、財産の現状維持のために積極的な行為があること。
「保管」とは、ある物(主として他人の物)を保持して、滅失、毀損を防ぐこと。類似の語に「保存」がありますが、これは、物を保持するという消極的なものにとどまらず、財産の現状維持のために積極的な行為を行うことをも含む点に差異があります(法令用語研究会編「有斐閣法律用語辞典〔第5版〕」のうち「保管」の説明)。
電磁的記録を備える場合
「電磁的記録を備える」という法令の例もあります。
これは、文書を保存する場合に用います。
2 登録貨物軽自動車安全管理者講習機関は、法第五十八条の八の帳簿並びに貨物軽自動車安全管理者講習の受講申請書及びその添付書類又はこれらの書類に記載すべき事項を記録した電磁的記録を備え、貨物軽自動車安全管理者講習を終了した日から三年間これらを保存しなければならない。
貨物自動車運送事業輸送安全規則(平成2年運輸省令第22号)第55条第2項
2 理事は、合併の登記の日から六月間、前項の書面又は電磁的記録を主たる事務所に備えて置かなければならない。
森林組合法第87条の2第2項
電磁的記録を使用して行う場合
作成、保存等を電磁的記録を使用して行う場合の法令の例は、次の例があります。
3 病院又は診療所の管理者は、第一項の記録の作成を電磁的記録を使用して行う場合は、当該管理者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法又は磁気ディスク等をもつて調製する方法により作成を行わなければならない。
医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号)附則第71条第3項
第一条 民間事業者等が、農住組合法(昭和五十五年法律第八十六号)に係る保存等を、電磁的記録を使用して行う場合については、他の法律及び法律に基づく命令(告示を含む。)に特別の定めのある場合を除くほか、この省令の定めるところによる。
農住組合法に係る民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律施行規則(平成17年農林水産省・国土交通省令第3号)第1条
電磁的記録を確認する場合
電磁的記録を確認する場合の法令の例は、次の例があります。
ロ 当該押収物に記録されている電磁的記録が大量であることその他の事由により当該押収物に記録されている全ての電磁的記録の内容を確認することができないため、イに掲げる措置をとることが困難であると認めるときは、当該押収物に記録されている電磁的記録を全て消去すること。
性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(令和5年法律第67号)第10条第1項第2号ロ
3 検察官は、第一項に規定する者が同項の申出をするに当たり、必要があると認めるときは、その者に対し、対象領置物件に記録されている電磁的記録を確認する機会を与えるものとする。
性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律第18条第3項
電磁的記録を監査する場合
電磁的記録を監査する場合の法令の例は、次の例があります。
第二百五十二条 会計監査人は、第二百二十二条第四項の書類又は電磁的記録を監査する。この場合において、会計監査人は、法務省令で定めるところにより、会計監査報告を作成しなければならない。
信託法(平成18年法律第108号)第252条第1項

「監査する」だなんて、見たことないな。

私も仕事で監査することがないので見慣れませんね。
電磁的記録を損壊する場合
電磁的記録を損壊する場合の法令の例は、次の例があります。
第六十四条の二 国際刑事裁判所職員が職務を執行するに当たり、その職務に使用する電子計算機若しくはその用に供する電磁的記録を損壊し、若しくはその職務に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与え、又はその他の方法により、その電子計算機に使用目的に沿うべき動作をさせず、又は使用目的に反する動作をさせた者は、三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律(平成19年法律第37号)第64条の2
電磁的記録を発見した場合
電磁的記録を発見した場合の法令の例は、次の例があります。
2 犯罪に関係があると認められる電磁的記録を発見した場合において、その電磁的記録に係る記録媒体の所有者若しくは保管者又はその電磁的記録を保管する者その他その電磁的記録を利用する権限を有する者からその電磁的記録に係る記録媒体又はその電磁的記録を記録若しくは印刷させた記録媒体について任意の提出を受ける見込みがないと認めたときは、直ちにその電磁的記録に係る記録媒体に対する差押許可状又はその電磁的記録に対する記録命令付差押許可状の発付を請求するとともに、その隠匿、散逸等を防止するため適切な処置をとらなければならない。
犯罪捜査規範(昭和32年国家公安委員会規則第2号)第154条第2項
電磁的記録により同意の意思表示をする場合
電磁的記録により同意の意思表示をする場合の法令の例は、次の例があります。
第三百二十条 取締役が株主の全員に対して株主総会に報告すべき事項を通知した場合において、当該事項を株主総会に報告することを要しないことにつき株主の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該事項の株主総会への報告があったものとみなす。
会社法第320条
「電磁的記録の内容」と記載する場合
「電磁的記録の内容」と記載する場合の法令の例は、次の例があります。
第三十五条の二 電磁的記録の認証についての手数料の額は、一万千円とする。ただし、当該電磁的記録の内容を証書として作成するとしたときの手数料の額の十分の五の額が一万千円を下回るときは、当該下回る額による。
公証人手数料令(平成5年政令第224号)第35条の2第1項
第四十一条の四 公証人法第六十二条ノ七第三項第二号(民法施行法第七条第一項において準用する場合を含む。)の規定による情報の提供についての手数料の額は、七百円とする。ただし、電磁的記録の内容を証する書面の交付をもって情報の提供をするときは、用紙一枚ごとに二十円を加算する。
公証人手数料令第41条の4
電磁的記録にタイムスタンプを使う場合
タイムスタンプとは、デジタル化された文書が原本であることを証明する技術です。
ある時刻にその電子データが存在していたことと、それ以降改ざんされていないことを証明する技術。タイムスタンプに記載されている情報とオリジナルの電子データから得られる情報を比較することで、タイムスタンプに付された時刻から改ざんされていないことを確実かつ簡単に確認することができます。
総務省WEBサイト「タイムスタンプについて」
電磁的記録にタイムスタンプを使う場合の法令の例は、次の例があります。
一 当該電磁的記録の記録事項にタイムスタンプが付された後、当該取引情報の授受を行うこと。
電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則(平成10年大蔵省令第43号)第4条第1項第1号
書面等みなし規定
罰則等の適用をしたり、書面等の作成から何かの期間が始まる定めがある場合、電磁的記録を書面等と同じ取扱いとするよう定めることがあります。
3 保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。
民法(明治29年法律第89号)第446条第3項
「みなす」は、その法律関係においては、たとえ異なっていても、そのように取り扱うこととするものです。
「みなす」は、ある事物(A)を、それと性質を異にする他の事物(B)と、一定の法律関係において同一視し、当該他の事物(B)について生じる法律効果を、その事物(A)について生じさせる場合に用いる。「みなす」は、同一の事物でないこと(AはBでないこと。)の反証を許さず、一定の法律関係に関する限り、絶対にこれを同一視する(AはBであるとして取り扱う。)点において、「推定する」と異なる。
石毛正純「法制執務詳解 新版III」(ぎょうせい)

じゃあ「男性とみなす」と定められていたら、たとえ女性であっても、その法の中では、男性として考えることになるってこと?

そのとおり!
手続を怠った場合、提出された書面に虚偽の記載を行った場合等に別途罰則を定めていると、その罰則規定ではデジタル化を前提として定められていないため、その書面で行う手続の場合は罰則が適用されますが、電磁的記録で行う手続の場合は罰則の適用がされない解釈となることが考えられます。
また、縦覧等の開始とともに何かの期間開始となる場合、電磁的記録をインターネット等にアップロードして公表する場合も対象となるようにすることも考えられます。
2 都道府県知事は、前項の規定による異議の申出を受けたときは、前条第二項に掲げる技術者の意見をきいて、同条第六項に規定する縦覧期間満了後六十日以内にこれを決定しなければならない。
土地改良法(昭和24年法律第195号)第9条第2項
デジタル化をしたら法令の規定に当てはめられないと考えられてしまった困るので、書面でも、電磁的記録でも、同じ取扱いとするための措置とお考えください。
到達みなし規定
到達は、判例・通説によれば、意思表示が相手方の支配領域に入ったこと、つまり、相手方が意思表示の内容を了知し得る状態に置かれれば足り、必ずしも相手方が現実にそれを了知することまでも必要とするものではないと解されています。
しかし、デジタル手続の到達時期については、行政機関等と申請者等との間で共通の理解がされているとまではいえないと考えられますので、到達時期を定める必要があります。
それが、こちらです。
2 前項の規定により報告書等の提出が電磁的方法によつて行われたときは、当該報告書等の提出を受けるべき者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に当該提出を受けるべき者に到達したものとみなす。
物品管理法第40条の3
「記録がされた時」とは、飽くまでファイルへの記録が完了した時です。ファイルへの記録が途中で中断し完全には記録がなされていない状態では、到達したものとみなされません。
申請等を土日、祝日等の閉庁時にオンラインで行った場合
申請等を土日、祝日等の閉庁時にオンラインで行った場合は、提供先のパソコン等のファイルへの記録がされた時に到達したものとみなされます。
したがって、標準処理期間もその到達したものとみなされた日から始まります。閉庁時から標準処理期間が始まらないようにする場合は、閉庁時に記録されないパソコン等を使いましょう。
なお、汎用受付等のシステムのファイルへの記録の途中でシステムの故障等により記録が中断してしまった場合には、到達したものとはみなされません(宇賀克也「行政手続三法の解説<第3次改訂版>: 行政手続法・デジタル手続法・マイナンバー法」(学陽書房))。
署名等代替措置を定める義務規定
本来なら署名等が必要な書面等を電磁的記録とする場合は、署名等に代わる措置をとるよう義務付ける法令の例があります。
4 第二項の電磁的記録には、全国連合会の代表理事が内閣府令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
信用金庫法(昭和26年法律第328号)第54条の15第4項

署名等の代わりって、きっと「電子署名」だよね。

電子署名を署名等の代替とする法令は、多いですね。
まとめ
では、まとめです。
以上のとおり紹介した法令を見ると、ある程度パターンになっていることが見えてきます。おおむね「電磁的記録」を使えば、条例、規則等を整備してデジタル手続とすることがわかるのではないでしょうか?
電磁的記録でも、提供、作成等をすることができることとし、必要に応じて書面等みなし規定、到達みなし規定等を盛り込めば、おおむね問題のないデジタル手続の法整備を行うことができるでしょう。是非チャレンジしてみてください。

「デジタル手続法」の記事もあるから、そっちも見てみてね!

デジタル手続法は、アナログ前提の法令であっても、デジタル化をすることができることとする法律です。是非御覧ください!

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